菅井挑戦者が全局通じて貪欲に勝ちにこだわったという印象。
毎対局ごと振り飛車の新構想を準備して、さらに時間攻めも絡めて戦う。
羽生先生からは戸惑いを感じる、ちょっと菅井流の将棋についていけてない印象。
藤井猛先生が圧倒的な強さで谷川先生から竜王を奪取したシーズンに似ているなぁ。
一時期菅井先生は振り飛車党から居飛車党に転向したのだが最近また振り飛車党に戻った。居飛車を指したことで終盤の鋭さや序中盤の感覚が以前よりさらに洗練されたように思える。
序盤のポイントを私レベルで申し訳ないが振り返らせてください。
◎第一局 ▲羽生王位vs△菅井挑戦者
ここで52飛とすればゴキゲン中飛車、菅井プロの得意戦法である。
当然そうなるかと思いきや…
32飛が菅井流。
ここで22角成から53角と打って良ければよいのだが▲25歩の突き越しがマイナスになっている可能性がある。具体的に振り飛車からの逆棒銀が面白そう。
ここらへんの変化は、98将棋ブログ様のうっかり三間飛車先手53角の変化で詳しく取り上げられているので割愛します。最新の将棋の水面下の変化は非常に価値の高い情報です、勉強になりました。
で、さっき面白そうと書いたのは大野流向かい飛車(馬作らせ戦法)と比較してという意味。
先手の56歩が大野流向かい飛車の出だし。
以下、88角成、同飛、57角。
この局面だと後手の歩が83なので逆棒銀の筋が無い。
菅井流の想定局面はここから先手逆棒銀があるのでだいぶ得していると思う。
さすが菅井先生だな~と思いました。
網羅性の高い記事で勉強になりました。
◎第二局 ▲菅井挑戦者vs羽生王位
これが菅井先生の解。
やっぱりね~~そういう事なんですね。
78飛に代えて76歩の大野流向かい飛車は83歩型なので(逆棒銀の筋が無い)やりたくないんでしょうね。
で、「角交換振り飛車には銀冠でおk」みたいな格言が一時期あったと思ったのだが最近はそうでもないみたいですね。下図、菅井先生の次の1手には驚いた。
↓
ひえ~ですよ、ひえ~。角手放して採算取れるんですかね!?
しかし以下32金に86歩と仕掛けて先手良し。
中盤以降菅井先生の指し手が冴えまくりで振り飛車党全員震えたと思う。
棋譜は絶対並べてほしいと思う。
◎第三局 ▲羽生王位vs△菅井挑戦者
出た~~菅井流なんちゃって三間飛車。
なんちゃって三間飛車というネーミングはその通りなのだが学術的な名前が早く欲しいところではある。笑
はい、羽生王位が工夫します。
銀冠では無く矢倉に組みます。
初期の角交換振り飛車に対する陣形に戻りました。
ここで33角を打って打開するのかなと思いきや…
33桂。居飛車の陣形が万全なので33角は無理という事ですね。
この将棋は以下、56角と打つ王道の展開になって羽生先生が勝ちました。
羽生先生の対応力が光りました。
◎第四局 菅井挑戦者vs羽生王位
第2局では78飛だったが今度は普通に先手中飛車へ。
菅井先生は羽生先生の事前研究にハマらないように戦法を散らしている印象。
こういう勝つための戦い方、好きです。
この後、羽生先生は居飛車かと思いきやまさかの向かい飛車。
この後は48王から相振り飛車に進行すると思ったんですが…
えぇぇぇぇぇ( ゚Д゚)28飛。
28飛と戻る筋自体は菅井流。
でもそれってこういう感じの局面の筋ですよね?
この後、79銀型を活かして左穴熊を目指す感じ。
ここで28飛戻っても79に銀がいないから左穴熊出来ないんですがどうするんですかと思ったら~~
驚きました~~めっちゃ驚きました。
以下こんな感じに進みます。
糸谷流っぽい力戦形。
羽生先生が用意の作戦を出したと思いきや菅井先生が想像の斜め上を行く構想を用意してましたというオチ。
羽生先生全く力を出せず完敗、あひゃ。
この将棋見て改めて菅井先生の才能ヤバいと思いましたね~~。
ソフトには指せないような構想を練り上げて指しているところに感動します。
俺の将棋を見てくれ!という強いメッセージを感じます。
◎第五局 ▲羽生王位vs△菅井挑戦者
後手の菅井先生は坂田流向かい飛車をするのかと思ったらびっくりしましたねぇ。
↓↓
32飛??はぁぁぁ( ゚Д゚) どゆこと?笑
これは菅井先生しか分からないですね。
1局目からそうなんですが何をやってもどうやっても菅井流の序盤が飛んでくるので羽生先生は大変です。菅井先生は惜しみなく研究を披露して勝ちにきています。
以下、こうなりました。
なるほど~~先手玉は堅くならないから34金型でも十分という構想なんですね。
25桂と歩を取れば無理やりでも手が作れそうですし。
ちなみに、この手が指された日の朝、Jアラートが鳴りました。
「ミサイルくるよ~ミサイル東北地方に来るよ~」
朝からみなさんそうだと思うんですがゲンナリしましたよね。
私もです。昼休み、ブルーな気持ちで携帯中継を開いたら・・・
菅井先生がミサイル構築してて笑いました。
金・桂・飛と3つに分裂して炸裂したらタイトル奪取まであると思いましたね。
◎8/30深夜追記
→炸裂してました(笑)
菅井先生タイトル獲得おめでとうございます☆
ここまで研究披露してタイトル取れないと他の棋戦にも悪影響なので絶対勝ってほしかったので嬉しいです。
振り飛車党は1度使った戦法は徹底研究されて使えなくなる事が結構あるので努力が報われて良かったです!!
菅井新王位からはまだまだ振り飛車にも可能性があることを学びました。
これからも独創的な将棋でファンを魅了してほしいです!!
あと、羽生先生の若手へのリベンジというのも実は楽しみだったりします^^
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コメント
元部長
居飛車振り飛車両方使えるなら楽しそうです()
2017/09/01 URL 編集
あべしん
2017/09/02 URL 編集
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2017/10/15 URL 編集
あべしん
私レベルの話ですが勘の良い若い子に一回勝っても恐怖心の方が強いです。1回戦うと10回分くらい自分について知られてしまったような気がして次に戦って勝てる気がしないです。
藤井4段と当たる相手はどう思っているんでしょうか。藤井四段も苦しいですが対藤井4段の勝者も苦悩しているのかもしれません。
10代20代前半の棋士は総じて強気ですが実際の本音を聞きたいものです。
2017/10/15 URL 編集