元祖本格将棋漫画『5五の龍』で奨励会級位者時代を堪能せよ【卍飛車・飛騨の中飛車合掌造り】

作品名:『5五の龍』全12巻
ジャンル:奨励会受験~級位者物語
著者 :つのだじろう
監修: 様々なプロ棋士
出版社ゴマブックス株式会社
発行日:1978年の漫画
販売価格:全12巻を3冊に大合本した電子書籍であれば7,518円。


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主人公駒形 龍(こまがた りゅう)
駒みたいな顔をしています。

□1巻~12巻の感想&あらすじ:ネタバレ注意 

主人公、駒形は貧乏のどん底、恵まれない家庭環境で育った。

どのくらい恵まれないかっていうとお父さんが真剣士💰なのだ\(^o^)/

雨に濡れながら、体温を失いながらも必死に真剣を指す!

今も昔もこんな姿、誰の感動も呼ばないナ。

そして三日三晩飲まず食わずの真剣は続き、ついに駒形父が倒れる。相手はその瞬間に勝ちを宣言するが駒形の担任が警察と救急に通報!

この担任は仕事ができるぅぅぅ~~!

事態は、1年後に駒形父の代打で指しかけの局面から駒形が指すということで収拾される。

そこで、駒形はうぉぉぉぉ強くなるぞ~~🔥と燃えるのだった。

というわけで将棋会館道場に行きます。
すると、自分より強い年下の子達がうじゃうじゃ。
自信満々の角道道夫と出会う。
彼から中学生名人戦の情報を聞き参加を決意する。

しかしながら母親から「将棋なんて辞めてちょうだい」と泣きつかれるのであ~る。駒形は「将棋は悪くない」と言うが…。
父の賭け将棋で母が苦しんで息子の将棋に猛反対というシーンは『駒が舞う』にもありました。昔の将棋漫画定番のシーンなんでしょうねぇ。

◎全国中学生名人戦開催
昭和51年から開催されている歴史ある大会。
昔は参加費が無料だったため、350人以上参加したらしい。
信じられない規模です\(^o^)/
ルールも独特で対局を始めて40分すぎても勝負がつかない場合は1手30秒方式。
何を言っているかわからないと思うけどそういう事なんですよ(笑)。
相手が強いと思ったら40分間何もせず1手30秒の早指し戦に全てを賭ければワンチャンあるというわけです。これ今の小学生のJT杯もそうなんですよね、削られます。

全国大会ともなると全国各地から強豪が集まってきます。

駒形の予選1回戦は、新潟からきた昨年ベスト8の強豪。
強豪は駒形をド素人とみて奇襲作戦を繰り出すが…。
※全国ベスト8クラスが奇襲は現実的にないと思います(笑)

予選2回戦もウザい奴に当たった!
対局中、めっちゃ煽ってくる~。

予選3回戦、奨励会志望の穴熊虎五郎と激突!

将棋指しより相撲取りを目指した方がいいと思う。

 駒形、奇跡の予選通過! 

本戦1回戦は・・・
北海道の棒銀三郎様降臨。
小学生名人獲得者でもある将棋エリート

♡会場に女真剣師参上♡

こいつの名は虎班桂(とらふかつら)・通称ミスタイガー、いちお中学生です。棒銀くんに負けた直後の角道道夫に真剣やろうぜ!と声をかけるKY女です。

ー中学生名人戦で自信をつけた駒形は奨励会受験を決意するー

が、問題なのは師匠を誰にするかという話。
途方に暮れとぼとぼ道を歩いていると大道詰将棋に挑んでいる酔っぱらいのおじさんを発見。

…棋士でした。

◎奨励会試験
駒形(6級受験)、中学生名人棒銀三郎(3級受験)、穴熊虎五郎(6級受験)、角道道夫(5級受験)、ミスタイガー(6級受験)というラインナップ。

初戦を落とした駒形は2回戦でミスタイガーと激突。
ここでタイガーの色仕掛け♡が炸裂、どうなる駒形!

3回戦は棒銀くんと当たってしまいあひゃ。

2日目、総合成績で勝ち越しに成功。

駒形は「ひゃっほ~!」と合格を確信したのだが面接には呼ばれなかった💦

なぜなのか!?

駒形はショックで 海に身投げ する。

奨励会が始まり駒形は6級のBへ転落!

同じ門下の高美濃が慰めると「自分が調子いいからって~!」と殴る蹴るの暴行におよぶ。現場を目撃した奨励会の友人達。

「暴行が師匠にバレたら破門だ」とオロオロする駒形だった…。

◎5五龍中飛車の発見
このあと、駒形は将棋道場の師範をする。
そこに東立大将棋部の強豪が襲来。
奨励会員弱ッ!と煽ったところで6級Bの駒形が登場。
そこで駒形が用いた中飛車が5五の位をおさえる「5五龍中飛車」!
いきあたりばったりの作戦だったがこれが炸裂して以後駒形は中飛車を得意戦法に据える。

奨励会でもこの戦法がハマる。

しかし東立大将棋部の駒形への粘着はすさまじく・・・
将棋会館の前で奨励会員に5五龍中飛車対策の研究レポートを配布するのだった!

 NEXT奨励会 

駒形、研究を重ね怒涛の連勝

一方で入会から5勝13敗と振るわない穴熊虎五郎は、

雪山で棋書を燃やし、

スキーに体全体をくくりつけ、

そのまま断崖絶壁にダイブ!

※実際に奨励会であった事件だそうです。

◎卍飛車マジ卍
駒形の躍進は続きついに昇級へ王手をかける。
しかし相手は常に一歩先に行く棒銀くんだった。

そして!
『5五の龍』といえば「飛騨の中飛車合掌造り」が撮れ高No1の名シーンだが卍飛車っていう筋が出てくるので覚えておこう。 

◎飛騨の中飛車
ここで前科3犯の真剣師こと「飛騨の中飛車」が登場する!
秘蔵の中飛車研究ファイルを譲るかわりに「中原名人と対局させろ~一流棋士と対局させろ~」と無理難題を要求するのだった。

飛騨の中飛車はあっという間にプロ相手に3連勝!
最終局であの名シーンが出ます。
      
飛騨の中飛車合掌造り( ゚Д゚)!

すげぇぇぇぇぇぇ!!!
と、当時は思いましたが現代の目でみると王様薄すぎてあかんですね。
なお、こっからどうやって打開していくかも漫画には描いてあります。興味ある方はぜひ読んでみてください。

◎同期達
高美濃は家のためにお金を稼がねばならず将棋を続ける事が出来なくなり奨励会を休会する。カネのために地元のヤ〇ザとつるんでイカサマ&真剣師の道へ入る。素人からお金を巻き上げる罪悪感と共に…。

同期の角道道夫もやばい。
入会以来不調が続きBへ転落する。師匠から山登りを勧められるが不注意で崖からも滑落。角道の運命は如何に。

ラストはミスタイガーとの昇級をかけた一番。
駒形初手56歩にミスタイガーのセリフは最高ですね^^
「フン…またバカのひとつ覚えでくる気!!?」
先手中飛車やってくる人にはこれで煽ってやりたいですなぁぁぁ。

◎まとめ
奨励会入会前~奨励会級位者時代をここまで濃密に描いた作品はおそらく無いだろう。元祖本格将棋漫画ということで苦労が伺えるがやはり面白い!の一言。小学生のうちにこの作品を読んで奨励会の厳しさを知っておいた方がよいと思います。おそらく現実はもっと大変で悲惨だと思いますがね。

☆マニアの視点☆棒銀くんはいい奴
キャプチャaswq
小学生名人・中学生名人と制して奨励会は3級受験で合格してあえて4級で入った将棋エリート棒銀くん。実は結構ボロボロ仲間には負けています。それでいて1級に昇級しているので友達以外には無双的な強さを発揮しているので神ですね。

※昔の将棋漫画は味があって面白い作品が多いです。
『ヤンケの香介』も面白いです。
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あべしん

・アマ五段(県竜王戦優勝)の四間飛車党
・中学、高校、大学、社会人で県優勝
 →全国大会出場
・地元紙で将棋の観戦記を書いてます
・連絡先→kouteipengin6@gmail.com

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