前回の記事で春休みの全てを将棋の研究に費やしたことを報告した。
失ったものは大きい。
・晩御飯の時間になると寮の友人達が部屋の前に来てチャイムを鳴らすのだが一切無視、将棋の研究を続けたいので居留守を使い続けた。うっかり一緒に食事しようものなら「これから部屋行っていい?」とか「カラオケいかね?」とか始まるのでとても煩わしかった。うちは全国目指してるけぇ、邪魔しないでくれ~~!と本気で思っていた。中には私の事を良くわかってくれる友人もいた、そういう人はたいてい学生時代に部活動や受験勉強で死線を彷徨った人達だ。今も昔も青春時代に何かに打ち込んだ人とはよくフィーリングが合う。
・部屋で1週間以上同じ局面を考えている事があった、そもそも振り飛車が良くなる局面なのかもわからなかったので時間だけが過ぎていく。あの頃はソフトも無かったので振り飛車が必ず良くなるという信念を持ってやり続けるしかなかった。
発見もあった。
いくら考えても打開策が思い浮かばない局面。
思考能力が無くなりフラフラと盤面に指を這わせた。
これは!!!( ゚Д゚)
何も考えずに導かれるように指した手が素晴らしい好手だと気づいた。
なんてことだ…
それ以来、一切の思考・先入観を排除しダウジングのように指が盤面に触れた場所を真面目に検討するという局面の探索方法を最終手段の中の最終手段として取り入れた。
まぁそれで発見される手はたいてい論外みたいな手なんだけどねwでもごくまれにとてつもなくすごい手を発見する時があるから面白い。
そう考えるといかに我々が普段から先入観に縛られているのかがよく分かる。
将棋は…強くなろうと思うと途方も無い時間を要する。
しかしながら何事も一時的にで良いので、狂気の世界に身を置くのが上達への近道だと思う。
※私のやり方は将棋の序盤が好きな人向けの勉強法です。将棋を強くなろうとか、勝ちたい!という人は序盤にこんなに時間を使ったらダメだと思う。要領良く強くなりたかったら研究に見切りをつける勇気も大事。序盤信者は勝負師に向かない。
ただし…使える戦法がノーマル四間のみとか早石田とゴキ中のみとかそういう感じの人はそれを破られたら終わりなので研究もドツボにハマりやすい。
結局、羽生先生のようなオールラウンダーが最強です。得意戦法なんて無くていいのかもしれない。特に今の時代はシステム化された戦法を創り上げても、SNSで棋譜が広まり次の日にはソフトで対策が研究されてしまう。創造力のある棋士が駆逐される時代です。
現代は、流行の戦法(その時点で勝ちやすい戦法)をちょこっと研究して勝つ能力がある人が生き残る時代だと思う(なにはともあれ地力は必要だが)。
まぁアマチュアは自分の好きな戦法を楽しく指すのが一番なのだが上にいけば行くほど戦法の閉塞感みたいなものを感じるよね。
・カップラーメンを食べすぎて栄養バランスがおかしくなり救急車で運ばれた\(^o^)/ これはひどい。
・そして自動車学校の卒業は秋に繰り越し\(^o^)/
【東北地区の大学春大会】
◎団体戦
・▲あべしんvs△Y津さん(山大)
Y津さんは当時の東北学生棋界面白人間の一人ですが色々と書けませんwというわけで将棋の解説。
69桂! とにかく57銀のポジションをキープ。
勝ちました~と33に歩を叩いたら…
馬利いてるのをうっかりして弟2ラウンドへ。
勝ったから良かったですがひどい将棋でした。
ここは▲76歩と馬道を遮断するべきだったか?
22桂!! えええええwwしかし指されてみるとなるほど。
つかみどころがない。この将棋はここを境に負けました。
ついに大学1年の頃から続く団体戦連勝記録が途絶えました、あひゃ。
ただし、チームは弘前大学に勝ちました。
・優勝決定戦 vs東北大
東北大主将のK主将と当たりたかった…。
会場を見渡すといつもK主将の周りには笑顔の輪が出来ている。
団体戦は相手のエースを削るのも重要だがチームを支えるキーポイントプレーヤー(精神的支柱)が必ずいる。そこを叩けば仲間は勢いづくし敵は動揺する。
うちの大学が勝つならそういう感じなのかなと思ったりしたのですがオーダーが噛み合わない。この時の対戦相手だれでしたっけ…すいません忘れました(>_<)
案の条、私は勝ったけどチームは負けました\(^o^)/
「マジでよ~~君たちはドリフのコントをしにきたんか~~?なんで東北大戦になると椅子からドテっと総崩れするんや~いつもの実力出せや~~~(>_<)」と思いながらも本命の個人戦に頭を切り替えました。
◎東北学生名人戦(個人戦)
大学時代に1回くらいは全国大会に行っときたいなぁと思っていたのでこの大会は頑張りました。本格ノーマル四間を武器に!
・予選 ▲K向さん(弘前大) vs△あべしん
居飛車穴熊のK向さんが17香と逃げたところ。
後手に香車を持たせると端攻めがより厳しくなるのでそう指すところだと思う。ここで第一感は47歩の垂らしか35歩(44香に43歩と打つ1歩を取るという意味)なのだが私は…
62金上!善悪は微妙ですが地下鉄の筋をチラつかせて先手から攻めてもらう方針です 飛車の逃げ場所が増えた点にも注目です。 ここから流れが大きく私に傾いて予選通過。
本戦も勝ち進んで…
・準々決勝 あべしんvsM田さん(東北大)
55歩と先に仕掛け研究手順が決まり、ベスト4へ。
1日目終了。
あべしん vs K向さん(弘前)
ベスト4の大将ことY澤先輩 vs 東北大K主将
あと1回勝つと全国大会!
翌日…
予選でも当たった弘前大学のエースのK向さん
予選同様に居飛車穴熊やってくると思ったので最初から立石流を使って穴熊を牽制。
同歩は55角があるので38金、これでは先手が苦しい。
この大一番を勝って全国大会の切符をGET、よっしゃ~。
・決勝は、大学の先輩であるY澤さんと。
ベスト4に定評のあるY澤先輩が学生生活最後の大会でついに殻を破りました。
大学OBが応援に来ていたのですが「もう2人とも全国決まったからどっちでもい~わ~」と言っていました。
下図、後手が私ですが…26飛+37桂+46銀のシステムの受け方が分かりませんでした~~\(^o^)/。
〇全国学生名人戦 in東京
金が無かったのでY澤先輩と夜行バスで上京しました。
初の夜行バスだったんですが疲れますね、超格安の4列シートだったので隣に人がいて足も延ばせなくて削られました。
そんで肝心の大会は…
・1回戦で立命のI葉さんと。
先手が私、66銀型四間で穴熊を削りにいったら強烈なカウンターをくらいました。上図でのI葉さんの次の1手には驚きました。
54銀打!!全く読みになかった…( ;∀;)
万が一にも負けない手ですね…手堅い。
わけがわからなくなって…そのまま負け。
この大会でI葉さんは学生名人になりました、強すぎです。
Y澤先輩は1回勝ってベスト16で終了、東北代表にとって学生名人戦は鬼門。うちの大学が全国で活躍するのはH19のH宮氏(準優勝)まで待たないといけないのであった。
〇 【大学デビュー】
全国に行くという一つの目標を達成したのでここを区切りにしました。
さすがに将棋廃人・将棋求道者みたいな生活を続けていると将棋の国から戻ってこれない気がしたのでここで幕引きです!
え~~~とですね・・・
大学デビューしちゃいました\(^o^)/
パリピ~~~~☆
つまり、ちゃんと学校に行くようになったという事です(笑)
正直、大学1年で必修の単位含め20単位すら取れていないので将棋を滞りなく続けるには単位を取るしか無かったのです。
そして大学デビューと言えばコレ!!
茶髪+コンタクトにしてまともな服を着るようにしました(∩´∀`)∩
ま、すぐにコンタクトが合わない事が判明して挫折したんですけどね⤵
〇1年で80単位以上取りました
効率よくいかに理解しないで単位を取るかという大学生特有の能力が私にも開花したようでした。
そして、全てはノートを提供してくれた同じ学部の友人のおかげです。彼は将棋部ではないのですがとてもいい人です。
ただし極度の声優オタで私の家に来ると勝手にななちゃん(水城奈々)やゆかりん(田村ゆかり)、ほっちゃん(堀江由衣)のDVDの上映会を始めるので完全に私は毒され一緒に水城奈々のLIVEに行きました。好きな曲は「take a shot」では無く「take a chance」なんですがYoutubeに落ちて無かったので貼れません(笑)
〇東日本大会
この大会の関東代表は、全国大会へ行けなかった人に出場権があるみたいだったので東北レベルでも勝負になります。
・あべしんvs関東選抜Ⅰの方
思い出の1局。ここから私はですね…
33銀と打って3手詰を逃して負けます。\(^o^)/
しかもギャラリーみんな見ていたので最悪でした。
・個人戦は、慶応のエースKさんに急戦されて軽くふっとばされました…そしてKさんが優勝しました。
〇東北地区の大学秋大会
今年も秋田の山奥に隔離される学生大会が始まりました。
山奥なので逃げたくても逃げられません。
全国的に見てこんなとこで将棋やってる地区あるんでしょうか?w
将棋じゃなくて精神的にタフな奴が生き残るデスゲームが始まった!
・団体戦
いつも通り東北大と決勝戦!
Y澤先輩も最後だし気合が入った。
▲あべしんvs△F屋くん(東北大)
このときF屋くんはルーキーで正直、どのくらい強いのか分かっていなかった。
この局面に至るまで私はずーっと猛攻を受けていてようやく受けきったかなと。図は、33歩がF屋くんの最後のお願い攻撃。
以下、45銀に・・・
89角( ゚Д゚)!!
あああああww
36銀には18角成が詰めろ!
ここで16歩と逃げ道を作るようではつらい。
負けました\(^o^)/
チームも0-7負けをくらいました\(^o^)/
東北大つええええ。
なお、F屋くんはこの後東北学生棋界で1・2を争う実力者になりますが途中で前向きな退学をします。とても才能があったぷれ~や~だと思いました。
・東北学生王将戦(個人戦)
うん・・春に目標達成したからそこまで乗り気じゃなかった。
◎本戦2回戦
▲H田氏(東北大)vs△あべしん
当時の東北学生棋界を語る上でH田氏の存在はスルー出来ない。
彼はそんなに筋の良い将棋を指すわけでは無いのだがやたらと辛抱強く粘り強い。
それも尋常じゃないくらい(笑)。
高校時代に陸上で鍛え上げた強靭な精神力&体力が彼を支えているという説もある。
本局は、後手あべしん得意の53銀型四間の相振りバージョン(笑)
48金上は相振りにおける美濃囲いの手筋。
以下、46歩、同歩、同飛、47歩に43飛と引く。
以下、65歩に23飛。
スムーズに2筋へ飛車を転換して後手としては十分。
数十手進んで下図。
以下、15歩、同歩、17歩、同香、16歩、同香、34角。
16角から香車とって25に打つと必ず2筋が突破できる!!
さすがにこの将棋は勝たせていただきました。
◎準々決勝
▲M野さん(岩手大)vs△あべしん
M野さんは東北学生棋界を代表する強豪で軽い捌きが信条の振り飛車党。
今、後手の私が54角と打った局面。
次の1手には驚きました。
↓
63銀!!
これはひえええです。
しかしここで取り乱しました。
以下、27角成、同王、26飛、同飛、同銀、38王、79飛と爆裂してしまった。※東北大将棋部員が当時「爆裂」という言葉を病的なまでに使っていたのでパクらせていただきました。
気分的にこれが27銀打からの詰めろだったんですが実は1枚足りないという。
さすがに見破られて22飛と打たれて下図。
63銀のクサビがこれほど強烈な局面になるとはぁぁぁ\(^o^)/
カナ駒があと1枚あれば先手は詰むので63金寄、52飛成、62歩と進行。
以下71角!と打たれて詰まされてあひゃ。
ひええです。
戻って下図では…
同金左として・・・
カナ駒の数を一枚増やしておいてから今の変化に入れば勝ちでした。
手順前後したべや~~。
〇キリンビバレッジ学生将棋選手権 in大阪
大学1年の頃はI澤氏と青春18切符で行ったのですが遠すぎて削られました。
と言いつつも、この年はフェリーで行ったんでしたっけ?(笑)
記憶が曖昧です。
この大会ですが入学が決まった高校生も大学生チームに参加出来るというルールがあった。
・Y澤東北学生名人 ←春から社会人なのでラスト大会。
・あべしん東北学生準名人
・I澤氏(全国高校新人戦ベスト8だがそもそもが怪しい)
・H川氏(後の東北学生準王将・支部対抗戦東日本大会優勝だがこの頃は怪しい)
・H宮氏(高校生。後の全国学生名人戦2位だがこの頃は怪しい)
というメンバーで乗り込む。
4回戦まで戦って、将棋弱小大学の我々は3勝1敗の好成績!!
次勝てば、4勝なので入賞のチャンス☆
今まで全国で入賞とか高校時代含めて無い人生を送ってきたのでここは下剋上したい~~地方のマイナー私立大学でもやれば出来るって事を証明したい~~!!
それぞれの思いが交錯しひとつになった!!
我々は円陣を組んだ!嘘です、組んでません<m(__)m>
・最終5回戦
▲あべしんvs△F氏(広島大)
F氏は中・高で全国制覇をしている強豪。
私はF氏が全国制覇する姿をリアルタイムで見ていました。
あの時は自分の力が足りな過ぎてろくに勝てなかった。
今ならどうだろうか?
力一杯ぶつかりました。
下図はF氏が53銀と6筋を堅めたところ。
単に56銀は55歩で無効。しかし仕掛けのチャンスと見た。
以下、▲65歩、同歩、22角成、同飛、77桂!
これは全軍躍動の予感。
以下、64銀右、56銀、73桂、75歩。
そのまま勝ちました・・・( ゚Д゚)。
チームも勝ち4-1で全国6位入賞☆
なんだ、おれらみたいなバカでもやればできるじゃん!
と充実感に浸りました。
入賞商品は「関西将棋会館でしか使えない商品券」\(^o^)/
バンカナ2級の写真集を買いました。
これね、卒業時に大学将棋部の部室に寄贈したので 後輩たちは探してみると良いですよ。
大学3年の頃へ続く⇒私の将棋史 ~大学3年の頃~
あべしん
・アマ五段(県竜王戦優勝)の四間飛車党
・中学、高校、大学、社会人で県優勝
→全国大会出場
・地元紙で将棋の観戦記を書いてます
・連絡先→kouteipengin6@gmail.com
コメント
長谷川
文章もとっても面白くて懐かしい。
2018/01/18 URL 編集
あべしん
生きていたんですね。
ちゃんと柿木将棋に入れてましたよ、部員全員そうしていると思ったんですが違いますか?
2018/01/18 URL 編集