ここまでの原始棒銀を振り返る。
ここがスタート。居玉棒銀( ゚Д゚)
↓
そっから一歩動いた▲68王型棒銀
↓
二歩動いた王様の位置は完璧の▲78王型棒銀。
前回→▲78王型棒銀vs後手四間~美濃完成で大捌き~【棒銀対策3】
↓
▲58金右と上がって遊び駒のが無い居飛車棒銀の下図から
1、△52金左と上がった形は解説した。
2、本記事では上図以下△43銀をみていく。
本に書いてある四間vs棒銀の定跡形に近い形なので難易度は高い。
□△43銀の変化
その前になぜこの変化を検討するのか。それは人(時代)によって持久戦(穴熊など)対策の関係で△52金左の前に△43銀を先に上がるかもしれないからだ。また、上図以下仮に△52金左▲56歩なら△43銀と上がる手が有力なので、ここで△43銀の基礎知識の一部を勉強していこう。
さて、まず最初に△43銀型で一番最初に認識しないといけないことは、
今までやってきた△32銀型とは根本的に捌き方が違うということ。
具体的に以下▲35歩と仕掛けられたとき、
△32銀型と同じように△45歩は▲33角成△同桂の形が、
3筋が薄くて後手少し不利です。何がいけないかって△同桂の形が良くないんですよね。角頭を狙われていたので△45歩と角を交換した→しかし今度は△33桂の形もまた弱点が桂頭なので状況がほぼ変わっていない\(^o^)/
上図以下▲77角に△32金と頑張っても▲56歩が好手。
▲56歩の意味は上図以下
1、振り飛車の切り札△64角には、▲55歩と角道を止める手を用意した。
2、△39角には▲38飛△84角成▲34歩を狙っている
後手が攻められてしまう展開になるので好んで飛び込む変化ではないだろう。(実際の形勢は美濃が堅いので後手少し不利くらい)。
再掲下図。
△43銀の継続手は△32飛! 銀を上がったので3筋に飛車の援軍を送れるようになりました。
以下▲34歩△同銀▲38飛
※▲34歩に代えて単に▲38飛は最後に説明、ハメ筋注意の点がある。
ここで絶対にやってはいけない手がある。
それが△45歩。
以下素直に▲33角成△同飛▲22角とされて居飛車良し。
以下△44角は▲33角成△同角▲34飛△99角成▲88銀打△98馬▲37銀と遊び駒を活用して先手良し。
以下△33香は△44飛(金取り)でぴったりだ。
後手から先手への厳しい攻めがないのが痛い。
再掲下図。
以下△35歩は▲11角成であかん。
ふつ~に駒損である。そして繰り返すが上図以下後手から先手への厳しい攻めがないのである。
そもそも再掲下図なんだけど…
ここで△45歩を突く人は何かを勘違いしていると思うんだ。
しかし再掲下図は・・
ここで絶対にやってはいけない手がある。
それが△45歩。
この△45歩を突く局面を
【勘違いする理由~その1~】
▲46に銀がいる形で△45歩が銀取りになる定跡と勘違い?→すなわち▲46銀戦法(下図)とごっちゃになってないすかね( ゚Д゚)?
上図、△45歩が▲46の銀取りになっている⇒先手は対応する→そこで後手に手番が戻ってくるので局面のバランスが取れているというロジックになっております。
それに比べて
上図は、何もない空間に△45歩と突きだしている→先手は▲33角成△同飛のあと△45歩に対応する必要がないので攻めに集中できる→そりゃ先手有利になるに決まっているだろ~~!という理屈な。
【勘違いする理由~その2~】
捌きの手筋6で「△45ポンのタイミングは駒がぶつかった時」と紹介した。
上図を簡単に解説すると①▲35歩の瞬間に②△45歩と突けば、同時に①と②は対処できないので後手の攻めは継続するという話。これを簡単に言いかえると「駒がぶつかった時に△45歩と突く!」と私含め多くの先生が教える傾向にある。
↓
では再掲下図はどうか。
赤矢印…お互いの角がぶつかっている(お互いに権利)
青矢印…先手の飛車が後手の銀取りになっている⇔後手の銀は飛車取りになっていない。(居飛車のみ一方的な権利)
後手の攻め筋が赤矢印しかないのでそこを▲33角成△同飛と対処されると→手番は再びに先手に回ってくる。→先手の連続攻撃が続くので後手が悪くなってしまう。そりゃそうだ。
ではもう一例、下図はどうですか?
居飛車が▲46歩と突いている形なら△45歩が成立する場合もある。
上図以下△45歩で後手大暴れ。
3筋と4筋の2点がぶつかっているので後手の攻めは止まる事はない。
以下▲33角成△同飛
以下▲45歩なら△35歩とこっちをとる。
以下▲48飛なら△64角とここに打てるのが大きい。
再掲下図。
以下▲35銀には△27角がぴったり。
△45角成と馬ができればさすがに後手良し。
【勘違いする理由~その3~】
陣形が下図である場合は…成立する。
・後手の陣形→△32飛+△54歩+△11香型+△63(△65)歩型
・先手の陣形→▲28飛型+▲47歩型で▲35歩と仕掛けている。
上図以下△同歩!▲同銀に
以下△45歩!▲33角成△同飛が銀取りなので→▲36歩と受けさせて→手番が後手に回ってくるので△64角と打てば後手良し!
こういう変化と勘違いか。
詳しくは→棒銀と▲46銀戦法~▲35歩に△同歩と取れる時~【棒銀対策13】
※似たような形あります!
上図は棒銀から「準急戦」に組み替えようとしている局面。
それを阻止するため以下△34歩(合わせ歩)▲36銀△35歩▲同銀
ここで△45歩は筋としてはあるのだが、その後の一直線変化で後手が悪くなるので注意。これは別記事で書きます。
【似たような変化が▲46銀戦法にもあります】
以下△32飛▲35歩△同歩
以下▲同銀!5段目に銀を進出させても
棒銀同様にこの形は△45歩で捌ききれる。
以下▲33角成△同飛▲36歩△64角
▲46銀戦法も棒銀もすげー似たような変化がある(笑)
【捌きの手筋14 △45歩の成立条件は5手1組で考える。】
結局まとめると
1、△45歩
↓
2、▲33角成
↓
3、△同飛
↓
4、先手が対応する
・直前の△同飛が銀取りにあたっていたらその対応or歩がぶつかっていれば対応する。
↓
5、後手が何かする。
4で先手に対応されても、有効な手があるなら後手良し。なければ居飛車良し。感覚ではなく読みが大事。民法の権利関係の問題を解くように局面図に補助線を引きながら考えよう(笑)。仕組み自体はシンプルだと思う。
再掲下図。
以下▲34歩△同銀▲38飛
以下△42角。
以下・▲44角
・▲46歩
・▲33歩
・▲37飛 ←定跡書に書いていない秘手
を検討する。
◎▲44角の変化
再掲下図
以下▲44角は一番最初に考える攻めだが
以下△43銀と角取りに当てながら飛車交換を挑むのどの形でも使える基本の捌き。
①角取り+②飛車取りになっているのが味噌。
角を逃げると飛車が取られてしまうので上図以下▲32飛成△同銀と飛車を交換してから、▲11角成と角を逃げるが△28飛と先着されて居飛車まずい。

これは王様が堅い後手のペースだろう。
再掲下図。
以下▲33歩と飛車取りに打つ手はある。
以下△同飛(△同角でも良い)▲同角成△同角が99の香取り。
以下▲88銀と香取りを受けるが△44角打が…
銀銀の両取り。これが田舎の町道場なら、銀ギラ銀にさりげなく~♪と対戦相手のおっさんに歌われてしまう。
すぐに▲44角は全然うまくいかないようだ。この変化は、この記事で後から2回くらい使うので「銀ギラ銀定跡」として覚えておいてください。
◎▲46歩の変化
再掲下図
以下▲46歩。
▲44角から3筋をこじあけるのではなく、▲4筋の歩を伸ばして▲46歩⇒▲45歩で3筋をこじあけようという意味。▲44角の変化との違いは先手の角の位置。上図以下△43銀と飛車交換を挑むのはさっきと違い△43銀が角取りにならないこと。
青のラインだけでも飛車ぶつけ作戦は成立することはあるのだが、上図のように▲35銀と5段目に銀を出られる時は注意が必要。
よく「5段目に銀を出られたらダメだよ!」と教わらなかっただろうか?でも実はあれって微妙だと思う。たとえば5段目に銀を出られてもすぐに銀を退却させられたなら居飛車成功とは言えない。
正しくは「5段目で銀を安定されたら失敗」と覚えた方がいいです。
それをもとに再掲下図は果たして後手が悪いのか?を判断していきます。
上図以下△34歩と銀を追い返す手はどうか?
ここで▲26銀と撤退してくれるなら別に後手は痛くない。しかし▲44銀△同銀▲同角が厳しい。
よって、△34歩の銀追い返し作戦は失敗。
再掲下図。
以下△54歩と角を活用する手には▲34歩とずっしりいく。これは次に▲44銀と突撃する狙いだ(▲34歩を打たないで▲44銀は△38飛成で飛車がタダ)。
以下△53角と4筋を強化。
ここで▲45歩ならその瞬間に△64角で勝負になる。
この角が決まれば大体後手はうまくいっている事が多い。
角のラインが強烈なのだ。
再掲下図。
居飛車は全く急ぐ必要がない。
以下▲36飛△42金▲37桂で…
完全に▲35銀が安定した。△64角のカウンターも封じられている。先手は次に▲45歩と突けば後手は受けが無い。なお、上図の居飛車の陣形は、棒銀に限らず他の戦型でも居飛車のスーパー理想形として登場するので、組ませたらほぼアウトの事例として絶対に覚えておいてもらいたい。
というわけで下図は、
5段目で▲35銀が安定する形なので居飛車良しである。
【捌きの手筋16 5段目で銀を安定させてはいけない!】
5段目に銀を出られたら△34歩(あるいは△15角)のような手で銀を追い返せないと作戦負け濃厚。
▲35銀に安定されると⇒次に▲34歩と土台を固められて⇒▲36飛で振り飛車の奥義ともいえる△64角の筋を無効化され⇒▲37桂と活用までされてしまう。次は▲45歩が腰の入った攻めで後手は受ける術がない。
再掲下図。
以下△54歩が次の▲45歩への対抗策。
以下▲45歩にやはり△64角と出るのが急所の筋。
1、以下▲44歩なら△19角成と攻め合って後手良し。
2、以下▲37銀は△36歩▲28銀△45銀▲44角△33桂
桂馬を使えて後手良しだろう。
◎▲33歩の変化
再掲下図。
上図以下▲33歩という攻め方もある。この筋も王道中の王道の攻め方。
以下△同飛(△同角は▲34飛で銀がタダ)▲44角にやはり△43銀が急所の筋。
以下・▲34歩
・▲33角成
をみていく。
以下▲34歩
以下1、△同銀は▲33角成△同角▲34飛で銀をとられてしまう。
2、△44銀が正解で▲33歩成に△同銀が良いとり方。
後手陣はこれで隙がない。攻め筋としては△55角や△44角、△54歩⇒△64角があるので後手優勢だろう。
再掲下図。
これは「銀ギラ銀定跡」の変化と同じ。上図以下▲33角成は△同角。
以下▲88銀には△44角打が厳しい。
直線で斬りこむ変化は大体後手が良くなる。
そりゃそうだよね、陣形差があるんだから。
↓
しかし、それを逆手にとったこんなハメ手がある。
◎▲37飛の変化 ←普通は知らない。定跡書に書いてないから。
再掲下図。
以下▲37飛!?
以下△54歩▲44角△43銀と同じように捌くと…
先手の飛車に桂でひもがついているので以下▲11角成△37飛成▲同桂の直線の変化で居飛車良し。
桂馬が逃げているというのが先手の主張である。
再掲下図。
これには後手も(▲33歩と打たれていないのに!)自ら△33飛と1マス移動するのが盲点の筋。
以下▲44角△43銀
この時▲11角成と飛び込めないのが△33飛の意味。以下▲33角成は△同角の局面にしてしまえば銀ギラ銀にさりげなく定跡で後手良し!それでは上図以下▲34歩はどうするか?
もうわかりますよね?
以下△44銀▲33歩成△同銀(この手が急所)
後手陣は隙がない。
次に△55角や△44角、△28角など狙いが多い。
再掲下図。
以下▲37飛型を活かして▲77角が最善。
以下△37飛成▲同桂△33角とぶつける。
お互い飛車角を交換する。先手は次の▲45桂が▲53桂不成の攻めをみている。とはいえ▲26銀が遊んでいるのもひどい。結論⇒いい勝負!
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再掲下図!△42角が成立しないパターン。
上図以下定跡書では△42角が本命とされている。確かに対棒銀全般において汎用性のある指し方で優秀と思う。
そもそも論。△42角は「定跡だから」で普通に指されているところがあるが実はかなり大胆な手。図では居飛車の角が後手陣に突き刺さっている。もちろん、後手の計算の範疇で上図以下▲44角には△43銀と引いてカウンターを狙っている→つまり△42角はカウンターがないと成立しない。
そこで、△42角が成立しない(カウンターがない)パターンを紹介する。
それが下図のように△53歩型+△11香型+9筋の交換が入っていない形。
以下▲34歩△同銀▲38飛と攻めるのではなく、上図以下いきなり▲38飛とまわる手がある。
ここでの正解は△42角ではなく△22角なのだ。
これで互角。しかし「棒銀には△42角と引く」という先入観があると△やってしまうのだ。
△42角と引いたのを見て、上図以下▲46歩と角のラインで攻める手がある。
次の▲45歩を受けるには…
・上図で△54歩の一手が入っていれば△53角と受ける手があるのだがあいにくの△53歩型。
・上図で△12香の一手が入っていれば△54歩と突いて▲45歩に△64角で勝負になるのだがあいにくの△11香型。
・上図以下、▲45歩に備えて△12香とする手もあるが、
これは9筋交換(▲96歩△94歩)が入っていないのがまずい。
以下▲45歩△同歩▲11角成に△33角とセオリー通り交換しようとすると…
なんと以下▲21馬!と拒否される( ゚Д゚)
以下△99角成に▲88銀で居飛車が良くなっている。
舟囲いで王側の香を取らせるのは居飛車にとって脅威なのだが、9筋の交換がないと、△98馬のあと9筋から追加攻撃をすることができない。上図以下△98馬▲24歩△同歩▲34歩
上図以下△同銀は▲32馬△同金▲34飛△33香に
▲24飛と逃げて先手良し(これが2筋を突き捨てた意味)。
※▲44飛は△55角で後手良し。
再掲下図。
ここでは△31金がギリギリの受け。
以下▲32馬は△同銀▲33歩成△44角で後手良し。
しかし上図以下▲11馬△34飛(飛車をさばく)▲35銀(拒否)△84飛△12馬と進んだ局面は△98馬の働きが弱く後手は攻めに困っている。
以下△85香としても▲79桂で受かっている。
上図以下、遅ればせながらの△94歩は▲99香で馬が詰む。
9筋交換が入っていない形は居飛車良しとなってしまう点に注意。
◎仮に9筋の交換があれば△95歩で後手良し。
以下▲99香なら△88馬▲同玉△96歩▲98歩で先手を歩切れにさせることができる。
以下△34歩▲24銀(そっぽに行く辛い手。1歩あれば▲44歩で居飛車良しなのだが端に使ってしまった。)△49銀!
上図以下▲39飛△58銀不成▲同金△46歩▲48歩(代えて▲11馬なら△27歩と垂らす)△22金打で馬を捕獲できる。
これは後手良し。
再掲下図。
以下△54歩は△64角を全力で狙って手だが△52金左と上がっていない手がたたる。
以下▲45歩
△64角と出れたら成功というイメージがあるがこの場合はダメ。
以下▲44歩△52銀▲37桂
以下△35歩▲43歩成△同銀▲11角成△36歩
後手もやれそうに見えるが冷静に▲21馬が厳しい。
△37歩成から飛車が動くと▲43馬が待っている。後手失敗。
再掲下図。
以下△35歩
以下▲44歩△34銀。
上図以下
1、△12香と上がっていないのを咎めるのであれば▲43歩成△同銀▲11角成。
2、△52金左と上がっていない手を咎めるのであれば上図以下▲35銀!△同銀▲43歩成が厳しい。
いずれも居飛車良し。
まとめると
△53歩型+△11香型+9筋交換がない形は
△22角と引いて先手の角の利きに対抗しないといけないのだ。
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次回は、原始棒銀シリーズ最終回。
△55角の筋を消した居飛車▲56歩型と、
さらに▲68銀と1手指した形について解説する。
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