マイナビ女子オープン 加藤女王vs室谷女流

今期のマイナビ女子オープン振り飛車党感涙の展開だったよな~。
それでは、加藤ももこ女王・女流王座・奨励会初段 vs 挑戦者 室谷ゆき女流の5番勝負を振り返ってみよう。
 https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/

と、その前に、最近私はソフトのせいで振り飛車が廃れてきてプロの将棋に興味が薄れてきました。ソフトが絡む将棋も最初は面白かったけどなんか飽きてきたわけですよ、アマチュアの将棋も穴熊ばっかりで息苦しく感じでおりました。

しかし!!そんな時代だからこそシリーズを通して室谷さんの心意気は素晴らしかったと思う。
全局通して振り飛車+美濃囲いで作戦勝ち!振り飛車のテクニック満載で見ていてすごくワクワクした。

<私は振り飛車を極めてきました、研究してきました!!はっきり言って勝ちにきました!!!私の将棋を観てください!!」
という気合いが伝わってくる。

女流の将棋は、男性並みにシビアに研究してるわけでないし見る価値ないって人もいるかもしれない。でも、プロもアマもソフトに支配されつつあるこの時代だから今の女流の将棋には価値がある、気持ちが爆発する将棋はやっぱり面白いです。

◎ 挑戦者になるまで。
室谷さんはアマチュア時代に中・高と全国制覇をしており2009年プロデビュー。
将棋界のアイドルという宿命を背負うことになり、テレビ番組や将棋祭りなど普及活動に忙しすぎてイマイチ伸び悩んでいる印象でした。
 私も2年前の宮城山形対抗戦にゲストで来た際は7面指しの指導対局受けて光の速さで負け、サインを貰ったりしていました笑。
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しかし、今期は本業プレーヤーとしての活躍はすごかった。

予選ベスト4 vs清水女流6段
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/9/mynavi201602100101.html
清水女流は長年 女流を牽引してきた第一人者、捕ったタイトル数知れず。奨励会二~三段の力はあると言われている。
将棋は室谷さんの後手角交換振り飛車に清水女流が序盤からベテランらしくわけのわからない力戦に持ち込もうとする。しかし、室谷さんは振り飛車らしくいかにも筋みたいな構想で切り裂く風の捌き。ベテランに力を発揮させなかった、清水女流の壁を越えた、強い。

予選決勝 vs西山ともか奨励会3段
はっきり言って勝てるわけないと思った。
西山ともかさんは慶応義塾大に通う才女であり、天才 里見かな女流4冠より早く奨励会三段に到達。室谷さんより2歳若い95年生まれ。女性初のプロになるのは西山さんなのかなと思ったりもしています。また、現女王の加藤さんは奨励会初段なので西山さんが挑戦者になって圧倒的な強さでタイトルを奪取すると多分誰もが思っていたと思います。

それがなんと~、室谷さん勝っちゃうんだもんな~!レスター優勝みたいな感じでした。
戦型は、相三間飛車へ。
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/9/mynavi201603020101.html 
まず、相振り飛車という戦型は格下が格上に一発入れやすい戦型なんですよ、攻めが決まると受け無しになるから笑。
そして相三間はお互い最大限に我を通す戦型で女流の将棋で頻発するのがまた面白い。
しかしですよ、西山さんは奨励会3段、限りなく実力はプロに近いわけで研究も行き届いているはず、そこに相三間で切り込んだ室谷さんはすごい、相当気が強いと思う笑。

印象に残ったのは81手目98香車。
最近女流棋界も現役奨励会員や元奨励会員が幅をきかせている、奨励会経験者はジュニア時代に特異な経験をしているので終盤が異常に強い。
 室谷さんは奨励会を経由しない純粋プロ、本人も言っているように終盤が課題、だからこそこうした技を使って勝ちの期待値を上げる必要があったのだと思う、自分のことのように思う笑。

◎室谷さんが挑戦を決めた直後の香川まなお女流のTwitterのコメント
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いやぁ・・本当に本当に・・この2人の関係は漫画のように甘酸っぱい。
香川さんは、里見かなさんから女流王将を奪取して超人気女流棋士となったのですが2015年にタイトルを奪われ傷心。ライバルの室谷さんに挑戦をキメられ本当に悔しかったと思う。でも、弱いんだから仕方ないと書いてるのはさすが勝負師である。女流棋界の面白い部分は本来こうした感情を男性プロは出さないけど平気で出すとこ、AKBやももクロみたいにストーリーを感じてファンになっちゃう大人も多いと思います^^

◎ タイトル保持者 加藤ももこさんとは。
加藤ももこ女王は、95年生まれで室谷女流より若い。
で、彼女については誰もが不思議に思っている事かもしれないが500万円争奪杯(マイナビ女子オープン・リコー女流王座戦)において異常な勝負強さで今期合わせて実に8回も獲得している。
 実力は奨励会初段、他の女流棋士にもそれに近い実力を持った方はたくさんいるのに8回もタイトルを獲るのは凄まじい、里見さんの休場や不調があったとは言え、とてつもない天運の下に生まれてきたと思う。

◎5番勝負 第1局
この5番勝負は、白瀧呉服店さんがスポンサーに入り両対局者に艶やかな着物を提供しているところがまた良いですね。観ているだけでほれぼれします↓
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※この写真はマイナビのHPの中継ブログから転載しています。

https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/9/mynavi201604120101.html
 室谷さんの角道オープン向かい飛車、35手目66銀は本人予定変更との事だったが結果的にこれで流れを引き寄せた、振り飛車を指しなれているという印象です。61手目の金打ちで金銀5枚+角で鉄壁の布陣を完成、華やかさを捨てとにかくと金攻めを間に合わせて泥臭く1手勝ちを目指す、室谷さんの勝ちたい気持ちが伝わってくる。
しかし、加藤女王の勝負術はすごいね、奨励会にいるだけありプロ筋の端攻め一本で逆転、終盤力は私の方が上ですとばかりにガンガン指して加藤女王勝ち。
振り飛車は居飛車よりも最後の最後まで全力で苦労して勝ち筋を読み切らないといけないのだ。

5番勝負 第2局
 https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/9/mynavi201604270101.html 
室谷さんがまさかの矢倉流中飛車というノーマル振り飛車を選択。
去年本も出版されていますが、出版するのが遅すぎてとっくにブームは過ぎて対策も出され正直周りで使っている人を見かけたことが無いのだが~~だがそこがいい!

加藤女王も現代流の角道を止めない振り飛車をマークしていたと思うのでこれは想定外だったと思う。そして室谷さんの思惑通り加藤女王が中盤で判断を誤り一気に優勢へ。94手目58金は、格上に勝つ理想の勝ち方、足し算の攻めは受け無し(笑)、相手が羽生名人でも受け無しなのです。私みたいな終盤弱者はこういうわかりやすい手で勝つのがとっても好きです。

室谷さん勝って1-1へ。
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写真はスマホの携帯中継より。白瀧呉服店さんの和服選びのセンスが光っているのも毎回見逃せないポイントです。

◎5番勝負 第3局
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/9/mynavi201605090101.html 
なんと全編動画で見られるようです!
https://www.youtube.com/watch?v=ggO-gSyWuuo 
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再び角道オープン向かい飛車で先手室谷さんが優勢に。61手目58金左の局面は、指がしなったと思う。しかし、加藤女王の粘りもいかにもプロ筋っぽい、龍を86→82→32と大回転して82手目33香車+65銀で美濃のこびん攻めを見せた局面は振り飛車嫌だ。案の定、逆転で加藤女王の勝ち、一時かなり室谷さんが優勢と評価されていたがそんなの関係無しに終盤力で勝っちゃうのが強い人。室谷さん無念である。


5番勝負 第4局
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今日の和服も素晴らしい、白瀧呉服店さんのファンになりそうです。

室谷さんが4→3戦法を採用。ただこの戦型は、29手目58銀の渡辺新手があまりにも鮮烈で最近は見ない、、そこに研究を加えて振り飛車良しにしてしまった室谷さんはすごいと思う。

しかし、立石流など金銀分裂系の将棋は異常なほど王様が薄い。ほぼノーミスで受け切らないといけないので大変なのである。
本局も案の定だった、60手目38歩で居飛車は受け無しだから攻めるよりない、振り飛車は受けるよりない。そして79手目86銀は加藤女王さすがの勝負術。感想戦では読みきれてないと言っていたが指した、天性の勝負師。以降、逆転して、加藤女王防衛となった。

室谷さん残念でした、またタイトル戦で振り飛車ローテーションを見せて欲しいです。
中終盤の随所に見られる振り飛車の極意みたいな(田舎道場のオッサンくさい)手に親近感を覚えた方も多いのではないですかね。負けはしたけど将棋の内容でますますファンも増えたと思いますね。
 局後の感想で、インタビュアーから「室谷さんの方が指しやすいという評判でした」と聞かれ「指しやすいと思わないように指していました」と答えたのは深い…メディアで華やかな姿が取り上げられる一方で、もがき苦しんでいる事がうかがえる。強くなると思う。

あと、こっからは個人的な感想ですが、受け切って安全勝ちにするのは相当に実力差がないと厳しい、今シリーズみたいになんやかんやで格上の攻撃力にやられてしまう。将棋で勝つには受けより攻めを極めないといけないなーって改めて再認識させられました。格上に攻め合う勇気、振り飛車で攻め合い勝ちする技術と終盤力、久保先生をお手本に私も頑張りたいと思いました。
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