第44回全国中学生名人戦の感想【奮闘する山形勢】

□プロになりたい
最近は目標が指導棋士だったり元奨励会の称号を手に入れるためという子もいるがプロ棋士を目指すのであれば若い方が良い。そのギリギリが中学生なのかなと個人的に思っている。そして全国大会出場者の中には実績を作って親を説得しようと考えている子も毎年一定数はいるはずである。

『泣き虫しょったんの奇跡』に登場するしょったんの親友兼ライバルの渡辺氏(元全国竜王)は全国中学生名人を獲れなかったらこの道を諦めなさいと親から言われていた。結果は準優勝、以後奨励会を受ける事は無かった。

『リボーンの棋士1巻』に登場するプロ相手に勝率5割をあげる片桐さんのエピソードは世の親たちが知っておかないといけない
 片桐さんは教育熱心な父に「将棋のプロになりたい」と懇願したが「今は中学受験頑張れ、中学生名人になったら考える」と言われる。
       ⇓
その後、全国中学生名人になって改めて「プロになりたい」と父に報告すると「おまえまだそんな事言っているのか(´Д`)?俺はおまえにもっと広い世界を見て色々なことに挑戦してほしいんだ。将棋は趣味でいいじゃないか」と言われてしまう。
       ⇓
その後、片桐は高校→大学とエリート校を卒業して商社に就職するが世間が思うほどの勝者ではなかった。
 なぜなら、少年時代に思い描いた夢に諦めがつかずプロ編入試験を考えているからだ。プロになれるならそれでいいじゃないかと思うかもしれないが仮にプロになれたとしても年齢的に活躍できる可能性はおそろしく低い収入も商社と比べて激減するだろう。
 『泣き虫しょったんの奇跡』によると瀬川六段が会社員からプロ棋士を目指そうとしたときも「プロになれても年収100万くらいになるかもしれない」と母に報告しているくらいである。※フリークラス編入なので。
        ⇓
 で、あれば最初からプロを目指した方が強いプロ棋士になれた可能性はあった。
      
若いって大事だというエピソードをもう一つ。これまた『泣き虫しょったんの奇跡』からなんだけど中3で瀬川六段が全国中学選抜を優勝したときに来場していた棋士からオファーが1つも来なかったらしい。棋士達は、中1とか中2の子に弟子にならないかと声を掛けていたとか。

  

と、まぁこんな感じで全国からそれぞれ目標を持った子達が東京に集結して7月14日中学生名人戦が始まった。

□1日目
雨・・・。
傘を差しながら会場の緑商会館へ向かう。
fc2blog_20190721122358461.jpg
私が昔、出場した時はデパート開催だったんですが今は違うんですね。
 
危うくリュックのおじさん達と一緒に6階へ行きかけた。
会場は4階でした~。
会場に入って「う~わ」と思った。
fc2blog_20190721123253b74.jpg
長机に3人座って対局するのは狭すぎるよな~。不快度数が上がるのは仕方ないとして真ん中で対局する人は十分な注意が必要
駒台が無いので相手の持ち駒が隣の人と混じって錯覚したり狭いスペースに対局時計を置くので持ち駒が隠れて見えなくて負けたという事例もあったようだ。時計も3局同時に秒読みになれば音もかなり判別しにくくなる。したがって、中学生名人戦は場慣れとタフさが必要。綺麗な整然とした環境で行われる中学選抜とは対照的な大会といえそうです。

山形勢を偵察。

S野くん、1局目は悪くない・2局目は勝勢に近かったと思うが決めきれなかった。
 
残念ながらK谷君と共に予選通過はならず。

清Nくん、危なげない内容で予選2連勝で通過。
fc2blog_20190721124349d9c.jpg 

I泉くん、終盤でもたついていたものの予選2連勝で通過。
1回戦は緊張で硬くなっていたのかな。
 

N須くん、得意の作戦でいい勝負かと思ったが予選1回戦負け。
しかしそこから連勝で2-1通過は見事。
 

全国中学選抜4位のねこP少年は2連勝通過。
「今日って観戦していいの?誰も将棋観てないんだけどさ」と聞いたら「あぁ親はアレなんで!(にやり) 大体将棋分からないっすからね」といつも通り良く喋る、相変わらず緊張を知らない男だな。

M本くんも2連勝通過。
「あのさ~昨日もしかして御徒町のトーナメント出てた?1回戦でもしかして消えてた?」と聞いてみたら「実は出てました、移動疲れがあったんで。いえ、ウソです言い訳ですね、HAHAHA」とこちらも好調な様子。

□1日目終了 M本くんベスト8に残る

これが中学選抜ならベスト8入賞で副賞をもらえる。
過去、私は中学生名人戦ベスト8で敗退してもらったのは中原誠のタオルだった。
昔の自分に言ってやりたい、どうしてそこであと1つ勝って地元に入賞を持ち帰れなかったのか。
勝負はここからだぞとM本くんに念を送った。

ちなみに過去山形ではあべけん棋士・渡邉奨励会員のベスト4が最高成績です。

※I泉くんのベスト16敗退は惜しかった、あと1つだった。

□2日目
山形に帰ったため途中経過が分からない。
H輪さんのTwitterや県連のHPにF5連打をかけるが何も更新されていない。
クソっどうなってんだ・・・と思った矢先、
うおおおおおお、すげぇぇぇぇぇ決勝進出とか!
これはもう私みたいに入賞を狙う戦いではなく優勝=全国制覇を狙う戦いだ。
ここまできたら勝つしかないぞ!

結果・・・

やりやがった・・・(おめでとう🏆)

こうして山形初の全国中学生名人が誕生した。


□報われた努力
M本くんはこれまで全国大会の入賞歴が無く全国的にはノーマークの存在だったと思う。本人も悔しい思いをしてきたし周りもなぜ勝てないのか分からないという状態だった。実際どれくらい強いのかというと24で2400は普通にあって本気を出せば六段くらいか。というか基礎力がしっかりしているのでネットよりリアルで指した方が強いタイプなのは間違いない。

私はここ数年わりと中学の全国制覇者と当たるのだがM本くんが彼らと比べてひけをとっているところはないと感じていた。あえて言うのであれば爆発力は劣るかもしれないが読みの正確さではむしろ上回っているような感じはしていた。なので今回の結果はやっと実績が彼に追いついたかといったところである。とまぁかっこよく書いてみたが内心ヨカッタヨカッタと胸をなでおろしているところである。

□プロは目指さない

中学生名人になると奨励会1次試験免除の特権が付与されるがアマの道を究めるとのこと。それもまた良いだろう。天童教室の子達はM本くんに追いつけ追い越せで頑張ってほしい。同じ教室に全国制覇者がいるなんてめちゃくちゃ恵まれている環境ですよ。

□山形の今後
天童から全国優勝者が出たがM本くんがプロを目指さないのはちょっとした衝撃もあったと思う。過去、天童将棋教室からは中学生部門に関しては渡邉奨励会員の全国中学選抜優勝をはじめ全国入賞者がぞろぞろと誕生している。しかし、「天童から名人を」のスローガンを達成するためには小学校で全国入賞するくらいの棋力の子を育てないといけないのかもしれない。先日、久々に小学校3年生の子が初段獲得戦で優勝をしていた。この世界は年上も年下も順番も無くて実力が全てなのでどんどん下克上していったらよいと思う。今の小学生達がどのへんまで伸びてくるかは非常に楽しみ。ここ数年の天童教室の育成プロジェクトを実質取り仕切ってきた六県V監督のH輪先生の次の1手に期待したいですね。



関連記事

コメント

大谷

M本さん改めて優勝おめでとうございます。僕は昼休みのトーナメント表開示の時に、「1回戦勝っても2回戦で優勝候補とあたるやん!」と思って絶望していましたけどw
M本さんも元小学生名人に勝っているので強すぎますね。因みに、今年の中学生名人戦は優勝候補が一回戦で潰しあっていたり、(元小学生名人−元女流準名人など)強い人が0回戦を戦わなければならないハズレくじを引いていたり若干層が薄くて、僕みたいなワンチャンを狙う人には絶好の機会になるはずだったんですけどねえ…自分のくじ運に絶望しました。実際僕が予選で勝った相手がベスト8に入っていて、自分もそこの山に入る事が出来ていたら…はあ。来年は研修会員の現小6が参戦してくるので層が厚くなりそうです。頑張ります。そして、M本さんもアマチュアを極めてください。

-

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます

あべしん

Re: 第44回全国中学生名人戦の感想【奮闘する山形勢】
大谷 様

そんな取り組みがあったとは思いませんでした、面白い情報ありがとうございます。
大谷さん自身もまだ一年あるので頑張ってください!今のうちから名を轟かせておけば来年の大会ではみんなビビってくれますよー笑。
大会はどこに入るかで8割以上決まりますね、だからこそみんなにチャンスがあるともいえるので祈りましょう🤲

あべしん

あべしん

Re: 第44回全国中学生名人戦の感想【奮闘する山形勢】
ノーマル四間飛車党 様

大会お疲れ様です。
私も中3で選抜予選落ちした時は最悪でした。ぜひ、中学王将でリベンジしてください。

今の奨励会は1900点台くらいの子も受験しているみたいなので組み合わせ次第では合格可能性はあるかと思います。大人になってあの時受験しておけばと後悔するくらいなら受けてください。

四間飛車党であれば端歩交換型のトーチカ、エルモ、居飛車穴熊の対策を考えることです。加えて相振り飛車もどうするか。時間が無い大会なので待機策ではなく多少無理でも動ける将棋を研究したほうが良いかと思います。

逆転勝ちや逆転負けしたときの戦型や対戦相手の棋力、対局中のメンタルはどうだったかをまとめてみれば傾向が見えてくるかと思います。自分はどんな時にやらかすか、それは気持ちの弱さか、棋力の低さか、戦法の弱さから自己分析を進めていくことが上達への近道かと思います。

中学王将&奨励会試験、頑張って下さい。

あべしん

中学生名人戦優勝おめでとうございます。
大会ですが、大会後半になると、子ども達はどうしても疲れからか、ミスが目立ちます。ミスをするのは弱い証拠、ということは真理ではあるのですが、こういった疲れに起因するミスを防ぐ方法はあるのでしょうか?

あべしん

Re: 第44回全国中学生名人戦の感想【奮闘する山形勢】
名無し 様

プロもやっていますが糖分補給は大事ですよねぇ。。

あとは、色々ありますけどソフト研究やネットばかりで人と指していないと変なミスをしやすくなると思います。大会は人間vs人間のプレッシャーのある世界なので・・・。

あと、精神力でしょうか。アマの大会は1日何局も短い時間で指さないといけないので後半にくる疲労は私も分かります。したがって、本当の勝負は集中力が無くなってからです。普段の練習で、疲れた〜もう無理だと思ってから歯を食いしばって一局指してなんとしてでも勝つ練習などしたらよいと思います。残された自分の力で何が出来るか、把握しておくことが大事です。

あべしん

誠にありがとうございます。親に似てw精神力が弱いなあ、と思っておりましたが、ここ一番の精神力が強くなるよう、親共々W、気長に取り組んでみます。
非公開コメント

abcn

・山形県のアマチュア将棋ぷれ~や~!
・県優勝5回の五段です。
・連絡先→kouteipengin6@gmail.com

プロフィール

abcn

Author:abcn
・山形県のアマチュア将棋ぷれ~や~!
・県優勝5回の五段です。
・連絡先→kouteipengin6@gmail.com

全記事表示リンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

カウンター

スポンサーリンク

検索フォーム

リンク先

・将棋アンテナ棒銀くん http://shogis.com/r3.php