35歳の羽生善治先生の名言が少し分かったので感想を書く【プロフェッショナル仕事の流儀~直感は経験で磨く~】

私事だが先日35歳の誕生日を迎えた🎂
30代もついに半ばへ突入。
10代・20代と比べて将棋の質もそうだが「志」そのものがだいぶ変わった。

具体的に将棋そのものに割く時間・お金・エネルギーが大幅に減った、自分は本当に将棋が好きなのかという自問自答の日々で辿り着いたのはNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀 棋士 羽生善治の仕事 直感は経験で磨く」という番組だった。
 
 この番組はズバリ、今の私と同じ35歳の羽生善治先生に密着した内容になっている。2006年放映時、私は大学生だったので羽生先生の言っている事が理解出来なかったが今ならほんの少しだけだが「分かる」と言える部分がある。それについて僭越ながら書いていきたいと思う。

●20代の頃は対局に行く道中でも戦術を練り続けていたが今はあえて白紙で勝負に挑む。 

あべしん→羽生先生の真意は分からないですが私も同調できる部分があります。
自分から局面を動かそうと思うとそれなりの準備と気合が必要になるので疲れます。若い頃はそれこそ主導権を握ってやろうと鼻息を荒くしていたのですが30過ぎて気力体力に衰えを感じるようになった、相手の出方だったりその場の雰囲気で作戦を決めるスタイルになりました。
 また、研究将棋に飽きてしまったというのもある。自分でも分からない不確定要素を入れていく事でもっと面白くできるのではないかとそっちの方に気がいっています。最近はかつて定跡派だった自分へのあてつけのように序盤から理解不能な手を選んでいます。おそらく将棋そのものに興味を失わないように自己防衛機能みたいなのが働いているんじゃないかと分析しています。

30歳を過ぎてから手を読むスピードが落ちて記憶力や反射神経も衰えた。その中で手を読むことよりも勝負の流れを読むこと(大局観)のほうが大事だと気づいた。

あべしん→大枠で勝負するという事ですよね。方向性を定めてそれに向かって進んでいけばそこに至る細かい読みは省略できる、良い手や悪い手もあるがとにかく大枠から外れなければ局面を良くすることが出来るという考え方だと思います。私は20代のころは読みに自信があったのでミクロの視点でガツガツ読み進めていたんですが30代に入ってマクロで観るようになった。羽生先生も同じようなことを思っていたのですね~。ただし、羽生先生との決定的な違いは決め手が発見できずいつも負けることです。笑

年数を重ねると手堅くいこうとどうしても思ってしまう、そこから何か生まれるかといったら何も生まれない。チャレンジして何かを得られるのであれば1つ2つ負けるのは苦にならない。
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これは2006-04-19 朝日杯将棋オープン戦藤井猛 vs. 羽生善治 朝日オープンで藤井猛先生の四間飛車に羽生先生がまさかの飯島引き角を発動したときのエピソード。
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結果は羽生先生わりと大敗だったのですが実戦の中で新しい戦術を試せたことに手ごたえを感じたと語る。

あべしん→私は30歳に入って20代のころと同じような将棋を指していたら全く勝てなくなった。そこから居飛車だったり四間以外の振り飛車にも手を出してなんとか地獄から抜け出す事が出来た。同じ価値観でずっと将棋をやっていても進歩しないんだな~と確信。プロでさえ色々やっているんだからアマも1つの戦法に固執せずに色々やらないとあかんとその時思いました。私も弟子達に自分の反省を活かして色々負けを恐れずにやってみろと言っています。なお、藤井猛先生も似たようなことを言っていました。→「新銀河 藤井猛の素顔」の感想【ネタバレ注意】

棋士同士の対局は数十年続いていくがその中にも勝負所がある、つまりどこかでライバル関係を断ち切るために直球勝負でいくこともある。

2006-05-15 朝日杯将棋オープン戦藤井猛 vs. 羽生善治 朝日オープンのエピソード。最終局、ここで勝てば羽生先生が防衛。なんと藤井システムの要の変化に飛び込む直球勝負。
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控室の行方先生も「これで負けたら藤井さんは存在を否定されているようなものだ」と力強く断言!続きは本編をどうぞ^^

あべしん→私も変化球が多い選手ですが何回かに1回は強豪の得意戦法を受ける王道の将棋を指すようにしています。そうでないといつまで経っても相手の切り札が残されたままで完全勝利と言えず気持ち悪いからです。ただし、残念なことに最近はそういう勝負所でことごとく負けている…。笑

詰め将棋は好きというか習慣、スポーツ選手でいう準備運動のようなもの。

棋士の仕事道具のコーナー、羽生先生のカバンから出てきた『詰将棋パラダイス』について。

あべしん→詰将棋=習慣はなるほどでした。アマ強豪が簡単な詰将棋にタイムアタックする儀式の意味が良く分からなかったのですが「習慣」と言われたら納得です。
1問解いて終盤の手筋を覚えようという意味は薄いんですね。級位者であればその意味合いは強いのですが。
 どうでもいい話ですがインタビューで住吉美紀さんが「詰将棋 パラダイス??」と言った後に間髪入れずに羽生先生が「すいません、マニアックで」と言ったのが面白かった。普段どんな感じで一般人と距離感をとっているか垣間見れた。

年代ごとにプレースタイルは変わる。大事にしているのは変化を恐れずに進化をしていくこと。

10代20代のころは記憶力と反射神経でやっており大局観という概念があまり無かった。可能な限りのデータを集めてひたすら駒を動かして理詰めで将棋を指す、記憶力も良かったのでそれで勝てていた。ただし年齢が上がるとその部分の衰えと余計なことを考える材料が増えて迷いとためらいが生じるようになった。そこで大局観で勝負するようになった。具体的に読みを省略したり細かい駆け引きでリードを奪うとか、違う部分で勝負すればよいことに気づいた。

あべしん→20代の頃は上の発言の意味が分からなかったが自分が30代になってみてやっと分かった。30代で10代・20代と同じプレースタイルで戦っても土俵が違うので勝てるわけないんだよね。将棋って戦術を追い求める以上に自己分析が大事だと思う。今自分が持っているカード(能力)でいかに戦うか、それを含めての戦略ゲームだと思います。

直感とはテキト~な手を選ぶという意味ではなく、今まで積み上げてきたものから良いエキスがパッと出て選ばれる手だと思う。

あべしん→読みきれない複雑な局面になった時にどういう手を選ぶか、アマの場合は時間も短いのですごく大事。全国大会をみると昔から活躍している人が今でも活躍している、鍛錬の違いだなぁとしみじみ思う。いわゆる地力の部分で薄っぺらい努力しかしてこなかった人や効率だけ追い求めてきた人はここがすごく弱い。
『将棋世界』にも以前書いていたが注目なのはソフト評価値で育った若い世代が歳を重ねたときにどうなるか。新しい勉強法が良かったかどうかの結論は数年経ってみないと分からないんですよね。

● 若い頃は情熱を持って続けていくのは当たり前のことだと思っていた、しかしそれが果てしなく難しい。長い目で見た時に同じペースで続けることが出来ることが一番の才能なのかなと。むしろ瞬間的なきらめきはあまり重要ではないのではないのかなと。

あべしん→0代のころは「この先も情熱を持って将棋を続けていくし、それが無くなってしまった年輩世代に負けるわけにはいかない」と思っていたが今まさに自分が情熱の無くなった年輩世代になってしまった(笑)。瞬間的なきらめきはあまり重要ではないというのも納得で腐らずにコツコツやってきた人が実績を残しているなぁと周りをみても思います。羽生先生も番組で言っていたのですが同じ事をずっと続けられるベテラン棋士は本当にすごいと思う。

飽和している状態だと何も生まれない、ある程度隙間が無いとだめ。

50分の休憩時間中に1キロ離れたレストランでご飯を食べる事についてのエピソード。一心不乱にサンドイッチを食べる事で頭に空白を作っているそうです。その他にも対局が無い日は出来るだけ将棋から離れるようにしている、と語っていた。

あべしん→頭に空白を作らないとメモリ不足に陥りますよね。昔、何時間も同じ局面を研究していたことがあったんですが良いアイディアは生まれなかった。おそらく先入観の塊になっているからだと思います。むしろ何もせずに1週間くらい空けて課題局面をみると新たな発見があったりする。どこかで休んだり自分を見つめなおす時間が無いと状況が変わらないように思います。

まとめ
相変わらず、名言が多い番組でした。
自分が35歳になってはじめて羽生先生の言っている事が分かった部分もありました。それによって漠然と思っていた事が肯定され少し楽になったように感じました。羽生先生ですらこれなんだから~みたいな(全然レベルが違うけどw)。
歳を重ねると棋力の伸びは期待できないかもしれないですがその分将棋への理解度が深まるので、年代に合わせたプレースタイルを追求していこうと思いました。

●全編観るには。
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アマゾンプライムビデオ~。
 
料金は、月額(500円・税込)または年会費(4,900円・税込)。
無料体験だけ利用したいなら期間内に解約手続きをすればOK。
ただし、無料体験でも登録時にクレカ情報を入れさせられたりするので気持ちは悪い。


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