将棋、受けの力を伸ばす具体的な方法

「受けの力をつけたいけどどうしたら?」という質問はまぁよくされますね。

こういう悩みってジュニア層が意外と多く持っているんですよね。というのも小学生の将棋ってガンガン行けば相手が勝手に倒れてくれるし、最悪受け間違えてくれるのでそれでいつのまにか県トップ層になっちゃったて人も多いんです。

しかし相手も同じくらいの強さであったり教室の先輩クラスになるとそうもいかない。しっかり攻めを受け止められて反撃されて負けるというね。

そもそもなんですけど勘が良い子どもは「自分は受けが下手だ」ということに気付いているんですよね。そう、だからこそ相手に攻められる前に攻める!という防御反応が働いて無理な攻めや十分な体制が整わないうちにネコパンチしちゃうわけです。

攻防の理想は、しっかり相手の攻めを見切って「ここで相手から攻めてくる手があるけど大丈夫、今は1手ためておく!」という手順に踏み込めるかということ。

強い人ほど相手の攻めが見えています…。
👀
だから達人の間合いで見切って反撃できるわけです。
⚔🔥

では受けの力を上げていくにはどうしららよいのものか?

私の回答は以下の4つです。

1、そもそも相手の攻め筋は見えていますか?

受けが苦手な人は、

相手の攻め筋が見えていない。
    ↓
見えていても受け方を知らない。

のどちらかの段階だと思います。

相手の攻め筋に気がつかなければ受けも何も無いよな~って感じです。これはもうこんな攻めがあるよ~っていう知識の習得と日頃から実戦で何を感じるかだと思います。本や棋譜並べをしなかったり、何も考えない早指ししかやらない人は当然相手の攻めなんて読まないのでそりゃ受けなんて上達しないよなというところ。

相手の攻めが見えているのに受け方が分からない段階の人は有望、その都度対局が終わったあとに調べるだけの話です。棋譜並べやプロの将棋を観ていて「こうやったらどうするんだろう」と疑問に思った事も調べておくんです。あなたが疑問に思ったことはあなたのレベルの仲間達はみんなそう思っているので大会では頻出すると思いますよ。将棋ってね、勝つために想像力が大事なんですよ。〇〇君ならこんな攻めやってきそうだな~みたいなね。

では参考になるか分からないけど具体的な例を見ていきましょう。

□序盤レベルの話
△75歩と仕掛けた局面。
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基本に忠実であれば「攻められている筋に飛車を回る」と▲78飛なのだが以下△74飛と回られた局面は…
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実はすでに居飛車が指しやすい。先手ビギナーにとって攻められている筋に飛車を回って受けたはずなのにもう悪いとはこれ如何に?という気分だがしょうがない。これはもう知識でそれを知っているか知っていないかの話だと思う。戻って下図、
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ここで▲78飛と回るのではなく、上図では▲78飛とすでに回っている状態で△75歩にどうするかという局面。つまり先手の受けは1手遅いのだ。日頃から定跡形に慣れ親しんでおくというのが大事。なお、居飛車目線で話すと上図以下まさかの▲65歩!にはどうするべきかも考えておかないといけない。さすがに無理な捌きではあるが現場で答えを出すのは大変、家でどれだけその局面について考えていたかが勝負を分ける。つまり最新形も傍観しているだけでなくここでどんな仕掛けがあってどう受けるべきかを想像力を働かせて予習しておいた方がいいよってことね。

もうひとつ、居飛車目線で見てみよう。
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以下△82飛、77桂、93桂と振り飛車は先手の玉頭を直撃する狙いだ。
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これ自体は定跡とはかけ離れた力戦形だがそれでもポイントがある
居飛車としては△85歩には常に▲同桂、同桂と対応して桂を取らずに放置しておけば潰されないと思っているかもしれない。
しかし手順を省略するが下図のように後手から角を引かれると先手の玉頭は受け無しになる(6手後に死ぬワニ🐊)。
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先手は△54歩+△42角という攻め筋をを知っていたかというのが生死を分けるけるポイントでした。
 
ちなみにウォーズ三段クラスだとバシバシ引っ掛かりますよ、この筋\(^o^)/

で、どうやって受けるかというとさっさと▲66銀と出るんですね。
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次に▲75歩で銀を追い払うことができれば後手作戦失敗なので△85歩としますが▲同桂、同桂、75歩!がやはり急所。
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銀を引くよりなく先手優勢となります。

なお、手順中△85同桂のところを△同銀ならどう受けるかも気になりますよね?そういうのも気になったら調べておくんです。読みの中で気になった点は家に帰って調べておくのが大事。その積み重ねが受けの力になります。

□終盤レベルの話
下図は秒読みで30秒の激戦。
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以下▲32金、同銀。
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ここが局面の急所です。
まず▲31銀は13王と逃げられて詰まなくなる。
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(まぁここで▲42竜と入れば先手勝ちなのだが手順がおかしい)

再掲下図。
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そもそも▲42成桂と入って先手玉が詰まなければそれで勝ち確定。
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しかし、後手から「色んな王手の組み合わせが見えており」なんとなく詰まない気はするけど…という気分ではあるが万が一があってはいけない。詰む・詰まないの形をはっきり認識できる人は▲42成桂と飛びこめるが・・・。
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実戦は一度▲37銀と受けに回りました。以下△同角成、同金、48銀、29王、33銀打!
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この△33銀打は後手最後の勝負手。局面自体は▲42成桂と踏み込めば勝ちなのだが…
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以下△37銀不成の変化を読みきらないといけない。
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以下▲32成桂、13王、31角成、22桂。
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△33銀+△22〇の受け形も有名で▲同馬、同銀でこれ以上王手が続かない形である。
    ⇓
しかしこの受けの形も上図以下▲24銀とこじあければ詰みという知識があれば先手を勝ちに導ける。
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以下△同歩、23金。
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以下△同王、22成桂で無理やり王手がかかる形にひっぱりこんで詰み。
いやぁ知識(筋)を知っているかって大事ですね。

再掲下図。
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本譜は今の筋を読みきるために以下▲38金と時間を稼いだのだが△26桂と指されてあひゃ!典型的な吊るし桂の厳しい形やん。
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これは△33銀打と打つ前なら▲44角の王手桂取りで素抜けただけに盲点になる。これを後手は狙っていて△33銀打と打ったのだった。とはいえ上図以下▲48金、同成銀、31角で後手詰みなのだが動揺した先手は負けましたとさ(笑)。
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ま~先手はどの変化においても長手数の詰みを読みきる実力が必要だったといえる。相手の攻め筋が見えているのはもちろん、その兼ね合いで相手を詰みに仕留めあげる終盤力が求められていたという例でした。

受けの力だけ上げてもダメ、攻めの力だけ上げてもダメ、終盤力ってのはどちらのパラメータも強くしないといけないんですね~。

2、囲いの特性を知らないと話にならない
例えば振り飛車党は美濃囲いを多用するわけで自分の王様の安全度が分かっていない人は相当勝てない。

というのも美濃囲いへの攻撃パターンというのは『美濃崩し200』という本によってある程度システム化されているからだ。したがって、振り飛車を指す者としても美濃の弱点ってこんなのがあるんだ~ということを知識として知っておく必要がある。これは必須。
   

そして『美濃囲いを極める77の手筋』でさらに防御力を高めておこう。

実戦的な筋が満載なのでこの本はもっと評価されるべき。どんな本でも1つでも知らなかったことがあれば儲けものでしょう。

あと、美濃囲いに対する端攻めはつきもので厄介厄介。
 
端攻め本で代表的な筋を頭に入れておくのも良いだろう。

まぁこうした手筋本は読んだあとに自分で実戦で使ったり・くらったり、感想戦で指摘されたり、誰かの対局を観ている時に「あっあれだ!」と思い出す事で知識→実戦で使える力に変わるのだと思っています。

美濃囲いの典型的な逆転パターンを1つ。
下図は後手振り飛車が敗勢であるが急所の△66歩を突く事が出来れば紛れのある局面となる。
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問題はどのタイミングで突くかという話。
上図以下、すぐに△66歩は▲63成桂が詰めろ。
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次に▲73金からバラしていけば詰むのでこれは勝ち目がない。

再掲下図。
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振り飛車党ならまずは以下△72銀といつもの美濃にして▲52とに△66歩と突くのが良い。
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実際は▲64飛の攻防手があって負けなのだが…
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流れで▲61とと取ってくる人もかなりいると思う。
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実はこの局面、後手玉は少なくともナナメ駒が無いと王手がかからない形なのだ❕
上図以下△67歩成、同銀、66歩で勝負!
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これが美濃囲いの一瞬の堅さを利用した指し方で知っていると応用がきく。
逆に先手が知っていればこの形に誘導しないので後手は勝てなかった。やっぱ「形を知っている」というのは大事なんですね~!


3、最終盤の受けの技術を学びたければ『凌ぎの手筋』と『寄せの手筋』だが正しく使おうね。
    
『凌ぎの手筋』は1手だけ稼ぐ手筋が満載だ。しかしよくあるのが2手稼がないと勝てない局面でドヤ顔で1手だけ稼いで必勝の将棋を負ける子が多い事多い事。凌ぎの手筋の意味を勘違いしてはいけない。

具体例を1つ。
後手が△78金とした局面。
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次に△95歩王手という手があるがこれは打ち歩詰めである。
そこで先手はどう考えるべきか。詰まないのであれば▲24歩と取り込んでおいて…
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次に▲46桂を狙って勝ちだが、見えている人は後手の△94歩(控えの歩)が気になる。
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これは次に△95歩の突き歩詰め。ここで『凌ぎの手筋』を読んでいる人は以下▲86歩、77金、87桂という受けが見える。
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これで後手の攻めは止まるのでめでたしめでたしなのだが、それは次に後手が詰む場合に限る。この場合は後手から△72角という手段がある。
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以下▲41飛成、同金、23金で詰めばよいが全部バラしても下図で詰まない。
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再掲下図。
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以下▲71飛成と逃げても△95歩、同桂、94歩で必至。
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この手筋は相手に1歩でも渡すと逆に必敗になることがある。
必至や凌ぎの手筋ってすっごい条件が揃った部分図でしか活きれない問題が多いのでマジで注意な!!実際の将棋は81マスで駒が乱れ飛んでいて問題集の答えの例外が無数にある

したがって、本当に強い人はそういう事まで理解した上で問題集に書いてある知識(手筋)を使えるか判断しているのだ。

私も必至だと思って指したら王手で要の駒を抜かれたり、必至じゃないのに相手が受けなしだと思って勝手に投了してくれたり(相手が受け方を知らない)と色々あった。何が言いたいかというと問題集(教科書)の知識はその後に「生きた実戦で使わない武器にならない」ということです。

再掲下図、結局どうすると勝ちだったんだろう。
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ここで▲24歩はいくら凌ぎの手筋を繰り出しても負けなので、じっくり▲86歩が良い。※▲81飛成で角をいじめるのも正解。
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こうしておいて逃げ道を確保しておけば王様が安全になるので▲24歩のゆっくりとした攻めも間に合う。そんでまぁ▲86歩自体は難しい手ではないのですがこの手を選べるかのポイントは…この後の展開で先手は相手の攻め筋が見えているか(受けられるか)ということだと思います。以下△77金の退路封鎖は見えますよね。
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これには王様の逃げ道を▲85歩と拡張しますが△74角が気持ち悪い手です。
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さらに王様を安全にするには?
▲86王と危険地帯から抜け出します。
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これで△77金にそこをどけ!と働きかければ後手困ります。
以下、△76金、同金、同歩、84歩。
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相手の持ち駒が金一枚ではどうやっても先手王は詰みません、ようやくはっきりとした勝ちが見えてきましたね。

凌ぎの手筋は絶体絶命の時に繰り出す手筋でいわば秘術、この将棋のように自然と指せば優位を拡大できるときに使うのものではありません。まぁ自然と指すのにも相手の攻め筋が見えている→それへの受けという正確な読みが必要なのですがね。

『寄せの手筋』はその名の通り寄せの本ですが相手の受け方も考えないといけないので受けの力もつくってことで紹介しました。


4、「受けの総合力」を上げたいのであれば大山先生の棋譜を並べたらという感じです

とはいえ、めっちゃ分厚い上に値段も張るので覚悟が無い人はやめた方がいいですね。
 
お近くの図書館に置いてある場合もあるのでお試しで借りてみては。

面白く読むのであれば、大山全集の一部の棋譜を藤井猛先生が解説してくれた『現代に生きる大山振り飛車』がおすすめ。
 


とまぁ、こんな感じです。

□まとめ
・相手の攻め筋が見えないとそもそも受けも何もない。
→棋譜並べや本、将棋観戦、実戦で攻め筋や受け筋の知識を習得。
 早指しせずに想像力を働かせ「こう攻められたらどう受けるんだろう?」という疑問を持つこと。そして調べましょう、その積み重ねが力になります。

・結局、終盤の基礎体力が無いと話にならない。
相手の攻め筋が見えていて受けが分かっていても終盤力が無ければ勝ちに結びつける事ができない。終盤の基礎体力とは、正確に読む力。読む力を手助けするのはこの形にはこんな筋があるんだよという知識(筋)と経験、そして何よりも数手先の盤面を見るという詰将棋的な力なのかなと思います。

□すぐにできる事
【時間が無い人はよく指す形の中盤と終盤を重点的に分析してみましょう】
具体的にリアルや24・ウォーズの棋譜をね、直近3カ月分くらい見返してみては?

くらっている筋や潰されている筋の共通点みたいなのが見えてくると思うよ。次やられたらしっかり対応できるように自分だけの「受けノート」でも作ったらいかがですか、スクショでもいいので。

あ、この方法なんだけど対抗形はわりとみんな頑張ってやるんだけど相振りはなぜかやらないんだよね(笑)。

だから相振りがいつまでたっても苦手なままなんだよって人が多すぎる。相振りほど手筋が世間に出ていない戦型というのも無いので調べれば調べるほど自分だけ勝ちまくれるはずなのにそれをやらず本+棋譜並べの入手できる教材だけやって満足している人は勿体ない。将棋は学校の勉強と違って相手がいるので常に競争、100点というラインがない。勝つ人と負ける人の違いって自分で頭を使ってどうやったら勝てるかを貪欲に考えているかだと思う。



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abcn

・アマ五段(県竜王戦優勝)
・中学、高校、大学、社会人で全国大会出場
・四間飛車歴およそ25年
・連絡先→kouteipengin6@gmail.com

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