後手四間の対棒銀△42金型に端香を上がるとどうなる?~理想形の先にあるもの~【棒銀対策10】

下図の後手陣は対棒銀最強の陣形。
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いわゆる理想形であり、定跡書通り仕掛けて悪くなるようでは「将棋ではなくコントをしにきたのか」と口の悪い将棋指しから言われそうである。ここから居飛車は、仕掛けずにくねくね動くことで、戦機を探る。そのひとつに端香を上がるという手段があるのだが…。

いやいやいや、あべしんさん!△42金型は居飛車に何を手待ちをされても次に△33金と上がり全てを封じ込める権利があるんですよ!定跡書読んでないんですかっ」というツッコミがきそうである。
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まぁ確かにこれで居飛車攻めの継続は難しい。ただ、あまりにもこれはやりすぎではないでしょうか?笑 というか、居飛車の攻めを封じたのはよいのだが振り飛車も金が離れたので、第二次駒組み合戦で堅く囲えないのがちょっち不満なんですよね。なので私としては、「△33金が理想形の先にあるもの」とは思いたくない。というわけで、△33金以外の手待ちを本記事では考えていきます。

再掲下図。
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以下
・▲17香…△64角の筋を避けた
・▲98香…△44角の筋を避けた
・▲98香+▲17香の合わせ技  を検討します。

端香上がりは、事前準備なしで指されると「うっ( ゚Д゚)!」となる。なぜなら香上がり1つにつき、振り飛車からのカウンターを1つ消しているように見えるからだ。それを間に受けると、だんだんとおかしな方向へいってしまう。
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□▲17香の変化
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▲17香は△64角が香取りにならないようにしたという意味。
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以下・△64歩
  ・△52金寄 を検討する。

・△64歩の変化
再掲下図。
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以下△64歩は△42金型だからこそ。というのも
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以下▲34歩△同銀▲45歩に△同歩と対応できるからだ。(△64角のカウンターの有無は関係ない)。
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以下▲33歩を△同金と取れるのが△42金型のメリット。

・△52金寄の変化
再掲下図。
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実は以下△52金寄でも十分だった。△42金と寄ったのに△52金寄と戻るのは「線」で見ると違和感だが、「点」で見ると王様を固めるという自然な手。
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ちなみにこれ、以下▲39飛と1手パスしてきたら△42金と戻ります(笑)。堅さをキープしながら千日手含みで待つという指し方です。
上図以下▲34歩△同銀▲45歩と仕掛けたらどうなるか?
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「やべっ!香取れないじゃん(>_<)」とぼやきながら△64角と出ます。
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以下▲44歩に頭を抱えながら△19角成
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実は後手良し(゚∀゚)
香を取れなくても△29馬が厳しいので後手十分

なので、▲17香という手待ちは△64角対策にはならないわけです。ちなみに△64角対策の決定打は△64歩を突かせること(笑)。でも△64歩→△65歩となると再び△64角が復活するのでそこは微妙。

◎98香の変化
再掲下図。
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以下▲98香はどうか。
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これにも△52金寄と待ちます。
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以下▲45歩△同歩▲11角成
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ここで△44角と定番の切り返しはハマり(>_<)。
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以下▲21馬△99角成
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以下、ニョキっと▲97香立つ!
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このアスパラは桂のひもがついているので収穫できない。後手悪いですね。

再掲下図。
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よく見たら△64角と出れるやんけ( ゚Д゚)!
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以下▲18飛▲33桂▲21馬△42飛
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以下▲11馬(桂取り)なら△32飛と千日手含みで後手良し。

そもそも論。
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以下、ここでは△35歩がある。
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以下▲同銀でみんな大好き「5段目の銀」になるが…
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世の中には「安定する5段目の銀」と「安定しない5段目の銀」がありましてこれは後者。なぜなら△45歩が成立するから。
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以下・▲44歩は△同銀▲同銀△38飛成で\(^o^)/
  ・▲34歩は△64角
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このラインが厳しいので後手良しです。

※『四間飛車の急所』3巻217ぺージも参照してください。
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◎▲98香+▲17香の合わせ技
再掲下図。
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以下▲17香とこちらもあがる(笑)
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さすがに左右の香上がりに2手かけなきゃいけない作戦は失敗なのではないかと思うが‥。まぁ現実的にどう指すかやっていこう。上図以下△84歩!
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もちろん△42金⇆△52金と待つ手もあるが、本記事は「~理想形の先にあるもの~」というサブタイトルがついているのを今思い出したので良さも追求していきます。以下▲39飛(手待ち)△74歩
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以下▲38飛
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居飛車の狙いは、後手に離れ駒が出来た瞬間に▲34歩と攻めること。▲39飛⇆▲38飛と手待ちをすることでタイミングをはかっています。上図以下、△83銀から銀冠に組みたいのだがその前にやっておきたいことは? 以下△35歩▲同銀△34歩
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銀をはじき返して3筋の乱を収めます。以下▲26銀に悠々△83銀
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▲34歩の取りこみ(仕掛け)が消えたので銀冠に組んで作戦勝ちです。

先手は3筋で1歩を手にしましたが、銀冠に組まれたらわりに合わないですね。以下▲55歩△同歩▲同角は△64歩で十分です。

※銀冠vs舟囲いは、多少の駒損・荒捌きでも陣形差が違うので後手優勢になりやすい戦型です。

※追記
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以下△73桂▲39飛に△83銀または△64歩(高美濃志向)でも実は後手良い。


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あべしん

・アマ五段(県竜王戦優勝)の四間飛車党
・中学、高校、大学、社会人で県優勝
 →全国大会出場
・地元紙で将棋の観戦記を書いてます
・連絡先→kouteipengin6@gmail.com

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