□67銀型vsエルモ
そもそも基本図から▲67銀と上がる三間党は稀。
トマホークや三間飛車藤井システムの絡みで序盤早々に▲67銀を決めてしまった人向けの変化ともいえる。
上図以下、△53銀右の局面は岐路。
▲56歩と▲46歩、どちらも有力なので順にみていく。
◎▲67銀+▲56歩の変化
▲56歩は将来の▲46角の余地を残し△64銀の斜め棒銀に備えた手。
反面▲67銀+▲56歩型は△65歩早仕掛けに弱いとされており『疾風』219Pでは▲56歩は推奨されていない。
以下▲46歩に△65歩▲68飛の変化は振り飛車ダメ。
詳しくは『疾風』220Pを参照。
なお、最初から四間飛車であってもこの仕掛けを受け切るのは難しい。
それについては『黄色いエルモ本』43P参照、居飛車良しとなっている。
しかし▲47金+37桂型が間に合えば互角。
上は『黄色いエルモ本』186P。
以下、▲45桂と跳ねられるのが大きい。
居飛車が謎手待ちを繰り返すと振り飛車はこの形に組めることがある。
知識として覚えておいて損無し。
再掲下図、△64歩に、
▲88飛と備える手もある。
以下△62金に▲46歩はちょっとした波紋を呼ぶ手。
隙ありと△65歩、同歩、77角成、同桂、79角、89飛、46角成、66角と進めば昔からある将棋になる。
以下△33桂、▲86歩、同歩、84歩。
上図は『黄色いエルモ本』93Pでは形勢互角ではあるが居飛車が忙しいとされている。私も振り飛車が勝ちやすい形だと思う。
再掲下図。
△94歩はある。
以下、▲96歩ならさらに△63金と待つ狙い。
ここで▲36歩は△65歩から△79角の筋で△46角成が王手になってしまう。
かと言って他の手待ちも難しい、先手はなるべく自然な手を指したいところ。
したがって、△94歩には▲47金と自然な手が指せるのかが焦点。
高美濃を充実させることが出来ればエルモの弱点である玉頭にプレッシャーをかけるビジョンがみえてくる。というかここで▲47金と上がれないようでは作戦負け濃厚なので意地でも通したいところ。
以下△73桂から△65歩の仕掛けは受かっている(後述)。
上図から△72飛はあるのか?
▲47金と上がらせてから△64歩+△72飛の仕掛けはエルモ急戦の定番。しかし、上図では普通に▲86歩がある。
これでいい勝負だと思う。
どちらかと言えば居飛車に不自然な手が目立つ印象なので振り飛車が悪くなることはないんじゃないかなと思う(勘)。
今の変化と勘違いしやすいテーマ図が『黄色いエルモ本』56P。
振り飛車の飛車の位置が△32なので前述した2筋(8筋)逆襲の筋が無い。上図以下▲35歩、同歩、同飛、22角に37飛が秘手で居飛車良し。
定跡書を読む際は微妙な違いに敏感になるべし。
再掲下図、△94歩に代えて…
単に△73桂はどうするか。
次に△65歩、同歩、77角成、同桂、79角の筋があるので▲46歩を守りたい。以下バランス重視の▲47銀は下図のようになる。
これは『黄色いエルモ本』95Pの変化とほぼ同じ。
本では居飛車が(先手で端歩が入っていて)+200点と記されている。
振り飛車作戦負け気味か。
再掲下図、ここでも高美濃を完成させたい。
先手なので欲張っていきたいッス。
上図以下△65歩、同歩、同桂、22角成、同王で下図。
この局面は『黄色いエルモ本』94Pでは居飛車良し。
しかし『黄色いエルモ本』57P四間飛車の章では△42角で振り飛車良しとされている。
んんん~(;´・ω・)?
同様に三間でも▲68角と打ったらどうなるんだ?
いや~これで普通に振り飛車良しだと思うんだけどなぁ・・・。
※2019年7月23日追記
△54歩+22飛型に・・・
▲55歩の将棋と指す居飛車党も多いようです。
これについてはこちらの記事で。
◎▲67銀+▲46歩の変化
再掲下図。
ここから▲46歩は『疾風』224Pのお勧めの一手。
以下△94歩、▲96歩、△64歩には…
▲56銀と出るのが5筋を突かなかった意味。
以下△73桂、▲68飛。
以下は『疾風』224Pを参照。
▲56銀型は△64歩+△54歩型に相性が良い形なのでなんとかなる印象。
再掲下図。
▲46歩は▲46角の筋が消えているので△64銀から斜め棒銀は一理ある。
以下▲56歩、△75歩はよくある形。
どう受けるべきか。
『疾風』229Pでは▲98香を推奨。
以下△76歩、同銀、72飛に65歩と爽やかに捌く。
こうなれば互角、詳しくは『疾風』230Pをどうぞ。
※端歩が入っていると結論が変わる?
『黄色いエルモ本』84P。
上図は△12香に▲48金と陣形を整備しつつ振り飛車に手を渡した局面。以下△35歩 or △45歩 or △53金 or △65歩の4つの手段があるが「振り飛車から良くする手段はなさそうだ」と書いてある。
ちなみに端歩(△94歩)が入っていない状態で△62金は無理。
以下▲75歩、同銀、95角がある。
△74歩には75飛、同歩、71銀で先手良し。
この変化は『あぴまる流三間飛車3』104Pにも同様の事が書いてある。
それを踏まえて『疾風』224Pをもう一度よく見てほしい。
上図から△94歩、▲96歩の交換が入っている。
ここで前述した△64歩が本の変化だが△64銀と出たらどうなるか?
9筋交換してからの△64銀、何か嫌な予感がしないだろうか?笑
以下△75歩、▲98香と進み、
『黄色いエルモ本』84P推奨の△62金でどうするか。
「振り飛車から良くする手段はなさそうだ」が頭をよぎる。
この変化が本当に居飛車が良いのであれば…
▲98香に代えて後述する▲45歩を選ぶべきである。
または、▲96歩に代えて別の手を指すべきだろう。
再掲下図、▲56歩に△75歩と仕掛けず…
△62金と待つ手はある。
これはなかなか深い手で▲98香なら△75歩で『黄色いエルモ本』84Pの変化へ突入してしまう。かといって▲45歩はこの段階で突くと狙われそうで怖い。▲45歩を突くタイミングは後手もあとに引けなくなった△75歩と仕掛けられた瞬間がベストだと思う。
したがって、上図からは▲36歩と突くのが無難。
怖い手だが△75歩には▲59角という手がある。
以下△72飛、75歩、同銀、26角が▲36歩を活かした手。
△62金のポジション直撃で振り飛車も指せる。
この変化は『黄色いエルモ本』184Pと『あぴまる流三間飛車3』106P以下の変化に詳しいので目を通しておいて損無しである。
再掲下図、▲98香に代えて…
▲45歩は私好み。
『黄色いエルモ本』85Pにも書いてある指し方で手の意味としてはエルモ囲いの急所4筋を攻める、△44角を消している、▲46角の筋をみせているといった感じ。上図以下△94歩の手待ちには▲75歩、同銀、65歩の決戦策がある。
積極的に動いていけるのが▲45歩型の魅力。
再掲下図。
△55歩と戦線拡大する手には我が道を行く。
以下▲75歩、56歩、74歩。
7筋+5筋を絡める形はこの手順で悪くなることない。
形は違うが『疾風』232Pも参照で。
また、居飛車の指し方として『黄色いエルモ本』88Pもなかなか渋くて参考になるので端歩の関係など注意しながら要確認。
悪くなるのは5筋を下手に受けようとした時。
初期の頃に指されていた▲57金は良くない。
以下△76歩、同銀、56歩、同金、52飛が激痛。
△52金型の舟囲いでは実現しない飛車回りで居飛車良し。
7筋+5筋を絡めた攻めに対する振り飛車の下手な受け方大図鑑が『必勝三間飛車破り』なので目を通しておくとよいと思います。
□▲56歩型vsエルモ
▲56歩+68銀型が三間飛車らしい待機の形。
以下△53銀右には
▲57銀と上がり、
△64銀の斜め棒銀には…
▲67金が手厚い受けの形。
詳しくは『疾風』242P参照。
また、『あぴまる流将棋定跡シリーズ 今日から捌ける三間飛車③: ノーマル三間飛車vs.斜め棒銀』116Pからの解説も要参照。
具体的にどう捌いていくのか勉強になった。
ちなみに私はKindle Unlimitedに登録して読みました。
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再掲下図から△64銀に代えて
△72飛にも▲67金。
形は違うが『黄色いエルモ本』207Pが参考になると思う。
というわけで再掲下図から△53銀右と上がってもうまくいかない。
△64歩は有力。
△65歩早仕掛けと△64歩+△72飛の2つの仕掛けを狙っている。
以下▲46歩 or ▲57銀が考えられる。
◎△64歩に▲56歩+▲46歩
これは▲68銀型をキープしながら高美濃を目指した手。
以下、△51金右にも▲36歩と待つ。
△73桂には・・・
▲88飛が三間飛車伝統の受けで△65歩仕掛けを消すことができる。
以下△53銀右に▲47金。
以下居飛車の猛攻をどう受け切るかは『疾風』238P参照。
再掲下図。
▲36歩に以下△94歩が『黄色いエルモ本』205Pに書かれている秘手。
以下▲96歩はまずい。
なんと△75歩、同歩、95歩、同歩、86歩、同歩、95香という打開策がある。
以下▲同香は76歩で居飛車良し。
再掲下図では▲47金が普通だろう。
先手番で▲96歩は悠長すぎる、先手の利を活かして積極的に駒組勝ちを目指す。
すると以下▲47金と上がったのをみて△72飛と回ってくる。
以下▲67銀と本に書いてあるがこれは疑問。
というのも以下△75歩、同歩、同飛に適当な対応が無いからだ。
居飛車の陣形が低いので▲88角からの飛車交換は居飛車に分がある。
したがって、▲76歩と打つのだがこれでは何のために三間飛車をやっているのかが分からない。
下図のように進んで‥
居飛車+500点と『黄色いエルモ本』206Pには書いてある。
再掲下図、この局面自体は私の感覚ではそんなに振り飛車悪い気がしない。▲67銀に代えて…
▲65歩とわんぱくしてどうか?
居飛車の陣形は低いのでポンポンやって手を作れそうな感じではある。
◎△64歩に▲56歩+▲57銀
再掲下図。
ここで▲46歩に代えて▲57銀の方が分かりやすい。
今のところすべての急戦にこれで対応できる。
以下△65歩には・・・
▲68飛、73桂、46銀と指すのが良い。
以下は『疾風』245P参照。
居飛車が仕掛けてこなければ▲46銀と出る手がある。
以下▲58飛からの打開策や銀冠に進化させ玉頭戦で戦うなど振り飛車にとって有望な変化が多い。ただし、序盤早々に▲67銀(△43銀)を指すと使えないので注意。
□まとめ
・振り飛車▲67銀型は最善を尽くせばいい勝負。
・振り飛車▲56歩+46歩型も最善を尽くせばいい勝負。
・ただし上2つは、いい勝負にするまでがめんどくさいので定跡を覚えたくない人は▲56歩+▲57銀型がおススメ。
□あべしんの個人的な感想
三間飛車に対して斜め棒銀はちょっと無理している印象。
したがって、三間には△65(▲45)歩早仕掛けが自然だが△64(▲46)歩と△54(▲56)歩との相性がそこまで良くない気がする。
△65(45)歩早仕掛けを狙うのであれば下図の腰掛け銀の方が相性が良い。
これについては『疾風』に書いていないので『黄色いエルモ本』97Pと193Pを参照。振り飛車は△54歩型なら53銀型+43金で、△43銀型なら54銀+43金で受け止めてどうかということが書いてある。
とりあえず、これが本レベルの結論だと思う。
□対エルモを極めるには?
『疾風』は級位者でも分かりやすく爽やかに変化を明示した内容になっている。
具体的に斜め棒銀にはコレ・早仕掛けにはコレみたいな感じでわりと居飛車も素直に仕掛けてきてくれる構成である。しかし、プロのエルモ急戦は細かく居飛車も手待ちをして振り飛車にマイナスの手を指させて仕掛けるという感じである。
この棋譜が代表例。
・△72飛→82飛
・△52金→51金→52金
など、角換わり腰掛銀みたいに意味あるパスを繰り返している。
したがって、対エルモの一歩先を行くには手待ち作戦に対して振り飛車はどの形を目指すかをシュミレーションしておくのが大事。棋書だけ読んでおいても応用が利かない。自分でこうされたらどうしようかと想像力を働かせてひとり将棋をするべし。想像力が無い人は実戦をたくさんやって実際にやられた手順へ対策を立てるなどをするべき。
ここまで書いてあれだが私は対エルモを極めていない(笑)。
それどころか想像力以前の問題で最新棋譜も全然見ていないし、ソフト研究もしていない、要するにスタートラインにすら立っていないのだ\(^o^)/
したがって、これ以上語る事が出来ないのであとは各自におまかせします。この記事は定跡書レベルのまとめなのでその途中や先にいくらでもヒントはあるので本と見比べながら頑張ってください。
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