☆対棒銀の△53金型
対棒銀で△53金と上がる形についてみていく。
金の力で局面をガッチリおさめていこうという将棋で、これまでやってきたスパッと捌きにいく将棋ではない。←感覚が違うので要注意。
変化によっては、力が必要な展開もあるのでそこは注意ポイント。
参考棋書は以下の2点。
・『四間飛車の急所3巻』223P
・『四間飛車序盤の指し方完全ガイド』50P
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さて、この対棒銀△53金型をはじめて見た時に私が思ったのは…
下図▲68金型で△53金が有力なのであれば、
もっと早い段階=最短で△53金と上がったらどうなるのか。
↓
これでうまくいくなら全て対棒銀は△53金型で良くないか(笑)?めんどくさい定跡とか覚える必要ないじゃ~んってなったのでした。
さっそく検討していきます。
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□基本図まで
以下▲46歩。
ここで△53金が戦法の骨子で基本図となる。
以下 1、▲45歩! ←▲45歩早仕掛け
2、▲26銀 ←棒銀 を検討する。
1、▲45歩早仕掛けの変化
再掲下図
以下▲45歩
△同歩は▲33角成△同桂▲24歩で居飛車良し。
上図以下・△32銀
・△64歩 を検討する
・△32銀の変化
以下△32銀
以下▲44歩△同金
以下・▲97角
・▲46銀右を検討する。
・▲97角の変化
再掲下図
以下▲97角は△41飛と引いておく。
以下
・▲53角成は△43金と引いた手が99の香取りで絶好。
・▲66歩(銀)には△55歩と攻め、▲53角成には△51飛と足す。
・▲77桂には端が薄くなったので△55歩~△95歩と指したい。
再掲下図。
以下▲46銀右なら△45歩(銀に威張らせない)▲37銀△52飛。
△55歩から攻める手をみせて互角。力が必要な展開だが少なくとも後手悪くない。
・△64歩の変化
再掲下図
以下△64歩(次に△63金と寄りますよという意味)は自然、▲44歩も当然の一手。
以下・△同銀
・△同金 を検討する。
・同銀の変化
再掲下図
以下△同銀
以下▲24歩。
以下・同角
・同歩 ←有力
を検討する。
・△同角の変化
再掲下図
以下△同角は▲45歩が厳しい。
以下
・△同銀は▲11角成で香損、それはアウト。
・△33銀しかないがそこで▲46銀右がぴったり。
先手のびのび、後手の駒重すぎ。これはダメだ。
・△同歩の変化
再掲下図
以下△同歩▲45歩△同銀▲33角成△同桂▲24飛に△28歩が定跡書にたまに出てくる振り飛車の手筋。
私は「飛車バックの手筋」と呼んでるけどね。
以下・▲同銀は△55歩が厳しい(▲28銀が戦線復帰できない)。
・▲同飛は△26歩
以下・▲同飛は△44角で両取り💡
・▲88角は、
以下△55歩(大駒を近づける)▲同角に△43飛がぴったり。
次に△54銀と引く手が楽しみだ。(△45桂の筋が発生)
再掲下図
以下▲46歩は△44角が切り返し
以下
・▲77桂は△22飛▲45歩に△同桂で△27歩成の狙いが残るので後手良し。
・▲66角は△同角▲同歩△55歩が気持ちの良い手!
以下▲45歩は△同桂で攻めが続く。
※先手陣は、▲57銀+▲37銀と隆起した形が良くなくて、
▲45歩と取っても△同桂が両取りなので後手の攻めが止まらない現象が起こっている。これ、地学のテストに出ます!
・△同金の変化
再掲下図
以下△同金。うー-んいかにも重い。
以下▲24歩△同歩▲45歩△同金▲33角成△同桂
以下・▲53角
・▲24飛 を検討
・▲53角の変化
再掲下図
以下▲53角
以下△52飛▲64角成△44角
以下・▲66歩は△55歩からさばく。
・▲66銀はにゅるんと△56金。
難しいながら後手指せるはず。
・▲24飛の変化
再掲下図。
以下▲24飛も△44角
以下▲66銀△56金(にゅるん)。
金が前に出ていく変化は、相手に金が入るとその金を使って堅く受けられるので、まだまだ大変なところがある。攻めているようで攻めていない的な。とはいえ上図は後手悪くはない。
【そういえば】
藤井猛九段の『四間飛車の急所3巻』223Pに書いてある形は、△14歩+△12香が入っている。つまり▲45歩(下図)に対して、
以下△64歩▲44歩△同銀▲24歩と進めた局面で
以下△同角!の選択肢が生まれている(勝手解釈)。
以下▲45歩は△12香型を活かして△同銀!と対応できる。
以下▲11角成なら△14歩型を活かして△13桂と逃げる。
以下▲21馬△63金(馬に狙われないようくっつける)。
以下▲31馬△52飛▲21馬(次に▲43馬)△42飛という千日手ルートもありそう。千日手なら後手良しですね。
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正直、
△45歩早仕掛けはそこまで怖くない。本当に怖いのは△53金→△32飛とさせて「本当に△53金型で棒銀受けられるんですか( ゚Д゚)?」
という変化である。早速みていく。
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2、▲26銀の変化
再掲下図
以下▲26銀△32飛
以下▲35歩
以下◎△51角
◎△12香 ←本筋
◎△51角の変化
再掲下図。
以下△51角。この手、ノータイムでやっちゃう人多いんじゃないでしょうか?
▲35歩に反応して指が動いたと思うんですが疑問手やで。△11香型なので以下▲45歩が厳しい。
以下・△33桂
・△35歩 をみていく。
・△33桂の変化
再掲下図。
以下△33桂はよくある返しだが▲44歩でダメ
以下・△同金は▲同角△同銀▲43金がある。
・△同銀はそこで▲48飛が手筋。
以下・△45桂は▲46銀で駒を足されて悪化する。
・△45歩と打つしかないがそこで▲34歩で桂馬が詰んでしまう。
後手ダメだ~。
・△35歩の変化
再掲下図。
以下△35歩はいかにもだめそう。
以下▲44歩△同金▲45歩
以下△34金とかわす
以下▲11角成(香取られた時点でやる気なくす気持ちは分かる)△33角▲同馬△同桂▲44香(さすがに筋悪いか?)△52銀▲24歩と根性で指す。
以下・△同歩は▲23角で先手良し。
・△同金は▲21角で先手良し。
・△45桂▲23歩成△57桂不成が切り返し。
以下▲同金△31飛▲42香成△64角
この角があるので形勢は難しいのかもしれない。
以下▲52成香△28角成▲61成香△同飛
以下・▲52銀
・▲53桂 を検討。
・▲52銀の変化
再掲下図
以下▲52銀なら△62飛▲53金△71銀が鬼粘り。
これはもしかすると後手が凌いでいる可能性がある。
・▲53桂の変化
再掲下図
以下▲53桂
以下△21飛▲62銀△64馬
以下▲32と△11飛▲58金引(△48飛の王手を防ぐ)△49飛▲22と△42飛成
こうなれば優劣不明の戦い。とはいえ後手負けの変化があってもおかしくないので全くおススメしない。
◎△12香の変化
以下△12香が本筋。
▲45歩の角筋を警戒して香を上がっておくのが価値ある一手だ。
以下・▲45歩 ←なんとかなる
・▲38飛△51角▲45歩 ←なんとかなる
・▲34歩△同銀▲38飛△51角▲45歩 ←厄介
を検討する。
・▲45歩の変化
再掲下図
以下▲45歩
以下△同歩▲33角成△同飛
以下・▲42角は△44角がぴったりの切り返し。
・▲24歩△同歩▲15銀の強襲には△32銀と受ける。
以下▲24銀△43飛(4筋戦線に参加)▲34歩に△64角がいつもの手筋。
以下▲26飛
以下・△19角成
・△25歩 を検討する。
・△19角成の変化
再掲下図。
以下△19角成は▲33歩成でまずい。
以下・△同銀は▲同銀成△同桂▲21飛成で先手良し。
・△同桂は▲34歩で先手良し。
さすがに2筋を突破されては、端に馬を作ったくらいではわりにあわない。
・△25歩の変化
再掲下図。
以下△25歩がこの形あるある。
※藤井システムで急戦を受ける変化で出てくる手筋。
以下▲同飛とらせてから△19角成▲33歩成
このときに△同桂が先手の飛車取りになっているのが△25歩の効果。
以下▲同銀成なら同飛で後手良しだ。
・▲38飛の変化
再掲下図。
以下▲38飛
以下△51角と引き3筋に飛車を通す。
※△22角もなくはないが、常に▲45歩&▲24歩と角を狙われるのでちょっと危ない。それらの脅威から遠ざかる△51角が本筋でしょう。
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※▲46銀戦法の△53金型と混同注意
対▲46銀戦法(下図)の△53金型。
以下➀▲38飛 ←△22角と引く
②▲手待ち ←△51角と引いて次に△35歩と取る形にする。
と、対▲46銀戦法では角の引く場所を使い分ける。
このあたりは、別記事でやります。
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再掲下図。
以下▲45歩
以下・△33桂←軽いさばきでお勧め
・△62角←重くおさえこむ
を検討する。
・△33桂の変化
再掲下図
以下△33桂。
この手が指したくて△53金型を指していると言っても過言ではない。
以下▲44歩
以下・△同銀
・△同金 ←有力 をみていく。
・△同銀の変化
再掲下図
以下△同銀
以下▲34歩△45桂▲46銀
桂馬が捌けて好調と思ったら全然ダメ。
以下
・△37歩が筋だが▲同桂△34飛▲35歩で居飛車良し。銀2枚が海面に隆起しているので▲35歩で飛車を跳ね返せる。
・△55歩も筋だが▲35銀右△同銀▲同飛で居飛車優勢。居飛車にとんでもない銀の捌かれ方をしてしまい屈辱。
というわけで後手は桂馬が捌けても全然うまくいかない。
・△同金の変化←本筋
再掲下図
以下△同金
以下・▲44角△同銀▲43金は△42飛でいい勝負。△45桂と活用できる未来がある。
・▲48飛が本線。
以下
・△45歩は▲44角△同銀▲43金で必敗。△45歩と打ったので△45桂とさばく筋が消えてしまった。
・△62角がこの場合の受けの形。
以下・▲44角
・▲24歩 を検討する。
再掲下図。
以下▲44角△同角▲同飛△同銀△43金は
両取り逃げるべからずの△45桂で後手良し。
後手は飛車が手に入ったので、攻め合い勝ちできる算段がついた。
・▲24歩の変化
再掲下図
以下▲24歩△同歩▲15銀
以下△35歩▲24銀△45桂▲46銀△34銀
この局面は互角。△55歩が楽しみだ。
・重くおさえこむ△62角の変化
再掲下図
以下△62角はどっしりしている。
以下▲44歩△同金▲34歩
以下△55歩。
以下▲同歩には△34飛と飛車交換を挑んで後手良し。
先手の陣形は薄すぎて勝負にならない。
再掲下図。
以下▲34歩△同銀▲44歩は次でとりあげる。
・▲34歩の変化
再掲下図
以下▲34歩△同銀▲38飛△51角
※『四間飛車の急所3巻』にはこの変化が書いていない。
以下▲45歩
ここで△62角が唯一の受け。
※▲38飛が△34銀に当たっているので、上図以下△33桂の切り返しがきかない。
△62角はおさえこみの将棋になるので難易度が高い(そもそもおさえこめるかどうかすら謎なのだが)。
以下44歩
以下△同金は▲45歩
ここで△43金と引くと、形勢は互角だが勝ちにくい将棋になる。昔の定跡みたいに。
※昔の定跡(下図)
以下▲44歩(金取り)
以下△同金▲45歩
と進む将棋で後手勝ちにくい。
しかし△53金型の再掲下図は…
▲44歩にすぐ△同金と取る必要はない。
上図以下△55歩が手筋、これでどうなるか。
以下・▲同歩
・▲同角 をみていく。
・▲同歩の変化
再掲下図
以下▲同歩に△44金が狙いの一手。
以下▲46歩(駒の進出を防ぐ)△33桂
以下▲37銀△25桂▲36銀△24歩
以下▲26歩△37歩▲同桂に△35銀
以下・▲25桂は△37歩▲同飛△36銀が厳しい
・▲同銀は△同飛でさばけ。
・▲47銀は△37桂成▲同飛△36歩▲39飛△34飛(居飛車の角筋よりも上へいった方が捌きやすい)
以下・▲54歩は△55歩でおさえこむ。
・▲95歩△同歩▲93歩には△同玉で頑張る。
後手は手番が回れば△27桂が楽しみだ。
☆再掲下図。【よくあるひっかけ問題】
以下▲24歩は油断ならない手
以下△同歩▲22歩
以下「手筋です」とばかりに△25歩▲同銀△22飛は・・
通常の定跡より居飛車の駒台に1歩多いので以下▲23歩がある
以下△同飛は▲24歩で居飛車銀得あひゃ。
再掲下図
正着はなんだろうか。
以下、2筋を手抜きして△44金。
以下・▲23歩成は喜んで△同銀。飛車交換は後手良し。
・▲35歩△45銀▲23歩成は△52飛
以下▲12とには△同飛とと金を消しておいてどうだろうか
香損でも陣形差で後手が良さそうである。
再掲下図
以下▲同角が厄介すぎます。
△44金ではなく△54金と出ておいて…。
以下▲77角に△44角と角をぶつける(これが△54金の狙い)
以下・▲同角△同金
・▲37銀 ←厄介 を検討する。
・▲同角の変化
再掲下図
以下▲同角△同金
以下▲53角△27角
この角が打てるなら後手良し。
以下▲48飛に強気の△43銀
以下▲同角成△同銀▲同飛△39飛成
次の△36角成を狙いにして後手良し。
・▲37銀の変化
再掲下図
以下▲37銀が厄介
以下△77角成▲同桂△64角
密かに9筋も狙っている。
以下▲86角(9筋ケア)△同角▲同歩
以下・△43銀は有力。しかし△33桂を使う展開にはならなそう。
・△44金は△33桂と跳ねますよという手(▲21角の筋を消した)
以下・▲68金直なら△33桂▲46銀右△45桂でいい勝負。
・▲53角は△43銀で飛車道を通す
・▲48飛は△45歩。
以下・▲68金上
・▲68金寄 ←有力 を検討する。
・▲68金上の変化
以下▲68金上
以下△36歩▲同銀△25銀▲同銀△39飛成
こうなれば後手良し。
・▲68金寄の変化
再掲下図
以下▲68金寄の方が、3~5筋から金が遠ざかる+1段目のスース―を消しているのでどう考えても堅い。
以下△35銀
実は後手もってそんなに自信ない(笑)。
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□定跡書にある▲68金型vs△53金型の基本図への道
上図のタイミングで▲46歩と突くなら以下△64歩が有力。
以下▲26銀に△45歩!があるからだ。
△63金が入っていなくても△11香型なので△45歩で互角以上。
↓
そうすると先手の最善の駒組みは、
▲46歩を突かないことで、△45歩の仕掛けをさせないという発想になる。上図以下▲68金上△54歩▲37銀△14歩▲16歩△12香。
この△12香を見て▲46歩と突く。
以下△64歩に▲26銀
△12香型なら△45歩がない。→別記事にて。
したがって上図以下△45歩を諦めて△53金と上がる。
これでようやく定跡書にある▲68金型vs△53金型の基本図になった。以下▲35歩△32飛▲34歩△同銀▲38飛△51角▲45歩△62角の展開になると
やはり▲44歩にどうするかという問題が発生している。
形勢自体は互角なのだが金が上にいく将棋はまとめるのが容易ではない。
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【まとめ】
△53金型→△62角で受ける展開は、
下図の昔の定跡のように金が上へいく展開もあるので力がないと大変。
少なくともビギナー向けではない気がする。
なので、△53金型のみに棒銀対策を頼るのは得策ではないよねと。
むしろ、△65歩型の方が勝ちやすい説まである。
ただし何らかの事情で下図が
後手の手番であれば、例えば▲68金上いれみよう。
↓
以下△35歩で…。
以下▲44歩△同金で金が上へ行く展開になっても
先手から暴れる手がないので後手良しになる。これは覚えておいて損なしだと思う(定跡書はこの変化がメインで書いてある)。
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