□王と「歩三枚」について
初心者相手に行う駒落ちに王と「歩三枚」という変則ルールがある。
これは、ドラマ『この恋は詰みなのか』のCAFEデートにもあったシーンだ。
上手の狙いは単純、まずは初手△86歩と打つ。
以下▲同歩であれば△87歩で角が死ぬ。
上手の狙いはこれしかない。
したがって、2手目が重要。
ここで冷静に▲78銀(金でもOK)と指せば何も起こらない。
以下△87歩成、同銀。
この手順であればどうやっても角は死なないのである。
□「歩三兵」について
ところがである!!
『将棋を指す獣2巻』
60Pでの一コマ。
光ちゃんの素性を知りたい大月記者の突撃に歩三兵で勝ったら答えてやるよと回答。
「歩三兵」って「王と歩三枚」と同じだよねと流し読みしていたら…
71ページ。
初手△86歩には78金ではなく78銀なら桂損ですむ、という発言がある。
このセリフの意味が分かった人はいるのだろうか?
私は分からなかった…。
60ページ下にあるコラム「初級者vs上級者のハンデ 歩三兵」では前述した「王と歩三枚」の狙い筋について書いてある。
よくよく見たら、60P真ん中のコマで東京第3代表の溝口が「歩三兵は2歩あり」と言っている。
2歩あり!?
そういや、昔の将棋漫画でチラッと見た気がするかもな~。
それを踏まえて考えてみる。
ここで光ちゃんの・言葉を思い出そう。
「初手△86歩には▲78金ではなく▲78銀の方が良かった、それなら桂損で済む。」
検証:▲78金ならどうなるの?
以下△87歩成、同金、86歩、同金、85歩で下図。
これを▲同金は△87歩で角が死ぬ。
なので▲87金と引く。
これで「王と歩三枚」の将棋であれば何もないはずなのだが「歩三兵」は2歩が可能なので…
△86歩打が痛烈な一撃。
金が逃げれば87歩成で角死亡。
70ページ左隅の台詞から推測するに大月記者はこの手順で負けたのだと思う。
検証:2手目▲78銀の変化。
これなら桂損ですむらしい。
やってみますか。
以下△87歩成、同銀、86歩。
以下、▲同銀は△87歩、79角。
これは次に△89歩成から桂損どころか と金を作られてさらに2枚目のと金も出来てしまうのでやびゃ~です。
再掲下図。
ここで▲98銀(78銀でも良い)と戻り・・・
以下、△87歩打に…
▲79角。
思った。
どうやってこれ以上攻めを繋げるのか。
・・・。
「桂損ですむ」ってことは、まさか△88歩打?
2歩どころか3歩もありなのこのゲーム\(^o^)/!?
思った。
2歩って広義の意味では同じ列に2枚以上歩を打つことを言うのかなと。
というわけで打ってみます。
これなら桂損確定。
以下、▲78金、89歩成、同銀で下図。
しかしここから△88歩成、同銀と75桂と打てば次に金か銀が手に入る気がする。
まぁ、いいけどねw
あべしんブログ特別検証:もし下手が弾塚光なら?
居酒屋のシーンで大月記者が「歩三兵は卑怯です、僕が上手を持っていいですか?」と言ってきたらどんな将棋になるのか!?
おそらくこうなるんじゃないかという手順を記す。
初手△86歩に78金。
以下△87歩成、同金、86歩、同金、85歩で下図。
これを▲同金は△87歩で角が死ぬがそれでよい。
以下▲74金とひたひた迫っていく。
以下△88歩成に同飛で獣道が開かれた!!
角は損したが上手にとって価値の高い歩を全て回収したぞ!
しかも先手からの飛成が確定して必勝。
以下、△45角は打つだろう。
かまわず▲82飛成!
以下△67角成なら63金がぴったり。
△41王には▲53金と寄せていけばよい。
△67角成に代えて27角成はある手。
同じように▲63金は素抜かれる。
ここでは▲24歩が手筋の1手。
左右迎撃態勢が受からず先手の勝ちである。
弾塚光つえ~~!となりそう。
思うんだけど、ネット6級の大月記者が「歩三兵」でどっちをもっても勝つのは不可能だよね。
これから将棋を始める人は、「王と歩三枚で教えてやるよ」と言われたら「歩三兵じゃないですよね?」と確認した方がいいと思います(笑)
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