※写真提供 おのd
コロナ対策で全員壁を向いて食べておりここは塀の中かと思った。
いや、私の心の中が塀の中に在るのか。
月岡ホテル渾身のお弁当。

真っ暗な選手達の心に彩りをという気遣いが伝わってきます。一時期の山新大会のお昼は具無しカレーや牛丼と単色だったので「無」でしたがこういう配慮は嬉しいです。
山菜のお味噌汁、美味しかったのでおかわりしました!
食べる事と将棋で落ち込む事は別ものです。
□3回戦 vs M本くん
お互い1-1同士で2-1になればもしかしたら予選通過できるかもしれないという状況。
・あべしんがM本くんに勝って2-1になるのは絶対条件。
・1-1同士ほまみー君vsT橋さんはほまみー君が勝つと仮定しよう。
・そこで問題なのは2-0同士のH田君vsS藤Hくんの対局でこれを場合分けして考える。
↓
1、H田くんがS藤くんに勝った世界線
・私の対戦相手の勝ち数(ルール2)
1回戦 T橋さん ➀
2回戦 H田くん ③
3回戦 M本くん ➀
合計 5
・S藤H君の対戦相手の勝ち数(ルール2)
1回戦 H角さん ⓪or➀
2回戦 ほまみー君 ②
3回戦 H田くん ③
合計 5または6
もし5だった場合は私と並ぶので→ルール3の勝った相手の勝ち数合計は私2に対してS藤くん2または3→もし並んでも私と直接対決がないので→ルール5の連勝特権でS藤くんが通過となる。あひゃ!!
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2、S藤くんがH田くんに勝った世界線
・私の対戦相手の勝ち数(ルール2)
1回戦 T橋さん ➀
2回戦 H田くん ②
3回戦 M本くん ➀
合計 4
・H田君の対戦相手の勝ち数(ルール2)
1回戦 SS木くん ⓪or➀
2回戦 あべしん ②
3回戦 S藤Hくん ③
合計 5 or 6
H田くんに将棋も勝てない、点数でも勝てない…。
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もしかして、最初から詰んでるのか??
いや、T橋さんがほまみー君に勝って、他もうまいこと勝ってくれたら逆転で本戦にいける道もあるか・・・かなり薄いけどそこに賭けるしかないか。
いやぁ・・・きつい。
M本くんが全国中学名人を獲得して以降コロナ禍になってしまった。
是非とも指したい選手の一人だったのだが…
ここじゃないんだよなぁ、ここじゃない( ゚Д゚)
これが予選抜けをかけての1局なら元気が出るのだが、現状勝っても2-1で通過できるかは分からない。
分からないけど可能性が1%でもあるかぎり繋がないといけない。
こういう状況・状態で何を指そうか、一番期待値が高いのは何か。
相振り飛車は、展開が激しいので元気が無いので指せそうにないや。
こうなったら
居飛車を指すか( ゚Д゚)!
記録係のY田くんの心の声「('Д')えぇぇ~~」
後手が私。
ヤケになって居飛車指してるわけではないんですよ。穴熊に囲って攻めまくる展開になればM本くんの終盤を気にしなくてよいので唯一の勝ちパターンかなと思っています。
しかし指してみて思ったことがある。
△94歩△84飛△32金△14歩など手の意味が自分でも分からない。小学生や中学生にやったときは誰も咎めてこないからいいや~という感じだったんだけど相手がM本君クラスになってはじめて「やべぇなコレ」と感じてきた。
というか、上図の△11王ってめちゃくちゃ危なくないか?と思っていたら…
M本くんが考えている。ヤバい…やはりかと思ったら
仕掛けられてしまった、う~~~ん。。
というか、△94歩△84飛△32金まで指しても仕掛けられるってことは相当私がまずいのか。以下、△同歩▲65銀△22銀△74飛。
△32金が浮いてるので仮に△同飛、同銀、79飛には▲82飛が厳しいのか。
△32金型は△61に金を置いても飛車交換でダメなのか。
ここらへんは知識の無さがバレてしまっている。
再掲下図。
以下△82飛、▲54銀。飛車を引くようではなんのために△94歩+△84飛で2手かけたのか分からん。局後に記録係のY田くんから「勝負にならないんじゃないかと心配した」と言われました。私も正直これ「ヤバいヤバい、記録とってるのにこの将棋は本当にやばい」と焦りましたね。
でもこうなる可能性があることも織り込み済み。この戦型の知識面ではM本くんに敵わないので、もとから心理戦で勝負しようと決めていました。
以下、4分考えて△24角。
これはですね、別に手の意味はないっすね(笑)。でも、4分考えて意味が無いというのが1周回って良いのかなと思ったんですよね。以下、M本くん1分で▲65桂。
う~む、「あなたは桂馬を跳ねられますか?」とプレッシャーをかけたのですがやってきましたね~。
でも第2弾があるんですよ!
私が再度4分考えて指した手は・・・
△42角。
計8分考えて△24角→△42角の屈伸運動。
記録のY田くんが「駒組みに苦心の跡がうかがえる」と言っていました。
でもまぁ、1分考えて屈伸するのと8分考えて屈伸するのとでは重みが違うよね。ただの手でも時間を乗せることで魔法をかけることができるかもしれない。
以下▲73桂成なら△同桂、同飛成、64角で勝負の筋をチラつかせます。
ここでM本くんが考え込む。
1分…⌛
ふふふ、理屈では悪いはずがない。
でもすぐには指さない。
2分…⌛
それは過去にこういった局面で判断を間違えてひどい目に遭ってきたから。今、君はあべしんではなく過去のM本くんと戦っているのだよ。
3分…⌛
経験があればあるほど迷う。
迷うのはあなたが優秀な戦士だから。
上図以下、M本君も4分考えて・・・
▲46歩!!
これは冷静ですね。
記録係のY田くんが局後に「これが強い人の手か…」と言っていました。以下ここはウソでも△64角と勝負、引いたらその前の8分の考慮時間の意味がなくなる。
しかし以下▲45歩!が▲46歩に4分考えた真の意味だった。
▲45歩は美濃玉のコビンが開くので指しにくいと思ったけどね。でも驚きを悟られてはいけない、だって僕は何でも知っているイメージで売っている五段なんだから。「うむっ」と頷き△33銀引と意味ありげに引いておく。
さぁ、桂馬成れるものなら成ってみれば?
数手前と比べて居飛車は手損をしているわりに駒が急所へ利いてきているのでM本くんも嫌な感じがしているのだろう。
1分…
2分…
3分…
ついに▲53桂成と踏み込んできた。
以下、当然のように△42銀と銀桂交換を迫る!
桂馬を持てば△36桂が権利で先手の時間と神経を削ることができる。
以下、▲同成桂、同飛。
▲53銀打には△72飛とぶつけて勝負されて先手嫌だろう。
先手の攻め筋は沢山あれど、どれも穴熊の奥深くに招かれているようなはっきりしない展開になる。さて、M本くんここでどうするつもりなんだい?
以下、64飛、同歩、55角!
天王山の角( ゚Д゚)美しい!!
▲54銀を活かして▲55角と打てば角が安定する。石田流は飛車を成りこむよりも角で上から攻める筋が強烈なんですね、それなら深追いせずに穴熊を崩せますからね~これは1本とられたね。上図の局面はそのまま記念切手になってもおかしくないくらい美しい。
以下、△51金、15歩、同歩、14歩。
端攻めが厳しく1筋の歩交換が振り飛車有利に働いている。以下△52飛、53銀打、72飛。
銀を5筋に使わせて少しは勝負になりそうか??
以下▲15香!
この手は形勢を突き放しにきたM本くんらしい「強」の手ですが後手から△16飛や△16桂の手段を与えているのでノーリスクではない。ここでさらにM本くんの読みを外す手を指せれば面白くなる。何かないか??
まず、△16飛は最有力、通常ならこう指したい
以下、▲36歩なら24桂。
こうなればいいのですが先手も読んでそうで普通すぎるなと。
再掲下図。
本譜は、
以下、△16桂、39王、18飛といかにも誘いの隙へ飛び込んていく。
以下▲36歩が絶品、天王山の角が守りにも効いてくる。
▲36歩を指してもらうことでこの棋譜はもっと美しくなる。
以下、△79飛成、13歩成。
以下、△同香、同香成、同桂。
ここで以下▲19歩に△38飛成とすれば1筋に歩を使わせた分がバカになるのでよっしゃー!という狙いでこの天王山満開コースを選んだ。
しかし指されたのは…
▲19香!( ゚Д゚)
あああああああ
やってしまったぁぁぁぁ!!
ベチ!ベチ!(太もも)
うーーん・・・・
でも▲19歩より▲19香の方が局面としては美しいよな。
投了。
負けました。
指すのであれば△59飛成▲18香ですが…
ここで投了はぜんぜん美しくないね。
以下△58龍、同金、△15歩には▲14歩が厳しい。先手は1筋に歩が使えるのが大きいので後手勝ち目なし。
精神攻撃を仕掛けるタイプの使徒「あべしん」撃沈。
本局を振り返ると、ガンガン攻める石田流のような初心者石田ではなく、攻めていけそうなところをあえて踏みとどまるなど終始冷静で、かといってビビりではなく、最後は読み切って勝負にいくなどまさに石田流の模範演武のような1局でしびれました。M本くんのセンスの良さを感じた1局でした。
終局後、記録係のY田くんから「あべしんの居飛車が出た時点でヤバいと思った」と酷評を受けてしまった…。天童ではそんなに俺の居飛車評判悪いのか!
2-1になったM本くんが予選を通過できたのかどうかはホワイトボードを見なくても分かる。
M本くん、お互い修行が足りなかったね。
次はもっとアツい舞台で戦いましょう。
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