以下△62王▲36歩△32銀▲37銀
【捌きの手筋7 2つの美濃囲いの組み方と使い分け】
上図以下、ここからの3手どう指すか?
1、△72王▲26銀△82王のルート
この組み方は、王様の遠さを重視をしたという考え方。遠さを重視したので△61金が離れ駒になっているのがデメリット。
2、△72銀▲26銀△71王のルート
これは美濃囲いの金銀の連結を重視した囲い方で隙が無い。
また、△71王型は作戦的な恩恵もある。たとえば天守閣美濃(▲87王型美濃)には△71王型美濃から△84歩の玉頭攻めが有効。これが△82王型美濃で玉頭攻めをすると△84歩→△85歩と攻めた時に反動が厳しいのだ。そういう場面が現代将棋はかなりある。
デメリットは、△82王型と比べて戦場から一路近いこと。
私の講座では金銀の連結を重視した2の囲い方を本線とします!
ただし、明らかに1のルートが良い場合もあります。
それが、すぐにでも仕掛けてきそうな将棋。例えば前回やった居玉棒銀です。
上図は、次に▲35歩と仕掛けてくる脅威が目前に迫っています。そんな時にのんびり団子を食べながら△72銀とお城づくりをするのはまずいです。▲35歩と仕掛けられて
以下△45歩としても、
以下▲33角成△同銀▲34歩△同銀に▲82角が痛い(>_<)!
※厳密には受かっているのだが危ないというイメージをもってほしい。
△72銀型は、△71王と入る直前が一番危ないのです。
再掲下図。したがって、
▲35歩の脅威が迫っている場合は△72王と遠くへ逃げるのが正解。
ここらへんの見切りは、居飛車の仕掛けのタイミングが分からないと出来ないので、実戦で失敗して覚えていくのがよいと思います。
再掲下図。
以下△72銀▲26銀△71王
△71王までくれば一安心。上図以下▲35歩には△45歩が基本の反撃。
以下▲34歩は△88角成▲同銀△55角が両取りで居飛車まずい。
▲68王と動いたことで絵に描いたような両取りが生じている事に注目されたい。
再掲下図。
以下▲33角成△同銀と攻める手を検討したい。
ここから
・▲34歩△同銀
・▲88角
・▲55角
を検討する。
再掲下図、
以下▲34歩△同銀
以下▲38飛
以下△35歩と居玉棒銀の時と同じように受ける。
以下▲同銀△同銀▲同飛
ここで△26角の王手飛車が無いですよ!というのが▲68王と上がった形の主張だが△44角とこちらから打つ手がある。
仮に▲45飛なら△99角成で後手良し。
再掲下図。
ここで▲55角として先の△44角を消す変化はある。
以下△33角と受けるならば▲同角成△同桂▲55角△32金
上図以下▲35銀△同銀▲同飛の攻めがうるさい。
これは後手も少し嫌だろう。
再掲下図をもう一度考えてみる。
よーく見てみると、(▲68王と動いたため)▲49金が浮ていることに気づく。以下△27角が実戦でも良く出る手筋。
【捌きの手筋8 ▲49金浮き駒+▲38飛の形は△27角が常にある】
エルモ囲いで▲49金が浮いている形にも有効。
飛車が動けば△49角成で金をとられてしまう。上図以下▲48飛と逃げる。
以下△49角成▲同飛△38金が継続の攻め。
以下▲59飛は△48金で飛車を捕獲することができる。
この筋は高段者でも盲点になりやすく、実際に東北六県大会でも見たことがある。
再掲下図。
以下▲37銀と我慢してきたら、後手も△35銀と攻めに厚みを加える。
次は△46歩が厳しい狙いとなる。
再掲下図。

以下▲55角はひねった手。
△46歩に▲同歩と取る意味がある。
しかし角が後手の攻め駒に近いので上図以下△44銀と進軍されてしまう。
以下▲88角△35歩▲37銀
▲37銀は次に▲24歩と攻める狙い。上図以下冷静に△33角と打っておいても後手が少し良いだろう。しかし、さらに良さを求めるなら上図以下△55角が厳しい手。
以下仮に▲24歩なら△36歩が角筋のライン攻め。
以下▲55角は△同銀▲36銀△46歩で4筋突破確定。
再掲下図。
以下▲同角△同銀は、進軍止まらず後手うれしすぎる展開。
以下再度の▲88角は△46歩
以下▲同歩△同銀▲同銀△同飛▲48歩
以下△47歩とねじ込む。
※上図以下△33銀と受けても後手良し。歩がないので▲24歩△同歩▲22歩の筋がないので成立する。
以下▲11角成は△48歩成
※以下▲47同歩は最後に検討します。
以下▲同金の形が悪く△39角が厳しい。
これは後手良しだ。
再掲下図。
以下▲37銀は鍛えの入った受け。
飛車を逃げていては▲48銀とせっかくのと金を消されて何をやっているかわからない。ここは△49と▲46銀△47歩が好手順。
通常はこんな強引な手順は成立しないのだが、
・先手の王様が▲68の中途半端な位置なので△48歩成→△59との攻めが近い。
・後手の王様が堅い
つまり「陣形差」が歴然なので成立する。
※【捌きの手筋3 陣形差があれば駒損の攻めが通る】でも紹介。
上図以下▲37桂
これは油断のならない手で次に▲45桂から▲53桂不成が実現すると後手も気持ち悪い。ここで▲45桂を消す手筋がある。これは高度なので分からなくて大丈夫。以下△33角が素晴らしい手。
以下▲21馬は△99角成で先手玉は左右迎撃態勢になるので後手有利。上図以下▲同馬△同桂の形は…
△33桂と跳ねたことで▲45桂を消している点に注目だ。おまけに馬も消してハッピーだ。
【捌きの手筋9 △33角とぶつけて大捌き】
【成立条件】←指す前に必ず確認
・△33角の瞬間に、△21桂(など)の紐がついていること
・一方のベクトルは、相手の馬取りであること(この場合▲11馬)
・もう一方のベクトルは、先手陣の駒をタダで取る事ができること。(この場合▲99の香)
再掲下図。
上図以下▲55角には△48歩成▲33角成△59と寄と攻め合って後手優勢。
以下▲48飛は
△69と▲同玉△36角(この王手が厳しい)▲47歩(角をはじく駒が無いのが先手は痛い)
どう寄せるか。色々あるところだが△38金が豪快な決め手。
以下ラッキーとばかりに▲同飛は△47角成が王手飛車
以下▲58飛は△59銀と、銀で飛車を取りに行って後手良しだ。
再掲下図。
以下▲同金△同と▲同玉とにはどうするか。
これには△47金厳しい。
4六の銀取りなので受けなければいけないが▲49香は△48歩が焦点の歩。
▲同香は△58金打までの1手詰。上図以下▲同飛は△同金で飛車を入手して後手の攻めが続く形になる。
再掲下図。
以下▲同歩△同飛成▲48歩には△45龍と引く。
地味だけど大事な話をする。
さっきまで△46にいた飛車が、上図では△45の位置へ移動している。これ、めちゃくちゃ大事。具体的に上図以下▲11角成に△64角と飛車取りで打てるようになっている。
【捌きの手筋10 △46飛を移動すること△64角が打てる】
実戦で発生しているけども気づけない筋。なぜなら△46飛と進出した時点で頭の中はアドレナリンでいっぱい、激しい手を指そうとしてしまうから。飛車を移動する手は弱気=地味と思われがちだが次の狙い(△64角)があれば立派な攻め筋だ。
以下▲18飛は△27銀で飛車を捕獲できる。
以下▲88角はゆっくり確実に攻める手。
次に▲34歩△同銀▲11角成とする狙いがある。
↓
最初の▲34歩を受ける手が実は無い!
↓
受けがないなら攻め合えばいいじゃないの!
だって、先手と比べて後手は王様の堅さで優っているのだから。
先手は▲68王型という中途半端な形。夜の山道を少ない護衛に囲まれながら進んでいる途中。対して後手は美濃囲いに収まりいつでも戦いオッケーな状況。強気にいきたい!
再掲下図。
上図以下、△46歩!▲34歩△47歩成と強く攻め合う。
以下▲33歩成で銀損だが△57と!が用意の切り返し。
これが王手になるのが先手痛いんですよね。以下▲同玉に△49飛成で金を取り返して後手良し。
もうお分かりだと思いますが、
・▲68王が中途半端な位置(4筋が戦いが起こった時に王手がかかりやすい)
そして、
・▲49金が浮いている(活躍していない)
という点で棒銀がうまくいかないことが分かりました。
次回は、▲68王=中途半端野郎を克服して、▲78王型からの棒銀を見ていきたいと思います。
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