棒銀と▲46銀戦法~▲35歩に△同歩と取れる時~【棒銀対策13】

下図の2つの局面は棒銀と46銀戦法のよくある局面。
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すんごい似ているんですよね、局面の構造が。

部分的に以下△同歩▲同銀で「銀を5段目に出られたら振り飛車ダメですよ~」と教わる人もいるかもしれないが、 
       ↓
上図は△同歩▲同銀と銀を5段目に出させても振り飛車悪くないというパターンなのだ。
       ↓
理由は、上図以下△同歩▲同銀に△45歩と突く手が成立しているからである。
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成立条件としては、
・後手の陣形→△32飛+△11香+△54歩+△63(65)歩型
・先手の陣形→▲28飛+▲47歩型で▲35歩と仕掛けている事。

Q ▲35歩に△同歩の呼吸をマスターするメリットって何?
A  共通して使える筋を覚えることで、覚える項目を減らすことができるよ^^

Q どうしてこの筋に気づいたの?
A それは最後に書いているよ。『四間飛車の急所』の謎とともに( ゚Д゚)!

順に検討していく。
ー---------------
□棒銀
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上図以下△同歩▲同銀
※上図は42角でも後手が良い。
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銀を5段目に進出させてしまうが▲38飛の応援がないので△45歩が成立する。

この△45歩は45の地点で駒がぶつからないけども成立している。
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以下▲33角成△同飛が銀取りなので→▲36歩と受けさせて→手番が後手に回ってくるので→△64角と打てば後手良し!
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以下▲37角には
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△42角とこちらに引くのが定跡。
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以下▲24歩△同歩▲同飛△35飛!
※▲24歩と来なければ△34歩で銀を追い払う。
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以下▲21飛成△36飛▲95歩
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以下△同歩は▲61龍△同銀▲74桂で先手勝ち。
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以下
・△92王は▲95香△93歩▲82金で詰み
・△93王は▲94歩△同玉▲82桂成が厳しい

再掲下図
2022-07-04o_202207041912252ab.png
以下△71王が、9筋&角のラインから遠ざかる受けの好手。
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以下▲94歩△97歩▲同香△98銀と端を逆用
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以下▲93歩成△89銀不成▲同王△97角成▲78王△93香
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冷静にと金を払っておいて後手良し。

再掲下図。
2022-07-04t_20220704193938ffc.png
以下▲34歩はどうか。
2022-07-04f_20220704191212dcc.png
以下△同銀▲44銀△32飛▲24歩
※▲48銀型の舟囲いには△32飛に代えて△31飛とする。これは後半の▲46銀戦法で説明する。
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以下△42飛は意外とムズイ。以下▲88角△22角で銀は取れるが
2022-07-04h_20220704191215894.png
以下▲23歩成△44角▲同角△同飛
2022-07-04u_20220704195937fb5.png
以下▲22角や▲24とで結局銀を取り返されてしまう。
後手悪くはないが難しい。

再掲下図。
2022-07-04g_202207041912130e1.png
以下△43銀が好手。これは次に△39飛成を狙っている。
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以下▲同銀成△同金▲37銀と受ける。
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以下△36歩▲48銀引△64角▲23歩成△35飛で後手良し。
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以下・▲27飛(▲26飛)→△25歩とおさえる
  ・▲24飛は△34金 後手良し。 

再掲下図
2022-08-12p.png
以下▲66歩と角交換を拒否する手もある。
2022-07-04a_20220704191203e83.png
以下△42角▲36歩△34歩と銀を追い払うのが最優先。
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以下▲26銀△44銀▲65歩△43金
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以下▲68金直△33角▲67金右
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以下△35歩▲同歩△同銀と打開してどうか。
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以下▲同銀は△88角成から銀を取り返すことができる。
※△35歩の瞬間に▲24歩が入るのでこの筋だけではうまくいかない。
形勢は互角だ。

ー-----------------------
□▲46銀戦法
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以下△32飛▲35歩
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以下堂々と△同歩
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以下▲同銀。5段目に銀を進出させても
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棒銀同様にこの形は△45歩がある。
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以下▲33角成△同飛
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以下・▲34歩
  ・▲36歩 を検討する。

◎▲34歩の変化
再掲下図
2020-07-03r.png
以下▲34歩△同銀▲44銀
2022-07-04v_20220704220828ec4.png
以下棒銀では成立していた△32飛は無理。
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以下▲24歩
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この局面、棒銀では決め手級だった△43銀が成立していない。理由は▲48銀型なので飛車が成れないから(笑)。上図以下△42飛は▲66角(ここから打つのがポイント)
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以下△71角は…
2022-07-04b_20220704214145566.png
以下▲33銀成!△同桂▲23歩成が厳しい。
※この▲33にタダ捨てして△同桂と近づけて▲23歩成という筋はわりと出てくる。振り飛車側からは見えにくい手なので注意。
2022-07-04c_20220704214146e4d.png
これは後手ダメ。

再掲下図
2022-07-04x_20220704221415844.png
以下△22角と33の地点を守りながら打つのはどうか?
2022-07-04e_2022070421414925d.png
これには以下▲23歩成△44角▲32とが成立する
2022-07-04f_2022070421415189f.png
以下△66角には▲同歩で先手良し。
※▲88角と打っていると△88角成▲88同玉で形が乱れていた。

再掲下図。
2022-07-04v_20220704220828ec4.png
正解は以下△31飛▲23歩成を避けて本筋
2022-07-04d_2022070421414804f.png
ここから・▲24歩
    ・▲22角を検討する。

上図以下▲24歩には△64角が狙いの一手。
2022-07-04g_20220704214152223.png
以下▲37角に△42角が何度も出てきた居飛車の角を負担にする手筋。
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以下▲23歩成△36歩
2022-07-04h_20220704214154d83.png
以下▲26角には再度の△64角で後手が指せる。

再掲下図。
2022-07-04d_2022070421414804f.png
以下▲22角が一番厳しい。
2022-07-04i_202207042141554ce.png
以下△41飛
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以下▲24歩に△71角
2022-07-04k_20220704214158777.png
以下▲23歩成△44飛
※▲23歩成に代えて▲33銀成△同桂▲23歩成は△27歩→△26歩から飛車を抑えこんで後手良し。
2022-07-04l_20220704214200fae.png
と金で攻められそうなので角ではなく飛車からさばく。
以下▲44角成△同角▲77桂△35銀
2022-07-04m_20220704214201eb7.png
以下▲32となら△26歩で飛車をおさえこんで後手良し。

再掲下図。
2022-07-04l_20220704214200fae.png
以下▲11角成も△35銀と出て▲95歩△同歩▲21馬に△26歩とおさえるのが良い。
2022-07-04n_20220704214203443.png
互角の形勢と思われる。

再掲下図。
2022-07-04j_2022070421415798a.png
以下▲11角成
2022-07-04o_2022070421420468d.png
以下△71角
2022-07-04p_202207042142066cd.png
ここで実は▲33銀不成(成は△44角)が手ごわい。
2022-07-04q_20220704214207fc0.png
以下△同桂▲同馬△35銀
2022-07-04r_20220704214209f1a.png
以下▲95歩△同歩▲23馬?△42飛?(△43飛も有力)
2022-07-04u_20220704220827a7b.png
後手は△26歩→△36銀から、と金で飛車をとりに行く狙いがあるのでまずまずと思う。

◎▲36歩の変化
再掲下図
2020-07-03r.png
以下▲36歩
2022-07-04a_20220704223827f55.png
これには△64角が好打。
※△34歩は▲26銀で後手は局面をまとめづらい。
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以下▲18飛は△34銀
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銀が入れば△27銀の飛車取りが厳しいので以下▲44銀とかわすが△32飛と引いて次に△43銀を狙えば後手良し。

再掲下図。
2022-07-04b_20220704223829d16.png
以下▲37桂は
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以下△35飛▲同歩△36歩で後手良し。
2022-07-04e_202207042238212c3.png


再掲下図
2022-07-04b_20220704223829d16.png
本命は▲37角
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以下△42角と引くのが定跡。
2022-07-04g_202207042238242f7.png
以下▲24歩△同歩▲同飛
※上図以下仮に▲16歩(1手パス)なら△34歩で銀を追い返す。以下▲26銀なら△32飛。居飛車は角を使っているので後手は局面をまとめやすい。
2022-07-04a_20220704231316fa9.png
以下・△23歩
  ・△35飛 
を検討する。

・△23歩の変化
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以下▲27飛△34歩▲26銀△31飛
2022-07-04c_2022070423131995a.png
以下▲22歩なら△33桂▲15銀△32銀で受かる
2022-07-04d_20220704231321a2a.png
後手悪くないだろう。

・△35飛の変化
再掲下図
2022-07-04a_20220704231316fa9.png
以下棋書では不利とされている禁断の△35飛も成立すると思われる
2022-07-04e_2022070423132272a.png
以下▲21飛成△36飛
2022-08-12a_20220812205317f3e.png
以下・▲74桂
  ・▲61龍
  ・▲95歩 を検討する。

・▲74桂の変化
再掲下図。
2022-08-12a_20220812205317f3e.png
▲74桂の王手はさすがにまだ早い。喜んで△71王。
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▲82へ打つ駒が無い。以下▲11龍と香を調達しても△74歩▲91角成△82銀としっかり受けられて後手良し。
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・▲61龍の変化
再掲下図。
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以下▲61龍は怖い手だが…
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以下△同銀▲74桂△93王(△72王は▲82金で詰み)
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以下▲95歩△37飛成▲94歩△84王で・・
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▲75金と打っても△42角が利いており詰まない!!
上図以下▲37桂とするくらいだが△74歩で後手が良くなっている。
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・▲95歩の変化
再掲下図
2022-08-12a_20220812205317f3e.png
以下▲95歩は恐ろしい手。
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以下△同歩は▲61龍△同銀▲74桂
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以下△93王に▲94歩△同王▲82桂成で後手負けとなる。
※▲94歩に代えて▲85金は△84歩で後手良し。
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9筋を突き捨てた効果で先手勝ちの変化になっている。

再掲下図
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以下実は△64歩で受かる。
2022-07-04i_2022070423132824d.png
以下▲94歩△96歩
※単に△92歩でも後手悪くない
2022-07-04k_202207042313317f3.png
以下▲同香△92歩と受けてしまった方が分かりやすい。
2022-07-04l_202207042313339f6.png
以下▲77桂△28歩
2022-07-04m_202207042313343c8.png
以下▲同角は△38飛成▲37角(△29龍を受けた)△36銀▲85桂
2022-07-04o_2022070423133766b.png
以下△37銀成▲同桂△49龍で後手良し
2022-07-04p_20220704231339182.png
次に△99龍と回る事ができれば後手必勝。
なので上図以下▲59金だが△19龍と自然に指して後手優勢。

再掲下図。
2022-07-04m_202207042313343c8.png
以下▲同竜は後手陣への脅威が消えたので悠々△56飛
2022-07-04n_20220704231336a93.png
次は△76飛から△96飛を狙っていけばよい。

※おまけ AI先生は△84歩で後手良し( ゚Д゚)
2022-07-04f_20220704231324848.png
以下△84歩は△83王と逃げるスペースを作ったという意味だが。
2022-07-04q_20220704231340451.png
常に▲74桂の筋があるので怖すぎる。
以下▲94歩△31飛( ゚Д゚)
2022-07-04r_20220704231315406.png
飛車を強引に入手しにいって△98歩から端を逆用せよとのこと。
上図以下
・▲22龍は△37飛成▲同桂△44角。
・▲23龍は△34飛から△24飛を狙っていけば後手良し。
いくらなんでもこれは人間には無理でしょう(笑)。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□▲69金型の▲46銀戦法→準急戦にも対応!

2020-07-02c.png
以下、▲35歩と突く。
2020-07-02d.png
以下△32飛
2020-07-02j.png
以下▲34歩△同銀
2020-07-02k.png
以下▲35歩△43銀▲37銀引と準急戦を目指す
2020-07-02l.png
次に▲36銀と安定される前に…
以下△34歩と反発
2022-08-18a_202208181158109c1.png
以下▲36銀△35歩▲同銀
2022-08-18b.png
ここで▲45歩!
2022-08-18c.png
以下▲33角成△同飛
2022-08-18d.png
以下▲36歩or▲34歩という将棋になるがこの局面は、

▲68金型で仕掛けた下図と比べて、
2022-08-12o.png
以下△同歩▲同銀△45歩
2022-08-12m.png
の局面図を見比べよう。▲68金の有無。
2022-08-18d.png
準急戦の変化は、▲68金が入っていないから陣形が薄いですね。

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棒銀vs△65歩型四間に出てくる「準急戦」とは形が違うので注意!
2022-07-01i.png
4筋で歩がぶつかっている点が決定的な違い。
つまり以下▲36歩に
2022-07-01d.png
△34歩しか手段がない(△64角が飛車取りにならない)。
2022-08-16c_20220816222431bb6.png
以下▲26銀と引いたら△46歩で後手の手が続く。
→したがって居飛車は▲24歩と決戦するわけです。

対して 本記事で扱った局面は…

4筋がぶつかっていない!
2022-08-16d_20220816222911056.png
以下同様に△34歩と打つと…
2022-08-16e_20220816222912090.png
以下
・▲24歩なら△35歩と決戦して「棒銀vs△65歩型四間」と比べ 64に傷がない点で後手が得をする。
・しかし4筋がぶつかっていないので上図以下▲26銀とされた時に後手のまとめ方が難しい
そういう理由もあり本記事では再掲下図以下
2022-08-16d_20220816222911056.png
△64角と決戦していたのだ。
2022-08-16g_2022081622301758d.png

☆さらに整理↓
本編に登場した下図の局面の解説で、
2022-07-04m_20220704191222a0e.png
仮に以下▲16歩(1手パス)なら△34歩として
2022-08-16h_202208162242563e7.png
以下▲26銀と追い返すと書いた。これは先手も角を使っているので、後手は△32飛として局面をまとめることができるということです。

☆5段目の銀とか△45歩の反発についてもっと知りたい方はこの記事をどうぞ。

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♦四間飛車の急所の謎

藤井九段著『四間飛車の急所』2巻のまえがき
      ↓

マジシャンがネタばらしをする番組が流行っている。本書にもそのような部分が含まれていることは確かだ。

ん、何かこの本にはトリックが隠されているのか!?

20年前、私の大学時代は暇だった。

暇すぎて『四間飛車の急所』を読みまくること数十回。

少しづつ理解していくうちに引っかかる点も出てきた。

『四間飛車の急所』3巻50ページ。
ここで△34歩は成立すると書いてある。
2022-08-18a_202208181158109c1.png
以下▲36銀△35歩▲同銀△45歩
2022-08-18c.png   
これを基準に考えたときに…
      ↓
『四間飛車の急所』2巻207ページ
2022-08-12o.png
この局面でなぜか△同歩の選択肢が検討されていない('_')
以下△同歩▲同銀△45歩と進めばほぼ同じような局面になるのになぜなんだろう。
2022-08-12m.png
というわけで上図を調べたら、そんなに振り飛車が悪くならない事が分かった💡 

1冊の本に上2つの変化が書いていると気づく人も多いと思う。
しかし、2巻と3巻に分かれていると意外と気づかない。私も当然、初見では無理だった。『四間飛車の急所』を読むだけではなく、柿木将棋に入力して、戦型ごとに整理することで理解が深まり気づくことが出来たのかもしれない。
       ↓
そして似たような形(3巻208Pなど)を片っ端から研究していった。

すると、本に書いていないけども成立する例が多いと気づく。

あぁ、そっか。

それこそがつまり…

対急戦の種明かし、




 四間飛車の急所 


なんだなと、自己完結したのでした(笑)。



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あべしん

・アマ五段(県竜王戦優勝)の四間飛車党
・中学、高校、大学、社会人で県優勝
 →全国大会出場
・地元紙で将棋の観戦記を書いてます
・連絡先→kouteipengin6@gmail.com

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