定跡から外れた力戦形の対処法【ノーマル四間の力戦系を例に】

本局はノーマル四間飛車vs居飛車力戦である。棋譜を追う前に力戦形のまとめ方について先に書いておく。


【 力戦をまとめるには 】
四間飛車は定跡ガチガチの安心戦法と見せかけて居飛車はやろうと思えばいくらでも力戦形に誘導できる。したがってちょっと勉強したくらいの駆け出し四間飛車党は簡単に変化されてひねられてしまう。だったら定跡勉強する意味ないじゃんと思うかもしれないがそれは違うぞ。

定跡手順の意味が分かれば様々な場面でそれらを応用して使う事ができる!というのが理屈…なのだが実際のところそれを実践できるようになるにはたくさんの実戦経験(経験値)が必要。さらに厄介なのは見たこともない局面の前でそれらをどう組み合わせてどんな構想で指すかというシナリオを考えないといけない。したがって、この3要素をうまくつなぎ合わせるセンス(努力と才能)が振り飛車は必要。

本局私は序盤でかなりの長考をした。どんな方針で指すか、なんとなくこんなもんでしょ で勝てるのは相手が勝手にミスる弱い人までの話(ミスってくれるから方針決めなくてもそこを突けば勝ててしまう)。相手が強ければ強いほど自分で局面を動かしていけるような将棋のつくりにしないといけない。

とはいえ、ハードル高すぎてその域に達するまで何年かかるんじゃ!無理やんと思った方、とりあえず今は「シナリオ」だけは考えてみて。

方針がはっきりすれば無駄な手や意味の無い手を指さなくてすむのでかなりマシな将棋になります。最悪なのは何をやりたいのか分からない手を指すこと、そういう手を指しているうちはいつまでたっても強くなれないと思います。※知識暗記は誰でも出来るがシナリオ作成能力は現場でやってみないと伸びない。

また、シナリオを作って負けたとしても局後に自分が考えた構想のどこがダメだったか考えることができるので頭は良くなります。自分で良かれと思って考えた事のどこがズレていたか、考え方を修正していけば正しい大局観が身についていくと思います。

そして最後はやっぱり終盤力、終盤弱いと勝てません!

力戦は本人の地力と日頃の鍛錬が試されているので実力テストと思って臨むことです。

□vs H宮 元全国学生準名人(仙台) 
1局目は完封負けだった!

2局目は許さんぞ!ということで真打ち四間飛車を投入。
後手が私、藤井システムで穴熊潰すからな~と△95の位をとったら、▲36歩といきなり急戦を見せられてあひゃ。
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いやいやいや~勘弁してくださいやw端の位をとっただけでこんなに怒るなんてどんだけ沸点低いんすかH宮さん。こういう将棋普通にあるじゃないですかーー!!と心の中で思いました。
上図以下、△43銀から三間飛車を目指すのは58金右、32飛に46歩とされそう。
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これで別に振り飛車が悪いわけでもないが胸張って威張れる展開でもないのでわざわざ好んで指す変化でもないと思った。
※参考記事(私の経験値)

というわけで急戦への守備力が高い四間飛車+32銀型に構えてみました。
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これ最強の守備陣形な、妙なことしてきたら△45歩ですぐに角捌くかんなという意味だったんですが、以下、▲38飛( ゚Д゚)
えええええぇぇぇぇ、妙なこと本当にしてきおったわ~~( ;∀;)
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どんだけなんすかH宮さん!
以下、角頭を守る△43銀に▲37銀。
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これは・・・(笑)
△62王や△32飛だと後手の居玉に目をつけて本当に本当にガンガンやってきそう。というわけでピンチになる前に△45歩で角を捌きます。
※通常は▲28飛型なので△45歩は2筋を破られるため成立しない。
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上図以下、▲33角成、同桂、28飛(1手損)、32金。
角を交換したことで▲37銀と▲38飛が動きづらく後手満足。
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上図以下、美濃に囲って下図は後手作戦の岐路。
すなわちシナリオ(構想)を練る局面、ここで早指しをしてはいけない。
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先手の右銀は今▲57にいるが▲37から立て直したので2手損。
上図以下、△52飛から中飛車に転換するのは並の手。理由は、手数をかけたわりには王様が薄く狙いはっきりしない、つまり先手に手損分を取り返されてしまいそうな将棋になるので面白くない。ここは先手陣の立ち遅れをついてガンガン攻めていくような構想を考えたい。
というわけで決断の1手、△64角と打ってみた。
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これはどういう意味かというと、
・▲55角なら同角、同歩で先手の5筋の歩を狙っていく将棋に。
・▲37角なら同角成、同桂、44角と打つ狙い。
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▲37に桂馬を飛ばせたことで44角が6筋&3筋を狙う駒になっている。


再掲下図。
2019-08-15i_20190815125040a8f.png
本譜は▲18飛とかわし下図のような展開になった。
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上図以下△46歩、同歩、同角、同銀、同飛は37角の王手飛車がある。
そこで思いきって△71王と引いた。
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この将棋の生命線は△73角の利きなので7筋をいじられた時に△82へ逃げられるようにした。他には△84歩も有力で▲75歩に83銀と受ける将棋もあったところ。
上図以下、▲77角。
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これは次に▲55歩で後手の角のラインを止めようという狙いだが「んん?」と思った。単純に△46歩で後手良くならないのか?
上図以下、△46歩、同歩、同角、同銀、同飛ならどうなるか。
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まさかここで▲58金左、49飛成、48飛を狙ってる!?
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確かにこうなれば先手指せそうか・・・
なるほどと思ったのがよくなかった。
よく見ると▲67に空間があるので△67銀!があるではないか。
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これなら後手優勢。いや~こっちを選ぶべきだった。

なぜ深く読まなかったかというと△73角からの構想でもう1つ有力なのがあったから△46歩がダメでもそっちでいけばいいやと思ってしまったからです。
それが再掲下図。
2019-08-15l_20190815125027b5d.png
先手に角を打たせたのをみて時間差で△84角とシフトするのが指したかったので△84歩を突かなかった。
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次の狙いは△65銀!で同銀なら57角成で銀を取り返すことができる。
上図以下、58金右、73桂!
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駒が前に出る将棋なので私好みなんですよね。
以下、▲86角に△65銀!
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以下、▲53角成、81王、67歩。
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ここでは馬を作られても駒の効率で少し指しやすいと感じていた。
以下、△76銀(66銀と銀交換するのは同歩で先手陣が堅くなる)、54馬、85銀、28飛。
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ここ、本譜は発見できなかったのですが良い手がありましたね~。
それが△46歩、同歩、43金という手順です。
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▲46に歩を置くことで馬の逃げ道を狭めています。
まさに振り飛車のお手本という筋でこの手が発見出来ないとなると私は今まで定跡の何を勉強してきたんでしょうと嘆きたくなります。言い訳すると歩切れの相手に歩を渡すのもどうかなぁという貧乏人根性がそうさせたのだと思います、はああ金持ちになりたい。

再掲下図。
2019-08-15q.png
本譜は単に△43金、55馬、52飛、37馬と進行。
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馬を逃げられてはっきりしない将棋。
ただしここからじっくり慌てずじわじわ指せば後手が模様勝ち出来ると思っていたのでした。
以下、△22飛。
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2筋を受けておいて、次に玉頭へ駒を寄せていく狙いです。
以下、▲68金直、71金(△73桂が消えると▲37馬の利きで頓死筋があるのでそれを防いだ)、77金、54金!
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さぁどうなんだこれ!!
以下、▲86歩、94銀、76金、64歩、77桂、62飛。
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キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
役者は揃ったでしょ、コレ。
上図以下、▲85歩、93角、86金。
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恥ずかしながら…先ほどもそうだったのですが私最近振り飛車の心というものを忘れているようであります。上図でも△46歩が絶好の突き出しで同馬なら45桂と捌くべきでした。
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これなら全軍躍動だった。
さっき役者は揃ったとか言ったけど振り飛車の左桂の存在を忘れてましたね(爆)

再掲下図。
2019-08-15w.png
本譜は単に△65桂、同桂、同歩、77銀、82角という手順を選択。
馬を消して角を持ち駒にすれば優勢になるでしょうという発想だったのですが~
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以下、▲同馬に・・・
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ここは△同王の1手でした。
というのも上図以下△同金と取ったがために▲51角、63飛、55桂でおかしくなりました。
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▲51角は見えていたのですが最後の▲55桂を見落としていた、はぁぁぁ。
以下、△53飛、42角成、64角、24歩。
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いよいよ2筋突破が受からなくなってきました。
ここで何か手を作らないといけない~~。
上図以下、△73桂、23歩成、85桂、同金、同銀、33と、75歩。
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歩を伸ばさないと勝負にならないお!
以下、▲21飛成、92王、11竜、73飛!
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これは急にやる気出た!
いきなり飛車を活用できて元気出た。
しかしこの局面、よく見ると先手に決め手がありますね。
それが▲86銀。
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△同銀だと空いた空間に桂馬を打たれます。
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以下、△84銀なら▲94香なのでこれは負けでした。

再掲下図。
6_20190815124936aa7.png
本譜は▲52馬、76歩、85馬、77歩成、69王、84金と進行。
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以下、▲74歩、73飛、94香、同金、同馬、23飛。
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これは飛車が使える夢の様な展開で逆転したんじゃないかと思ったゾ!
ただ実は▲39金と戻されたらよく分かっていない部分もあった。
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もしかしたら後手負けまであるんじゃないかH宮さん!

再掲下図。
10_20190815124924911.png
本譜は▲59金、29飛成、86桂と進行。
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これは絶対に後手勝ちになった、それは間違いない。
ただしどうまとめるか、30秒で発見するの難しい。
それにしてもこの▲86桂はなんなんだ!?
△86角と桂馬を抜いて勝てれば良いが、その局面は後手詰まない気持ちが7割と実は詰むんじゃないかという気持ちが3割。調べてみると上図以下△86角には、84桂、同歩、81銀、同銀、同竜という筋で詰みがあるようでした。
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以下、△同王は▲72銀から清算して詰み。

再掲下図。
12_20190815124927ba8.png
私クラスになると相手の終盤力を信用してこんな危険な変化には飛び込みません。
上図以下、△78銀、58王、28竜、48銀、47と、同馬、同銀成、同王、86角、85桂。
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先手の馬と桂馬を排除してゆっくり安全勝ちでいこうと思ったのでした。上図、この▲85桂も読んでいて以下△66角がぴったりかなと思っていたのですが…
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秒読みの最中▲76金という手が見えてしまい急に自信なくなったー!
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ここで△75桂が発見出来ていれば詰みなので勝ちでしたが…
2019-08-16b.png
なんか駒がゴチャゴチャしていてこの手自体が見えなかったんですよね~。
はぁぁぁ。

『囲の王』のかおりんみたいに「あなたの詰みを教えなさい!」を対局相手に聞く手筋を放たないといけなかった。

本譜は再掲下図。
14_20190815125000ab6.png
う~~ん、とりあえずということで△21歩。
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以下、▲12竜に22桂。
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これで竜は1段目と2段目から排除したと思ったら違ってた。
▲21竜と潜りこまれるではないか( ゚Д゚)!
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ら~ら~ら~ららら~言葉にできない…。
桂馬一枚無駄にした件。
私は何をやっているのでしょう。
これは本格的に決めにいかないといけなくなった。
上図以下、△89角、76王。
17_2019081512500442a.png
以下、△64角、63桂成。
18_2019081512500675d.png
△64角が利いているので後手この瞬間は詰まないであろうと信じて△84桂、87王、△67角成。
19_201908151250082df.png
必至!!
上図以下、▲93銀、同金、同桂成、同王は91香に64角のひもがついているぞ。どうするんだ!!
上図以下、▲81銀。
20_20190815125009178.png
( ゚Д゚)
(;´Д`)まじ?
以下、△同銀、93銀、同金、81竜。
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詰むんかい~~~!
てゆーか、▲63桂成の意味ってそういうことか~~い!
ああああああああ。
序盤中盤、相手の動きを逆用して積極的に動いてうまくいったと思ったのにこれ負けるのは悲しい。終盤弱いと全てがパ~です。

この将棋が終わったあと私はのこのようなツイートをしました。


時刻は20時過ぎ、会場のいつものお寺を後にした。盆の忙しい時期に借りてしまい申し訳ないです、最高の環境で指せましたありがとうございます。

その後、私がよく行く修ちゃんラーメンに案内した。

H宮氏は昼山形市でラーメンを食べて、酒造店で日本酒を購入。夜は私と将棋、その後仙台へ車で帰った、相変わらずタフな男である。

将棋の話などいろいろ小一時間くらいして解散。
次は、2枚落ちで教えてください<m(__)m>





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