【山形の棋士】岡部怜央新四段と昔昔に指した将棋を紹介する~その2~


□2014.2.2 20分30秒 vs岡部奨励会1級
 昔のファイルに鶴岡田川とだけ書いてあった。一体何の将棋だったかのか分からない。やはり棋譜ファイルにはめんどくさくても情報は入れておくべきだなぁと思った。先手が私。
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▲56銀は私の趣向。早めの▲56銀を咎めるなら△54歩(銀を押し返す意味)だ。岡部1級もそう指した。それを見て私は▲65歩とさらに突っ張る。
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盤面を大きく使い大雑把に(?)戦おうという意味。進んで下図。
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やはり△55歩がきてしまった。以下、▲6七銀と引くしかない、ぶっちゃけ言うと作戦失敗。進んで下図。
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飛車ぶつけがきた、相手にとって意外であろう▲同飛を選択。以下同歩、31飛、79飛、21飛成、89飛成、25龍と進む。
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以下、54銀、34龍、44角、36桂。
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筋悪の攻め。以下、33歩、24龍、23歩、同竜、53角、24龍。
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しつこく△54の銀をせめる。以下、△44歩、同桂、43金、32桂成、75桂、76銀、78龍、68金、79龍、33成桂。
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攻めているようで逆に自分が攻められているという展開になる。具体的に以下△43の金がするすると先手玉前方まで迫ってきて下図。
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先手必敗形。最善を尽くすならここは58金右と連結させないとだめだった。本譜は、▲49金と指したため66金で後手の攻めがつながった。こうなっちゃうともう岡部くんには勝てない感じがする。
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以下、▲44成桂、77金、同金、57角、59金打。
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全く自信なし!
以下、△46角成、53成桂、24馬、54成桂、57飛、55角。
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しかしここから岡部1級の攻めもやや変調。
以下、55飛成、同成桂、57馬、84歩、39馬、同王、57角、38王、48歩成、同金左、同角成、同金、39金、47王、77龍。ここで・・・
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タダのところに捨てる▲67角が勝負手
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以下、同桂成、83銀、73王、74銀成、同王、85角。
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以下、△84王、74飛、83王、84歩、82王、67銀。
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いきなり先手玉が安全になった。先手勝ちになってるのでは?と思った。
以下、△69角、58歩、35銀、45成桂。
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以下、55銀。
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ハッとしたがこれが詰めろではないので普通に▲77飛と龍を外して先手勝ち。
進んで下図。
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王手飛車だが▲34飛打がぴったりの受け。
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これで先手玉は寄らず勝ちになった。珍しく、岡部1級が終盤で崩れた将棋だった。
同時に、相手が強いと自分の棋力も上がるなぁと感じた。

□2014.2/4 30秒将棋 その1 vs岡部奨励会1級
最初から1手30秒。どこかで指した練習将棋だと思われる。
先手が私。△36歩に▲48銀と突っ張る。
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以下、△37歩成、同銀、36歩、46銀、44歩、56銀、33桂、38飛、45桂、35歩。
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攻めさせて受ける方針。進んで下図。
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後手の攻撃陣が凝っているので先手良しだろう。
以下、▲25歩、同銀、▲45銀直、同歩、33歩成、同金。
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ここは飛車から切って▲86桂でシンプルにいくべきだった。
本譜は、大駒を渡すことにビビッて以下▲44桂、重い攻めだ。
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大駒を渡さないという方針だったが以下△38歩、32桂成、39歩成…と飛車交換になってしまった。△38歩をうっかりしているのだからひどい。進んで下図。
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ここは▲85金、73王、74金で簡単に詰みだった。
本譜は▲95金から王手をしてちょっと怪しくなった。
進んで下図。
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さすがにこれは龍切って詰み(62龍、同王、63銀、73王、72金、64王、54金)なのだがこれが見えなかったのはあひゃ。本譜は以下、43銀、41王、42銀成、同王、62龍、31王。
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何やっても詰みだと思っているのだからなぁ…。しかしここから思わぬ落とし穴が。
以下、▲32歩、21王、51龍。
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以下、△31歩、同歩成、同角、22歩、同王、34金(開き王手)、13王。
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この局面で私投了。詰まないんだな~へ~~~って思った記憶がある。それと同時に奨励会は最後の最後まで勝ちを追い求める→アマとの意識の違いを感じた。

さて、戻ってみよう。▲51龍王手のところをあえて王様から遠い▲61龍王手なら詰み。
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ここで、▲24金打、同歩、63龍王手ができるのが神手順。
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ここで後手の合駒が金銀しかないので詰みというね。
いや~~、そっかって感じだった。

□2014.2/4 30秒将棋 その2vs岡部奨励会1級
前局と同じ日に指された30秒将棋。
後手が私。
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以下、△26歩、同歩、同飛がどうだったかなぁ。飛車を呼んでおいて▲74歩でちょっと困った。
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以下△同歩は37角なので、上図以下△22飛、73歩成、同金と進む。
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この金が負担になるかと思われたが…進んで下図。
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うまいこと後手陣をリフォーム、むしろ後手良しだと思った。
そんでもって上図では、△26歩、同歩、同角で攻めが決まっていた。
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開き王手の絡みがあるため▲27歩に△59角成が分かっていても受からない。
再掲下図。
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本譜は以下△75飛としたため78飛とぶつけられた。
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飛車交換しなくても後手良くなるでしょと以下△85飛とかわす。
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以下、▲76銀に84飛がひどい手で▲74歩、同金、75歩、73金、77桂と一気に手を指されてしまい苦しくなった。
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飛車をいじめられつつ攻めまくられる展開になり後手投了。この展開は△73金型へのあたりも厳しかった。うー--ん、って感じだった。

□2014.8/24 寒河江チェリーランド千代寿杯 vs岡部奨励会1級 

今は無き寒河江の千代寿杯。参加賞でお酒が貰えて、昼食にカツカレー、そして優勝賞金1万円の神大会。先手が私で三間穴熊を矢倉で抑えこみにいく。
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以下、▲84歩、同歩、同飛、55歩、同銀、45歩、65歩。
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早すぎる▲26銀を咎めるため△45歩から手を作ろうとしてくる。
細い攻めを繋ぐのは奨励会の技なので要警戒。
進んで下図。
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銀角交換+穴熊が残る展開で形勢不利を意識していた。この△59角で後手の攻めが続く形だからダメだこりゃーと思い局面を眺めていると良い手が見えた。それが以下▲23角
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これで飛車が逃げれば▲67角成。
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なんと後手の角は詰む形になる。

再掲下図。
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というわけで本譜は、以下△77角成と勝負にくる。
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これなら先手勝ちだろ~。練習とかではなく大会で奨励会員に勝てるのはかなり大きいことだ、このチャンスを逃すまい。以下▲32角成、76馬、88飛、66馬、98飛。
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飛と香で連結する形になり相手に駒を渡さない展開となる。後手の持ち駒は、銀桂歩では理論上先手の王様は寄らない。後は、▲21馬からゆっくり駒得すれば勝ちである。進んで下図。
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3七の利きが多い場所に銀をかちこんできた。これはありがたい、自然と王様を上へ逃げて入玉勝ちを狙える展開になる。進んで下図。
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下がっても勝ちだが入玉を目指す。以下、▲26王、14銀。
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次は△25歩の1手詰だが簡単に受かる。
たとえば、以下▲34歩とか。
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これなら、さすがに勝ちだったんだよなぁ…(意味深)。

再掲下図。
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ここで私は▲34銀と打った。
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これは明らかに力んだ。自分では勝ちに勝ちを重ねたつもりだったが…
・・・・以下△99馬!
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おわああああああ~~~\(^o^)/

以下、▲同飛は、△25香で詰み。
完全にやっちゃいました・・・。
上図以下、▲44馬、同馬、36金、69角。
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先手陣崩壊・・・・これはもうだめですね。投了。

本局を振り返ると、岡部1級の最後まで諦めない・狙っているという奨励会の意地をみましたね。

そういえば岡部君の四段昇段のインタビューを見ていたら得意戦法相掛かりって言ってました。もともと岡部くんは振り飛車党だったのですが奨励会のどこかで居飛車党に転向したことは知っていました。でもその理由はなんとなくわかる。岡部君の切れ味鋭い棋風は振り飛車ではなく居飛車の方が活かせそうなんですよね。

とはいえ、ファンサービスで振り飛車もやってほしいなぁとは思っています(笑)。
これからの活躍を期待しています!
四段昇段おめでとうございます。

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あべしん

・アマ五段(県竜王戦優勝)の四間飛車党
・中学、高校、大学、社会人で県優勝
 →全国大会出場
・地元紙で将棋の観戦記を書いてます
・連絡先→kouteipengin6@gmail.com

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