【見えなかった腹銀】先手四間vs△44歩を突かない玉頭位取り【2021.6.6山形県アマ名人戦2】


□2回戦 vsH田くん
ここが勝負所で負けると1-1となり、絶望的な気分で3回戦を指さないといけない。というか、この対局で負けたら3回戦仮に勝っても2-1通過の目は無いように感じました。

先手が私、後手がH田くん。
ノーマル四間美濃で勝ちにいきます。
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さて、この局面だけ見るとソフトで序盤を研究している人は「▲96歩は一手の価値がありません、意味の無い手です!ドヤァ」と言いそうですね。実戦では相手の顔を見ながら指すので色々と駆け引きがあるのです。

以下、H田くんエルモかと思いきやまさかの△35歩。
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この玉頭位取りは本気なのかフェイントなのか。
以下、▲46歩で本当に玉頭位取りをやってくるのか待つ。
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最近のH田くんは、
長所である中終盤の力を最大限に活かすために、
多少変でもオリジナリティ溢れる序盤で、
相手に時間を使わせて、
力将棋にしてしまえばゴチャゴチャやっているうちに、
自分の方が将棋が強いので勝ちます!
というスタイルなので、すっごく厄介です。
しかも必ずと言っていいほど最終盤にH田くんの持ち時間が10分とか残っているので削られます。
ひたすら将棋が強くて実戦的な相手にどう戦うか。

上図以下△33銀。これは定跡書に書いていない玉頭位取りですね。
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△44歩を突かずに△33銀と上がる玉頭位取りは、次に△44銀右→△31角→△34銀という駒組みが狙いでそこまでいくと居飛車作戦勝ち。というわけで組まれる前に動きたい、上図以下▲88飛。
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通常、急戦向かい飛車は成立しないのですが、
・△52金が入っていない、△53銀が浮いている
・△33銀で角道が止まっている
と特殊条件が揃っているので振り飛車から動いていくことができます。
以下、△52金右、86歩、同歩、同飛、85歩、88飛。
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以下△73桂が△94歩との連携でぴったりにみえますが…
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以下▲75歩、84飛、74歩、同飛、83歩が狙いの一手で先手優勢になりました。
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これは後手の角道が止まっているので成立する変化です。
以下、△64歩、82歩成、76歩、59角、65歩、72と。
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以下、△34銀、73と、75飛はへ~という手。
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なんか完封する手順はありそうですがそれを考えると時間を使ってしまいH田くんの思うつぼなので優勢さえキープしていれば良いという手順を選びます。
以下▲56銀、66歩、74と。
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以下、△67歩成、75と、88角成、67銀、89馬、61飛。
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さすがにこれを負けはないと思ったね(笑)
以下、△62歩、▲91飛成、99馬、66歩。
※▲91飛成では▲76ととして次に▲77角からぶつける手も有力。
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上図以下△77歩成でと金を作られましたが▲56銀とかわしておいて活躍できなさそうなので問題無し。そしたら△68とと捨ててきました。
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馬を使わないとしょうがないという事でしょう。以下▲同角、66馬、65と、33馬。
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先手必勝。ここが決めどころ。
もうね、勝ち筋が見えすぎて困りました…。
一目は▲45桂ですよね。
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これは以下、△同銀、同銀、42桂のH田流の根性ディフェンスにどうするかが分からなかった。
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▲25銀だと△22桂とか打ってきそうだしな~。
しかし今見ると△61銀と金を狙えば分かりやすいですね。
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本譜より絶対こっちが本筋でした。

再掲下図。
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おかしいかな~と思いつつ完封を狙ってそっぽに▲94龍、そして△36歩。
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まぁ△36歩もうるさいですが3筋に歩が立てば後手の急所でもあるのである意味「攻め」なんですよね。以下、▲同歩、△44桂、47銀引、35歩、同歩、同銀、45桂。
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この桂が刺されば勝ちでしょう~。
以下△24馬、▲39王(保険流)、46銀、54と。
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次は▲53桂成からじっくり行けば勝ちという意味。
それは困ると以下△同銀、同竜、37歩、同銀、同銀成、同桂、36歩。
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さぁどう勝つか!?
間違いなく勝ち筋はある!
あとは30秒で見つけるだけです。
以下、▲33歩、22王。
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以下、▲52龍、同金と指は言っています。
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必至問題に出てきそうな局面。

いや~~迷いました。

どれが一番良いのかなと。

以下▲32金、12王、22銀は読みましたよ。
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しかし以下△51飛にどうするか分からなかった。
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しかしよく見ると以下▲25桂がぴったりでしたね~。
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以下、△同馬なら▲13香、同桂、▲21銀打がありますね。
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これが見えなかったんだよね~。

あと言い訳なんですけどイメージとして▲33歩の必至の形って△24歩→△23王から抜けるルートがあるのであまり深く読まなかったのも良くなかったです。この場合は△24馬がじゃまして△24歩を突けないのでそれは関係ないですネ。最終盤はイメージとかじゃなくて愚直な読みで勝負しないとダメだな。

再掲下図。
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本譜は以下▲31銀、12王と進行。
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まぁこれでも勝ちだと思ったんですよね。
以下▲32歩成!と攻め駒を一枚増やす。
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 多分、詰めろです。
以下△28銀。
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これも当初の予定は▲同王と取り、37歩成、同王、35飛、48王、32飛、33香でした。
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以下、△同桂に▲22銀打。
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以下△同飛、33桂成、同馬、25桂。
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という寄せを考えていたのだが何か読み抜けがあるとひどいではすまされないので、秒読みだしでひよってやめました。とはいえ、こう指さないといけないところでした。

再掲下図。
本譜は、
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以下▲48王、△37銀不成、59王、99飛、79歩、▲65香。
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これ、本当に( ゚Д゚)え?と思いました。

後手詰まないの??

97手目の▲32歩成から今の今まで後手玉は詰めろだとずっと思っていたのですがよく見ると詰まないではないですか!
 
I have thought  ・・・なんちゃらなんちゃら・・・。
but  詰まない!!
久々に現在完了形・壱の型・継続を思い出したよ。

▲32歩成が詰めろじゃなかったとは、金子先生に怒られるわ~。
ここで頭がパニックになりました。

以下▲67歩、76桂。
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あららららら~~~!!
いつの間にか攻守入れ替わってる??
うわ~~ここで負けたら終わりやで。
何かひねり出さないと!

何か!

何か!!

何か!!!


以下、▲13香、同馬、22金、同馬、同銀成、13王、35角、24歩。
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キタ!!

以下、▲56歩が渾身の返し技!
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次に▲24角までの詰めろ。
以下、△68桂成、同角。
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これがまた次の▲25桂からの詰めろ。
さすがに勝っただろと。

すると、H田くん、胸ポケットからナイフをとりだし、
焦点に!
私の焦点に!!
△57歩!と刺す!
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うぉぉぉぉ・・・これはまた・・・。。。
▲同角だと△86角で詰み。
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▲68銀には△79龍の交差法ある。

再掲下図。
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なんかないのか?ないのか?






 ダイブ!! 






  





                  ☆!!









以下▲25桂とタダ捨て!
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△同歩としてから▲33桂成と迫る。
これで耐えててくれ!!
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以下△58歩成なら王様を抜くことができる。
終わりだよ、H田くん!


以下、△69金!
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ん?これは…詰まないと思ったけど。
そして金が入れば後手はもう完全必至では?
ついに勝ったか!?

以下▲同王、87角
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そっか・・・( ;∀;)
よく見たら相手の駒台に桂馬がのっているではないか。
なんと、さっき私が渡した桂馬ではないか・・・。
桂馬、お前相手の駒台の上で自爆してくれ…と思ったね。

以下▲78銀、同角成、同王、71香、77金、86桂と今渡した桂馬を打たれて詰み・・・。
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ガーーン・・・。
私のアマ名人戦は終わりました。

さすがに必勝だと思ったのにこれ負けるのか・・・。


感想戦。
再掲下図。
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この局面、後手王が詰めろになっていない事が発覚してパニック状態になって▲13香から暴発したのですが、「△76桂って詰めろなの?」と記録係のやましゅーさんから言われました。
これが詰まない可能性があるかどうかは1秒も考えなかったのだが詰めろでないとすれば△22銀不成か。
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感想戦では以下△68桂成、同金は△79龍にてさすがに詰みで打ち切られたが・・・。

最近大会に出てこない、東大卒弁護士のいしとしさんにも同じことを指摘された。

うーーーん、1日で二人から指摘されるのも稀なのでもう一度考えてみた。

上図以下、△68桂成に同玉があるではないか!
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以下△86角に▲77桂で詰まない。
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あひゃーーーこれで勝ちですか・・・。

そもそもなんですけどね。
H田くんから下図について言われました。
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ここでは▲22銀打で必至では?と。
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▲13王の退路封鎖が大事です。
これ寄せの基本ですよね・・・あぁぁぁ。でもあんまり▲31銀+▲22銀という必至の形を見たことないんですけど勉強不足ですかね。

本譜は▲32歩成で詰めろになっていないのに詰めろ!とかやっているからおかしくなるんだよなぁぁ。
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ってちょい待てよ!!
これが詰めろじゃないってことは本譜は以下△28銀でしたが普通に△37歩成で負けですかこっち!?
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負けだぁぁあああああああああ。
実はH田くんも終盤間違っているというね・・・。
ひえーひえー。

再掲下図。
まとめると
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ここでは
・▲32金、12王、22銀
or
・▲31銀、12王、22銀打
の2択でやはり▲22銀(打)で縛る形を作らないとだめなんですね。

▲21銀不成の王手ルートが無いと必至にならないわけか。それが▲31銀+▲32歩成の本譜の寄せが激熱にならない理由なんですね。寄せの基本を身をもって知りました。ゲェェェ。

いや~これが問題集なら解けていたと思うけど、実戦では▲32歩成とと金を作る味の良さに魅入られてしまった。

腹銀は偉大だった。
金子本の基礎問題とかに普通にありそうです。

高校生のM本くんが大会開始前に金子本を読んでいたのを見て「え、いまさら!?」と思わきゃよかったなぁ。

その関連で思い出したけどねこPが大会開始前に定跡書でも終盤本でもなく〇〇実戦集を読んでいたのだがあれはツッコミ待ちなのだろうか。大会開始前に実戦集は、山形珍百景に登録していいですかね。

※追記 
なお、この将棋については2021年9月20日から山形新聞に私の自戦記で解説されています。観戦記のあとがき(R3.9/20~9/24 あべしん五段vsH田五段 山形新聞掲載分)
こちらでも向かい飛車の変化を解説しておきました。

□2回戦その他
ほまみー君が山大のS藤Hくんに負けたぁ~~( ゚Д゚)
なんということでしょう。

これには1回戦でほまみー君に負けたM本くんも、
「ほまみーマジみー?( ゚Д゚)」と思ったのではないか。


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abcn

・アマ五段(県竜王戦優勝)
・中学、高校、大学、社会人で全国大会出場
・四間飛車歴およそ25年
・連絡先→kouteipengin6@gmail.com

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