◎予選2回戦 vs Nさん
いやさ、朝、会場に入った瞬間に他県参加者の顔を見て「名前は分からないけど何か見たことがある人がいるな~」という感想をいつも抱くわけですよ。ただ、それが女子となると知り合いもいないので分からないわけですがさすがにNさんは知っていましたねぇ。
なんせ、去年の全国中学生名人戦で優勝した女性という事でかなりのニュースになりました、あれはすごかった。それにしてもまさか対戦出来る機会が来るとは思わなかった…大会に参加して良かったな~という気持ちになりました。
さて、どうしたらいいものか。
1回戦終わった後に大学の後輩2人に聞いてみました。
「Nさんってどんな感じですか?」
即座に2人から「強いです。地力がめちゃくちゃあるタイプです(あべしんさんでは勝てませんよ)」と答えられあひゃ。
いや~~、マジかよー( ゚Д゚)
地力がめちゃくちゃあるのは困るじゃないですか・・・。
もうね、腹くくりました。
長期戦になればなるほど地力を出される展開になるのでなるべく直線の変化で戦おうと思いました。直線の変化を読み切ってしまえば相手がどんなに強くても、それこそ藤井聡太七段にも勝つことが出来るので、理論上。
それでは下図をご覧ください。
先手が私、後手がNさんです。
何やってくるのか分からなかったのですがまさかの鳥刺しです。
ネーミングが奇襲っぽいので軽視しがちな作戦ですが破壊力は抜群。
鳥刺しには、振り飛車特有の捌くという感覚はバッドだと思います(鳥なだけに)。
そもそも相手の角道が開いていないので捌く将棋にはならないでしょう。
従って愚直に攻めを受け止めていい勝負というのが私の見解です。
上図以下、68金と7筋を強化。
7筋を攻められているのに58に金がいくのは駒の方向がおかしい。
以下、82飛に▲77金。
陣形を分厚くして串に刺されないようにしておきます。
上図からは第2ラウンドだと思いました。
力をためて攻めるなら△74歩ですが…
▲77金とすでに守っているのであまり効果が無いような気がします。
筋は△55歩ですよね。
ただ、これも戦場が7筋から5筋に移るので鳥刺し王の上部の薄さをつく将棋に出来そう。まぁ互角でしょうね、手勝負・手羽先でお互い構想力を試される展開で腕がコケコッコーとなりますね。
また、52金右と戻すのは自然な手で、私の大本命でした。
振り飛車は相手があってこその商売稼業ゆえ、76銀+77金+78飛のケバブタワーもお客様に構ってもらえないと捌けませ~ん。
これは形勢互角だと思っていました。
本譜は、△75銀と出荷してきました。
押し売りやめてぇぇぇ(*´Д`)
これはもうすでにどちらが本当のブランド地鶏なのかはっきりさせましょうと決着をつけにきた感じですよね、私はもっと名古屋かにコーチンしたかったのだが。
上図以下、同銀、同角、79角。
5筋を強化しつつ46角ののぞきを見た手で感触は良い。
以下、31角と鶏小屋へ帰る。
そこへ46角とコケコッコ-!
△64歩を予想していたら△64角!
一触即発カモンベイべ~♪
同角、同歩、46角の展開も考えたんですが何かその瞬間が甘いというか、嫌な予感がしたので再度バサバサバサと鶏小屋へ撤退(79角)。
上図以下次の▲65歩から▲46角を嫌って△31角なら38手目と同一局面になるな~と思った。時間軸がズレて千日手というのはアニメの世界ならよくある話。
しかしこの局面自体は37手目1回目の79角の局面と比べて後手の角が64で安定している。もしかしてそれをプラスと見て仕掛けてくるかもしれないと思いました。
以下、86歩!来ましたー。
これはもう、直線の変化に入りましたね。
良くも悪くも直線の変化です、ここさえうまく読み切れば振り飛車が優勢になる可能性があると思いました。以下、同歩、76歩、同金、67銀、77飛、76銀成、同飛で下図。
これはどっちが勝っているのか!?
以下、△75金はさすがにやらないと思った。
78飛と引いて、86飛に88歩。
後手はかなり神経を使う展開なので実戦的に自信ありました。
本譜は、再掲下図以下・・・
伝統猟法鳥刺しの低い陣形を活かして86飛、同飛、同角、82飛、69飛と進行。
角を46に逃げるのか、35に逃げるのかが分からない!!
まぁ46角が形的に普通で、
以下、89飛成、81飛成、71金、85竜となりそう。
振り飛車やや良さそうですが先は長い。
本譜は、短期決戦で決めるぞ~という思いが強かったので35角!と出ました。
以下、89飛成。
ここで▲62角成が35角を出た時からの予定だったのですが…
この瞬間に△36桂、同歩、64角が分からなかった。
以下、55歩、82角、61馬。
金銀の保有量が違うので良いとは思うんですが…
以下、78飛、39金打、55角、46銀、66角、59歩、51金打がある。
よくみると8筋と7筋に後手の飛車が貫通していて馬が逃げると馬刺しになっちまいます。
以下、先手は▲67銀と打つのですが正直形勢不明、よくわからないので断念しました。
というわけで、再掲下図以下予定変更で…
81飛成に△36桂と打たせる将棋にしました。
いやぁ・・・かなり怖いです。
同歩は、64角で王手飛車なので・・・
取らずに18王と逃げました。
ここで平凡な15歩は・・・
36歩、16歩、61竜がぴったり。
35角が17の地点に効いてくるので先手王は詰みません。
従って再掲下図以下、
28金、17王と進行。
以下、68角成が読み筋だったのですが、指した後に「あれ!?」という手に気づいてしまった。
上図以下、平凡に38金でどうしたらいいんだろう?
これを同金なら29竜で先手王の寿命が縮まるので・・・61竜といきます。
先手王が詰めろではないのでこれは極楽鳥コースと思っていたんですがね~~。
念のため、後手の応手を読んでいました。
1、51金
2、51銀
3、49竜
4、52銀
1、51金と竜に当てるのは52銀。
35角の効果で後手王は狭いので52銀が詰めろで勝ち。
2、51銀は53桂で勝ち。
49竜が詰めろにならないのでこれで良い。
3、受けないで49竜は52銀。
51金打には41銀不成、同金、52銀とすれば持ち駒から金が無くなるので後手は受けが効かない。
4、さて、△52銀はどうするんでしょう( ゚Д゚)?
以下、62竜しかないと思いますがそこで49竜。
まだ先手王は詰めろでは無いのですが、今度はどうやって詰めろをかけるのか全く分からなかったですね。
当初は▲53銀と被せれば勝ちと思ったんですがそこで42金打がありますね。
以下、42銀成なら同角で角を活用されてしまいあひゃ・・・って感じです。
う~~ん、応手によってはケンタッキ~ケンタッキ~ケンタッキ~♪と『逆転ラバーズ』されてしまうかもしれないですね。
終盤は奥が深すぎます。
本譜は再掲下図以下・・・
68角成。
以下、▲89竜、35馬に26銀。
怖い形ですが、5、6回確認したので大丈夫と思った。
以下、57馬だったので36歩、19金、28王と引く。
以下、29金、同王、24香と串刺の香が放たれた。
先手陣は、桂・香を削られかなり薄い形になのでここで銀が逃げたりすると次から次へと攻めが増し増しになっていきもたなさそう。そこで一枚28銀と自陣に投入。
鳥管理センターに身を潜めることにしました。
先手王がZ(何枚渡しても詰まない形)になったので攻めに専念する事が出来ます。
上図以下、26香、同歩、44桂、37香、56桂、35桂!
待望の桂を打ててやっと勝ちに。
鳥刺し玉は横から攻められないので43or23の地点を食い破るのが最短だと思います。
以下、34銀、46桂、45銀、85竜。
勝ちです。
この将棋は水面下の変化で謎が多かった。
感想戦で序盤らへんを「あれってこうやるとどうすんですか?」と聞いてみたら、駒を並べ始めたので「ア…これは初形に戻して終了パターンかな」と思ったら該当局面に戻してくれていたようでした。鳥指し陣って41金・61金と駒がほとんど動いていないから紛らわしいw
そして無言で該当局面に戻すのはアツい感想戦になるパターンだと身構えました。
こっちも、全力で局面の評価をぶつけたら3回くらい負かされました、うち1回は銀挟みくらって死亡。
ジュニア世代でも強ければ強い人ほど感想戦の探求心が強いように感じます。それがそのまま伸びしろにつながっている気がします。Nさんは当然ですがもっと強くなるんだろうなぁと思いました。
また、機会があれば教えていただきたいですね。
というわけで2-0で予選通過。
次の対局は16時、まさかの3時間以上の空き時間!
どうしたものか。
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