米長玉の銀冠vs後手四間「41飛+42角型」【矢内本の考察有】

◎2018.7.19 第77期順位戦C級2組2回戦  
  ▲島本5段vs△井出四段

ノーマル四間飛車の若手筆頭株 井出四段に島本五段が矢内流で挑むゾ!
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矢内流とは、上図のような角筋を通した米長銀冠+57銀型の形を言う。
これを使って矢内女流はかつで女流名人+女王の称号を得て『矢内理絵子の振り飛車破り』という本を出版した。
    
これはなかなかの名著なのでブログの最後でその心を説明したい。

さて、本譜は上図以下88金と居飛車は串カツ囲い風に固める方針をとった。
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これはどうなんでしょうか?
次に78金右と固めたところで銀冠穴熊ではないので玉頭が薄い事には変わりはない。
 上図以下、83銀、78金右、72金、68銀と進む。
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これはもう固めてどん!という方針ですね居飛車は。
攻め駒の効率を考えると46歩から45歩と突っかける展開が予想されます。

さてさて、こういう将棋は方向性を間違うといっぺんに振り飛車必敗となります。

【study】
まず、振り飛車の飛車
これはもう2・3・4・5筋から捌く将棋では無いですよね、捌けたとしても横から攻めるには居飛車の王様堅すぎで気が遠くなります。

次に振り飛車の33にいても居飛車の弱点である玉頭に効いていません。
なんとしても42角と引いて、将来の△85歩!という筋を実現しなければいけません。

はい、では考えましょう。
42角を実現するには、42の飛車をどこかに動かす必要があります。
52、32、22、さあどこでしょう?

井出プロの着手は・・・





41でした\(^o^)/
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さっきも言ったように捌く将棋ではない。
41飛車は地下鉄飛車の含みもありますがそれ以上に守備的な意味があります。
・将来△85歩、▲同歩、△同桂、▲同角の時に△42の飛車取りになるのを避けた。
・△42から角が消えると2筋が手薄になる→居飛車は2筋を突破してくる→そのとき41飛で21の桂馬にひもをつけているという意味もあるわけです。

さて、本譜ですが上図以下、46歩に14歩は憎いですね。
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▲45歩と攻めて来ればいいじゃん?
やってきなよ、ベイベー?
と言っているように感じる。

なら、やってみるか~~!
上図以下45歩。
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ここで振り飛車12香のような手だと~
35歩で苦労するはめになります。
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この45歩+35歩と2枚並んだ形は相当うるさい。
桂馬が参加しなくてもこれだけで手が成立する事があるので振り飛車注意が必要。

従って下図からは切り返す必要あり。
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以下、85歩!、44歩、同銀、45歩、86歩で下図。
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4筋で駒がぶつかった瞬間に8筋を絡めるのが反動を利用するノーマル振り飛車の極意。
上図はどちらも銀取りだが居飛車の方は王様のすぐナナメ上でどんぱちやられていて生きている心地がしないだろう。以下、同銀には53銀が幸便。

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望んでいない4筋突破までみえてきたので振り飛車良し。

戻って下図以下・・・
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同角が普通でそれにも53銀、48飛と回る。
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以下、△46歩、同飛、85歩、77角、同角成、同銀、64角が痛打。
46歩の垂らしが急所の筋へ飛車を呼ぶこむ手筋ですね。
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以下49飛に99角成と香車を取って8筋に投入していけば振り飛車が良さそう。

戻って下図では…
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37桂と活用する手もある。
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これ、24歩、同歩、37桂もあるけどその場合1歩を後手に渡すので怖い。
素直に37桂ならどうなるかという検証を今しています。
1歩無いから成立しているのではー?と居飛車は思いたいはずですが、1歩落ちてました。
以下、85歩、同歩、同桂、86角で下図。
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後手は以下△84銀と9筋に力を溜めても指せそう。
あるいは上図以下△35歩、26飛、15角の筋も美味しそう。
振り飛車良しですね。


というわけで島本五段は下図以下…
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▲16歩と突き12香に37桂と跳ねました。
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今度こそ4筋から攻めちゃいますよ~って意味ですが井出四段の次の1手は自信がないと指せない。
    ⇓

    ⇓


 堂々と42角!
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ついに41飛+42角が実現した。
12香が入れば成立するとみているんですね、これはメモだメモ。
以下、怒って45歩にあっさり取り同歩、22角成に85歩!そして77金左には驚いた。
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私なら負けても77銀と活用するけど・・・。
やはり島本五段苦しいと見ているので勝負手なんでしょうね。

以下、86歩、同銀、64角、27飛。
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桂馬を渡すと8筋に拠点を作られて打ち込まれて必敗になるので居飛車は耐えました。
しかし!
86銀型を咎める頻出の手筋があります。
これは覚えておいて損なし。
以下、95歩、同歩、96歩!
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次に△85歩で銀死亡。
鬼厳しいネ、▲85歩と受けても△84歩であひゃ。
98王+86銀型にはこの手筋でキメ(^_-)-☆
以下、井出四段が寄せ切って勝ちました~。
会心譜だったと思います。
井出先生の四間本もかなり良い本なので買っていない人はぜひ買ってくださいね。
 
藤井先生の『四間の急所』の一部が少し古くなってきているので新バイブルとして持っておいてよい本だと思います。

【矢内女流の先見性について】
冒頭でちらっと触れた矢内本について触れます。
     

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本局でも現れたこの局面、矢内本では以下16歩、12香という謎の駆け引きを経由して下図になります。
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ここから王道の46歩→45歩の仕掛けのに…
1、38飛
2、46銀
という構想を推奨しています。

1の38飛の意味は・・・
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以下、32飛、46歩、42角と指させて・・・
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33の角が88王のラインからそれたところで以下、88王、83銀、98香!
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そう、銀冠穴熊を狙おうという意味です。
これ、現代にも伝わる構想ですよね。
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矢内女流は元奨励会出身とはいえ、こういう構想をソフトが無い時代に考えていたというのは驚きですよね~。

2の46銀は・・・
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以下、32飛、37桂、83銀、26飛のPona流の筋が狙いです。
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46銀+37桂+26飛型自体、昔からある将棋なので驚きませんが有力と見ていたというのに矢内女流の才能を感じます。
 上の局面だけみれば直近1年以内の将棋でもおかしくないですからよね。
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矢内本は現代将棋の構想に通ずるところがあるので読んでみると面白いですよ。

読まないなら矢内(流の理解)さんを諦めてください!




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